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ガスの欧州指標であるオランダのガス先物価格は1メガワット時(MWh)=294.12ユーロまで上昇しています。2020年は10ユーロ前後で推移していましたので30倍近くに高騰していることになります。現在のガス価格を原油に換算すると480ドル相当。(現在のWTI原油先物価格は90ドル台)エネルギー需要が増える冬にむけて欧州はどのように対策を練っているのでしょうか。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト ポスト石油戦略研究所代表 大場紀章氏に
お話を伺いました。

現在、ロシアから欧州へのガス供給は最大時の20%程度まで
減っていますが、さらに絞られるリスクが出てきました。

ロシアが、欧州向け主要パイプライン「ノルドストリーム」を
メンテナンスのため8月31日から3日間稼働を停止させると発表。
その後、ガス供給が計画通り復旧されるのか不安が広がっています。

EU理事会は7月26日、ロシア産天然ガスの供給停止の可能性に備え、
EU域内のエネルギーの安定供給の確保のため、全加盟国が
2023年春まで天然ガス消費量を自主的に15%削減することで政治合意しました。

ガス使用を減らす需要抑制策ですが
特例条項が多く、加盟27カ国のうちこれを遵守しなければならない国は
ドイツ、オランダ、オーストリアなど7カ国のみ。
どの程度全体の需要を抑えることができるか疑問ですが
これはEU諸国が一致団結することでロシア依存からの脱却のスタンスを
示す政治的意味合いが大きく、現実にガス不足を解消する策とはいえません。

では供給量を増やす試みはあるのでしょうか?

米国などからのLNG購入を増やしてきたことで
在庫量も増えてきてはいますが、LNG(液化天然ガス)を
ガスに転換する設備などのキャパシティの限界に達しており
LNGのスポット購入だけガス不足をカバーすることはできません。

IEAは欧州が石油火力を増やすため下半期は石油需要が増加する
とレポートしていますが、大場氏によると
欧州の石油火力設備は1989年台がピークで足元ではその10~15%に減少しており
欧州の電力の1.2%程度しか担っていないのだそうです。

ということで別のチャネルからエネルギー供給を増やすというもの
そう簡単な話ではなさそうです。

詳しくはアーカイブ配信で大場さんの解説をお聞きくださいね。
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-220823.mp3