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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 11月18日の「アサザイ 今日の1社」は東京応化工業(4186、東証1部)を放送しました。
 
 今までアサザイでは、パソコン・自動車・家電メーカーなどの「B to C」と呼ばれる企業を支える、「B to B」企業を多く取り上げてきました。半導体メーカーも以前ご紹介させて頂いたことがあります。

 東京応化工業は、その「半導体」が製造されるための過程で欠かせない「フォトレジスト」が主力製品という、「B to B」企業の技術の根本を支えている企業になります。 
 一つの製品が完成するまでにおける技術の奥深さが伝わるお話を聴くことが出来ました。

 さて、井上哲男から取材後記が届いております。どうぞ最後までご覧ください。

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取材後記
東京応化工業 (4186) (東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は取締役執行役員総務本部長の水木 國雄(みずき くにお)様。

「 ロングで在り続けた東京応化 」

▼多くのヘッジファンドに利用されていた経営指標ランキング・シート
 
今からちょうど14年前の冬。私は16年間勤めていた国内保険会社の運用部署から外資系運用会社に転職した。その外資系は世界に20余りの運用会社を有しており、それらは互いを"アフィリエイト"と呼び、非常に仲が良かった。経営指標や市場データを用いて投資株式の選別を行うことを「定量分析」と呼ぶが、今でも米国で一番有名な定量分析の運用会社もアフィリエイトの1社で、私のグループと同社がそれぞれ定量分析のヘッジファンド運用を行い、それを合わせて1つのファンドとしたものを、日本のメガバンクが投資信託として窓販した。

 お分かりであろう。現在、「アサザイ」でも紹介している経営指標ランキング・シート(順位)はもう、この時点で存在し、多くのヘッジファンドに利用されていたのである。

▼細かく区分けされた業種分類
 
私達の運用手法はマーケット・ニュートラル運用。つまり、200銘柄をロング(買い持ち)にし、ほぼ同数の銘柄をショート(空売り)することにより、株式指数の動向に関わらず安定的な収益を確保することを目的としていた。
 ここで大切なことは、業種分類(セクター・クラシフィケーション)である。定量運用を行う際に、東証の33業種分類では全然足りない。大手外資系証券や外資系情報ベンダーの業種分類を用いる運用会社も多いが、私達は独自の小分類で区分していた。ロサンゼルスでアフィリエイトに4000余りある日本の上場会社の説明を行い、分類する作業には、早朝から深夜まで、丸まる1週間の時間を要した。
 実は、外国の運用会社は、日本企業のことをあまり知らない。日本の運用会社が米国株を知らないのと同じである。それゆえ、大手外資系証券と外資系情報ベンダーの業種分類で幾つも「?」を打ちたくなる分類を見つけた。例えば、日本では誰もが住宅建設・販売会社として知っている「住友林業」の分類は「紙・パルプ」であった。これは、同社の英語表記が、当時「Sumitomo Forest & Pulp」であったため誤解されたのだと思う。このレベルである。(同社の英語表記はその後変更されている)

▼蘇った14年前の記憶
 
東京応化工業の分類は東証33業種分類では「化学」であるが、独自に設定された多くの業種分類上「電子部品・半導体関連」に含まれることが多い。我々の分類でもそうであった。そして、同社の凄いところは、運用開始から最後まで、ロングのリストに居続けたということである。
 今回、収録にあたり、詳細な株主名簿を入手し、その株主名を追った。すると、そこには、複数の懐かしいアフィリエイトの名前があった。ボトムアップ(定性運用)で有名な会社も含まれている。
 「彼らはまだ保有していたのだ」
 14年前のロサンゼルスやその後繰り返し行われたミーティングで東京応化工業を説明した際の記憶が鮮やかに蘇り、胸の奥が少しせつなくなった。 (了)

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 取材後記は以上です。いかがでしたでしょうか。

 東証33業種分類においては、例えば同じ「サービス業」に分類されている会社でも、「B to B」や「B to C」もあり様々ですね。
 投資を行うことの前提である「自分で会社の事をよく調べること」の大切さを改めて感じました。

 それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
東京応化工業 IRサイト

取締役執行役員総務本部長 水木國雄さま、ご担当者さま