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ロシアによるウクライナ軍事侵攻リスクを手かがりに原油が上昇、14日のWTI原油価格は95ドル台まで買い上げられました。15日、ロシア国防省が一部部隊が基地帰還を開始下と発表すると原油価格は90ドル台まで急反落。ウクライナ有事が原油価格のボラティリティを上昇させていますが、ここからの原油価格展望、そして石油株投資は有望なのか?ポスト石油戦略研究所代表大場紀章氏にお話を伺いました。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。

ロシアに制裁が加えられたとして、果たして原油市場にどれだけ影響があるでしょうか?
ロシアがEU向けに輸出しているのは天然ガス。ガス供給に影響がでた場合、原油が代替エネルギーとなるとの思惑があるようですが、現実にはEUの石油火力発電は1%にも満たないため、原油が電力源とはならないと大場氏。トレーダーらは取引の材料が欲しいだけのようです。

ただしウクライナ有事がなかったとしても、そもそも世界の原油需給はタイト。OECD在庫は5年平均レンジを下回っています。IEAは22年には供給過多になると予想していたのですが、ようやく見通しを修正しました。オミクロン株の感染拡大もありジェット燃料消費は戻らないものの、世界の石油需要はコロナ禍前に回復しています。これでコロナ制圧で国交正常化となればさらに需要は増加するというのに、供給がそれに追いつかない。1月のOPECの原油生産は計画に対して日量90万バレル未達となっているのです。これは数年来の設備投資不足によるもので、増産したくても増産余力がないということです。

石油上流部門への開発投資不足は深刻で原油の新規埋蔵量発見、開発は過去75年来の低水準。

そんな中いよいよ米国の石油会社も原油を増産し始めています。エクソンモービルやシェブロンなどは22年20%もの増産計画。しかし新規投資によるものえはなくDUC(待機油井)を切り崩して生産を増やしているのが実情。DUCはピーク時9000箇所程度あったものが現在4400箇所程度まで低下。年末までには四分の一程度まで減少すると見られているのです。石油株は足元で上昇基調にはありますが原油が7年ぶりの高値となっている割にはまだ割安です。さてここからをどう考える?

大場さんの解説をお聞きくださいね。
https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-220215.mp3