ロシアのウクライナ侵攻リスクと天然ガス電力価格 [ひろこの番組後記]
2021/12/14(火) 18:42 大橋ひろこ

ロシアがウクライナの国境周辺で軍を増強させています。2014年のソチ冬季五輪後にロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合したことは記憶に新しいですが、来年2月の北京五輪前後の警戒が強まっています。


米国はロシアが侵攻すれば「強固とした対応」を取るとして海底ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の停止に合意するようドイツに求める方針を示しています。ガスの生産供給による外貨収入の見込み(ノルドストリーム2はまだ稼働していない)がなくなるロシアにとっても痛手ですが、期待される供給が失われる欧州にとっても厳しい措置となります。米国の制裁を辞さない構えに13日の欧州市場では天然ガス相場が急伸。欧州指標であるオランダTTFは前週末比で10%強の急伸となり10月上旬以来約2カ月ぶりの高値水準をつけました。コロナ禍の影響や投資不足などで、ただでさえ在庫不足で高騰する欧州の天然ガス市況、新たな地政学リスクがさらなる高騰をもたらす可能性が出てきました。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト・ポスト石油戦略研究所 代表 大場紀章氏をお迎えしロシアのウクライナ侵攻リスクと天然ガスをテーマにお話を伺いました。

ノルドストリーム1はメルケル前首相の前のシュレーダー首相時代
脱原発計画に伴うエネルギー政策として計画され、2011年開通しました。
バルト海底を経由してロシア・ドイツ間をつないだ天然ガスのパイプラインです。

ウクライナは旧ソ連国であるため、EU販売価格のおおよそ4分の1程度の価格で
ロシアから天然ガスを購入していたのですが、
ウクライナに新米政権が誕生したことを機にロシアは安価なガス価格を
EU販売価格に引き上げました。
4倍にもなったガス価格に支払いを拒否するウクライナと
ロシアの間で「ガス紛争」勃発、ウクライナが欧州向けの天然ガスを抜き取っていること
などを理由にロシアが供給を絞るなどの影響が出たことから
ロシアとの対立構造にあるウクライナを経由しない新たなパイプライン建設計画が進められ、
これが2020年完成する見込みでした。これがノルドストリーム2です。

ところが20年の米国トランプ大統領が「敵対国にエネルギー依存をするな」と
ノルドストリーム2があと5%で完成というところで、これを完成させることを
禁じる経済制裁を課していたため未だこれが開通できていません。
バイデン政権となり5月弐この制裁は解除され、ようやくノルドストリーム2は
完成し、あとは稼働させるだけの状況にまできているのですが
今度はドイツ総選挙で樹立した連立政権の緑の党が反原発であり
反ロシアであることからこの稼働に影響が出ているというのです。

ロシアへのエネルギー依存を高めることへの警戒は欧州全体に言えることですが、
大場さんによると北海油田の産出量はどんどん低下しているとか。
北海油田の産出量低下もあって脱炭素計画が進められ
石油依存からの脱却を目指す欧州ですが、現状では欧州はどこからかエネルギーを
買わざるを得ないのが実情。現在でもUE全体のロシアへのエネルギー依存は40%程度にもなります。
ノルドストリーム2の稼働で13%程度依存度が上昇する見込みですが
50~60%ロシアにエネルギー依存していいのか、という話ですね。

そこへ来て、ロシアがウクライナ侵攻を目論でいるとなれば
ロシアへのアレルギーは益々高まると考えられますが、
実際、すでに高騰するガス、電気料金はEUのインフレをもたらしており
ノルドストリーム2の開通なしにこの冬が越せるのか、微妙なところ、、、。
温暖な冬であれば我慢できるかもしれませんが厳冬となったら?

大場さんに詳しく伺っています、ぜひアーカイブで解説をお聞きくださいね。

http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-211214.mp3

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