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 9月30日の「今日の1社」はダイドードリンコ(2590、東証1部)を放送しました。

 

 コーヒー飲料や自販機販売のイメージが強い同社ですが、そのルーツが薬の設置販売だったことを、初めて知ったリスナーは多いのではないでしょうか。

 同社の企業グループである大同薬品工業株式会社では、OEM供給を行っている医薬・医薬部外品は利益貢献の高い事業の一つとして現在もグループを支えています。

 

 事業戦略でよく聞かれる「選択と集中」のみならず、選択してきた事を実績として積み上げてきた基盤、それがダイドードリンコさんの一番の強みなのではと感じます。

 

 井上哲男から取材後記が届いておりますので、どうぞお楽しみ下さい。

 

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取材後記

ダイドードリンコ (2590) (東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は執行役員コーポレートコミュニケーション本部長 の長谷川 直和 ( はせがわ なおかず )様。

 

「 距離を縮める努力 」

 

▼「ダイドー」のルーツ

 ダイドードリンコのルーツは戦後、奈良県で配置薬を始めたことにある。「ダイドー」は「大同薬品」の「だいどう」なのである。高度成長期の1970年代に国道沿いのパーキングにドリンク剤を置いて販売したところ、眠気覚ましになると人気を集め、同様に眠気覚ましとして人気のあった缶コーヒーにも注目し、新規事業として飲料の販売事業を1973年に開始したことが、現在のビジネスモデルの基盤を作ったといえる。

 

▼事業セグメント

 セグメントは大別して3つ。

 飲料販売部門の「ダイドードリンコ」は、前年度の売上構成比で約83%、営業利益で約75%を占める主力事業であるが、セグメント内売上の約85%は全国に約28万台ある自販機での販売によるものである。掛け合わせて欲しい。これは全社ベースの売上の約7割がキャッシュで入るということを示している。

 この飲料販売部門については、意外であるが"完全ファブレス"、つまり、製造は全て協力工場に委ねており、この分野における同社の役割は、商品開発以外は自販機のメンテナンスが主となる。

 

 2つめのセグメントは飲料受託製造部門である「大同薬品工業」の事業である。この事業は、飲料部門と真逆で、他社の商品をOEMで受注生産することを行っている。その生産能力は1日あたり170万本もあり、文字通りこの分野のトップクラスである。この生産能力によると、1年間で国民1人あたり5本、同社の飲料を飲んでいることになる。ここで明かす訳にはいかないが、商品群は「えっ、これも?!」の連発である。小型のビンに入った飲料の約3割が同社の生産によるものと考えてよい。

 この部門の特筆すべき点は利益率の高さと補完性である。全社ベースでの売上高構成比は約6.5%であるが、営業利益では約22%を占めている。また、同社の自販機で扱っていない商品であるため、補完性が高いのである。

 

 3つめのセグメントはフルーツゼリーでトップシェアである、「たらみ」の事業。同社は2012年6月に100%子会社化を果たした。

 

▼CHALLENGE THE NEXT STAGE

 同社は現在、2018年度を最終年度とする中期経営計画「CHALLENGE THE NEXT STAGE」を策定し、計数目標として2018年度の連結売上高2,000億円、営業利益率4%を掲げている。その項目の1つが、「海外展開へのチャレンジ」。既にロシアでの自販機事業、インドネシアでのフルーツゼリー事業などを始めているが、先日、マレーシアの「MameeDoubleDecker(M)Sdn.Bhd.」の飲料事業部門への資本参加を発表した。「最後のひとこと」の中で言われた"キャッシュ・リッチ"という部分は、今後の同社の事業の多角化や進展をすすめるうえで、M&A戦略という選択肢を可能にするものであると個人的に考えている。

 

▼投資家・株主との距離

 番組のなかでも紹介したが、同社の株主優待の評判は非常によく、社会・地域活動にも力を入れている。また、株主通信は私の知る範囲でトップスリーに入るほど見やすく、投資家との距離を縮める手段として有効なものになっている。

 かつて、「投資家・株主との距離を近くしようと努力している企業は、事業においても顧客・消費者目線に立ったビジネスが展開できている」として、その好例としてオリエンタルランドを挙げた人が居た。同社にも同じことが言える。

 

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 取材後記は以上です。いかがでしたか?

 

 中期経営計画「CHALLENGE THE NEXT STAGE」で、「海外展開へのチャレンジ」について詳しくご説明頂きましたが、ロシアへ自販機事業を行っていた事は驚きました。

 

 日本では道端や駅構内などあらゆる場所に設置されている自販機ですが、外国人観光客が日本に来て驚くことのアンケート等を行うと、自販機が必ず上位に顔を出すと聞きます。

 

 外国人にとって珍しい存在だった自販機が、いつかダイドードリンコさんのチャレンジによってロシアでも普通の光景として生活に根付くときが来るかもしれませんね。

 

それでは、来週もどうぞお楽しみに!

(関連ウェブ)
ダイドードリンコ IRサイト

執行役員コーポレートコミュニケーション本部長の長谷川様と
長谷川様と