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プラチナ価格は2016年以降800ドル~1200ドルのレンジで推移、足元では830ドル前後でレンジ加減近くに軟化しています。ゴールド価格は現在1700ドル台で推移。プラチナがその希少性から高価であった時代は終焉、現在はゴールド価格のおよそ半分に沈んでいます。しかし、この先プラチナには大きなテーマが。新たな需要拡大でこの価格差は縮小していくかもしれません。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は日本貴金属マーケット協会代表理事 池水雄一氏にお話を伺いました。


プラチナ価格の低迷は2015年の
フォルクスワーゲンの排ガス不正以降に始まりました。
プラチナの最大需要はディーゼル自動車の排ガス除去の触媒用途ですが
ディーゼルエンジン車のブランド価値が失墜、世界的にガソリン車シフトが
進んだことが上げられます。


さらに、この先世界は脱炭素社会に向かっていきます。
EV車など次世代自動車へのシフトが世界各国で進められています。
こうなると、プラチナ需要はさらに減少するのでは?と懸念されますが
FCV(燃料電池車=水素自動車)の普及が
プラチナ需要を増大させる可能性があることをご存知でしょうか。

水素自動車の電極部分にプラチナが使用サれますが
その使用量はディーゼルエンジン車の触媒に使われるプラチナより多量。
(具体的には番組をお聞きください)

今、世界の次世代自動車はEVが主流となっているようですが
EV車の充電には時間を要します。

高性能充電器でも2-4時間、家庭での充電は8-10時間かかります。
急速充電はバッテリーの劣化を加速させるという問題も。
となると、バスやトラック基地など、多くのEV車を
夜間などに一度に充電するためには、大幅なgrid upgradeが必要となります。
FCV車であれば水素充填ですみますので、ガソリン供給と同様
大規模な充填基地は必要ありません。
自動車の稼働率ががれば上がるほどFCVはEVより経済的になるのです。


また気温が低い冬期の運転時、EVはその性能が大きく落ちることも問題。
航続可能距離は減少、電池の寿命も短くなりますがFCVにはその心配はありません。

また、そもそもの馬力が違う!
大型バス、トラックなど産業用車を動かす動力に向いているのはFCV車。


というように、産業用自動車(大型車)のおける次世代自動車の未来は
FCVにシフトしていくことが予想されています。

WPICの予想ではFCVによるプラチナ需要は長期的には大幅に増加。
2030年には年間40トン、2040年には208トンとなると試算しています。
年間鉱山生産量が200トンであるプラチナにとってはこれは驚異的な数字ですね。


足元のプラチナ市場ではこのテーマが全く織り込まれていないようです。
現在のプラチナ価格レベルは非常に割安であり、
長期的には非常に魅力的な投資対象ではないでしょうか。

詳しくはアーカイブ配信で池水氏の解説をお聞きくださいね。

http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-220830.mp3