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7月13~16日にバイデン米大統領が、イスラエル、パレスチナ自治政府、サウジアラビ
アを歴訪、インフレに苦しく米国はエネルギー価格高騰を抑え込みたい思惑から、原油の増産要請が主たる目的と見られていましたが、湾岸諸国からの原油増産の確約は得られず、との報道に週明け18日月曜日のWTI原油価格は5ドルあまりの上昇となり再び100ドル大台回帰となりました。果たして本当に成果はなかったのか、また同時にリセッション警戒も台頭、原油価格はこの先上がるのか、下がるのか...?

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は日本エネルギー経済研究所 専務理事 主席研究員 小山堅氏に
原油市場の今後の展望を伺いました。

WTI原油価格はロシアのウクライナ侵攻でロシア産原油の供給懸念が広がり
3月7日に1バレル130ドル台にまで上昇しましたが
足元では景気後退懸念から7月14日には90.50ドルまで下落していました。

景気後退リスクが台頭する中での増産要請においそれと応じられない、
というのがサウジアラビアはじめ中東諸国の本音でしょう。
バイデン大統領はロシアによるウクライナ侵攻から警戒される食料不足に
対応する取り組みとして10億ドルの食糧支援を申し出ていますが、
実際に増産に応じるのか否かは、
8月3日のOPECプラス会合で明らかになろうかと思います。

番組では小山氏にここからの原油価格を見る上での
3つのシナリオと原油価格予想を伺いました。


①地政学リスク継続も大規模供給リスクは顕著化しない

 これがまさに今の状況。ロシア産原油への制裁が課せられるも
 現実はロシアが世界に向けて輸出している日量500万バレルの原油が
 絶たれているわけではない。
 原油価格はバレル100ドル±20ドルで推移。
 
②大規模供給障害発生、ロシア産原油が市場から失われる

 リスクとしてはロシア産原油のプライスキャップ。買う側がロシア産原油価格を
 上限を設定しそれ以上の価格では買わないという協定を結ぼうという動きがあるが
 (これが実現するのはかなり難しいだろうと小山氏)
 ロシアが報復として全ての輸出を停止するなどの措置に出た場合、
 過去最高値を超える急騰も考えられる。
 しかし、その場合は中東諸国の増産対応、IEA備蓄の放出などが矢継ぎ早に
 決定されると想定されるため、急騰は一時的に終わる可能性も。
 
③ロシア、ウクライナ戦争の停戦、終結によるリスク・プレミアム剥落

 現状、この有事による原油価格のプレミアムは20ドル程度ではないか、
 と小山氏。足元の原油価格の高止まりでロシアの財政は潤っており
 早期終結のシナリオは薄いものの、そうなれば70~80ドル程度に価格は下落。
 ただし、近年の投資不足などによる供給能力の低下など需給環境はタイトで
 リセッション到来による需要減とのバランス次第ではあるが
 コロナ禍以前の安値にまで下落することは考えにくい。
 
 
詳しくはアーカイブ配信で小山氏の解説をお聞きくださいね。
https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-220719.mp3