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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 7月11日の「アサザイ 今日の1社」はサンリツ(9366・東証1部)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 三浦 康英様にお越しいただき、沿革・事業領域と取扱製品・強み・中計と成長戦略等について、お話を伺いました。

 同社は、創業時の梱包事業を中心に、運輸事業、倉庫事業など、物流業務を総合的にサポートしている総合物流企業です。高度な『梱包技術』を軸として、陸上、海上、航空すべての物流サービスを国内から海外まで一貫してサポートしています。

 創業以来『梱包』を専門的に取り組んできた企業として、「お客様の大切な品物をお守りする」という思いで事業を展開してきました。現在は更にお客様の力になるべく「オペレーションからソリューションへ」という新しいビジョンを打ち立て、変革に取り組んでいます。これまでは品質の高い物流業務の遂行を目指してきましたが、これからは更に物流業務プロセス全体及び個別業務の問題を解決するお客様のロジスティクスパートナーとしての役割を担うべく、前進を続けています。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
サンリツ (9366) (東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は、代表取締役社長 の 三浦 康英 (みうら やすひで)様。

「梱包のプロ? いえ、総合物流のプロです」

▼日本の梱包プロ企業
 上場して30年以上であるが、日本のみならず世界で「日本の梱包プロ企業」として有名である。
 会社設立は1948年。この3月で、ちょうど70周年を迎えたが、創業以来、梱包を専門的に取り組んでいる。当時、一般的に梱包は、運送業の付帯サービスの一つであり、その重要性はあまり認識されていなかったが、創業者は、「大手ができない小回りが利く仕事である梱包の重要性」にいち早く着目し、梱包事業を中核に据えた事業を始めたのだが、これが、ズバリ当たった。

 早速、米軍、官公庁、大手通信機器メーカーなどから梱包の依頼を受け、順次規模を拡大する一方で、創業者は、米軍の包装規格を研究し、これが、のちの日本の木の箱の規格(JIS)の礎(いしずえ)となった。
 しかし、JIS規格が定まるということは、同時に、この事業に参入がし易くなるということも意味している。そのため、同社は、高度な梱包事業を軸として、国内での保管、輸送、そして、海外輸出など、陸上、海上、航空すべての物流サービスを国内から海外まで一貫してサポートできる「総合物流企業」に変貌し、そして成長を遂げたのである。

 事業セグメントは、「梱包事業」、「運輸事業」、「倉庫事業」、「賃貸ビル事業」の4つであるが、この3月期の連結売上に占める比率は、「梱包事業」が約73%と主力事業であり、続いて「運輸事業」が約15%程度、「倉庫事業」が約11%となっている。

 また、主な取扱製品群は、「小型精密機器」が全体の約4割を占め、続いて「大型精密機器」、「工作機械」がそれぞれ約20%程度、「医療機器」が約12%程度となっている。この4製品群で全体の92%程度を占める計算だ。

▼オペレーションからソリューションへ、物流施設としての存在価値を高める
 同社の第一の強みは、製品形状や特質を踏まえ、カスタムメイドの梱包提案が可能であるということ。

 梱包の主な材料は、木材、鉄、段ボールであるが、段ボールは汎用性があり、材料として選ばれやすいが、木材や鉄まで幅広く手掛ける物流会社はそう多くはない。そのため提案の幅も広く、また、同業他社の物流会社からも梱包の仕事依頼を受けることもあるという。

 そして、海外への(工業品の)輸出の際に同社は、梱包する場所と製品保管場所が同じ場所にあることから、一か所で梱包、保管、輸送が可能であり、これも顧客から選ばれる理由となっている。顧客にとっては、配送に掛かる時間や作業の省略やコスト削減に繋がるのだ。

 同社は、前期からの3カ年計画である「新中期経営計画」を定めているが、そのビジョンは「オペレーションからソリューションへ」である。
 具体的には、これまでは、グッドオペレーションとして、顧客の貨物を安全に届けるという現場力を磨いてきたが、今後はそれに加えて、顧客の潜在的ニーズを深耕して価値を創造し、お客様に選んでいただけるように物流パートナーとしての存在価値を高めていきたいと考えているという。

 勢いも凄い。
 昨年度、中計1年目で既に最終年度の売上目標を前倒しで実現したが、これにより、2年目となる今期は、事業運営の基盤強化、利益体質の強化に注力するという。 
 これが即ち、今後の「成長戦略」であるが、これを列挙すると、

・梱包事業の優位性が発揮される付加価値の高い製品群である精密機器・医療機器物流にターゲットを据えて、事業の拡大を図る。
・今期については、利益体質の強化として、資源の集中に注力し、低採算案件の絞り込みと注力分野への強化を推進し、利益ある成長を目指す体質に変えていく。
・また、海外に進出した日系の精密機械メーカーに対して、日本の梱包技術を展開することで貨物の取扱を増やすとともに、梱包した製品の国際輸送についても、お客様それぞれのニーズに合わせた物流ネットワークを構築し対応していく、である。

▼ノンアセット型新拠点の開設を目指す
 また、中計の目玉に「ノンアセット型新拠点の開設」を掲げているが、これは、ただ、お客様へ保管場所をお貸しするだけでなく、倉庫内でのマネージメントや付帯作業を含めて倉庫をお貸しするという計画であり、顧客の条件に見合う倉庫を同社が借りてお貸しするという事業で、新規顧客獲得を含めて、この戦略を展開したいと考えているという。

 IT投資に関しても積極的な姿勢を示しており、この予算10億円のうち、既に6億円をかけて「自動ロボット制御ピッキングシステム」を京浜事業所倉庫内に導入している。現在は試験稼働中ではあるが、今後、更に、前工程・後工程の自動化も視野に入れて、倉庫内作業の省力化と作業環境の向上を図っていくという。

 お分かり頂けたであろう。同社は、「梱包のプロ」ではなく、「総合物流のプロであり、特に、特殊な梱包においては類を見ない技術を持ったプロ」なのである。

 次回、海外に出張した際に、現地のファンドマネージャーに披露するストーリーがまた一つ増えた。

 それは無論、運送業の付帯サービスの一つであった「梱包」を極め、そこから逆に、「総合物流企業」として成長したストーリーである。

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取材後記は以上です、いかがでしたか?

本日の放送はオンデマンド配信にて早速アップされております。是非お聞きください。

それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
サンリツ IRサイト
アサザイ(2018.7.11放送分)


代表取締役社長 三浦 康英さまと