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 5月27日の「今日の1社」はアルインコ(5933、東証1部)を放送しました!

 

 同社は建設用足場の製造・販売・レンタルで国内トップクラスの企業です。

 また建設業界だけではなく、住宅機器、電子機器、フィットネス機器等、多角的に展開されている事業は、どれも高いシェアを誇っています。

 「建設現場での足場の会社」というプロ仕様のイメージが強いかもしれませんが、意外と身近に同社の製品は存在し得ます。フィットネスバイクなどお持ちの方。もしかしたら、それは国内トップシェアを誇る同社製品かもしれませんよ。

 

 さて、今回は井上哲男から取材後記が届いておりますので、お楽しみください。

 
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取材後記

アルインコ (5933) (東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の小山 勝弘(おやま かつひろ)さま。

 

「 2回の東京オリンピック 」


▼多角的な事業展開 

 創業は1938年。1970年より建設用仮設機材の製造・販売を開始し、その後、はしごなどの住宅機器関連事業にも進出した。無論、主要セグメントは「建設機材関連事業」、「レンタル関連事業」の2つであるが、「住宅機器関連事業」の売上構成比も26%を占めており、異業種ではあるが、「電子機器関連事業」の売上構成比も9%を超えている。

 

 主要セグメントの「建設機材関連事業」、「レンタル関連事業」の合計売上高構成比は65%で内訳はほぼ拮抗している。但し、同社の場合は製造した建設用仮設機材を全国のレンタル会社に販売するため、競合することのないよう、直接、最終ユーザーへレンタルすることを拡大させてはいない。両セグメントの合計でコア事業の推移を考えることが大切である。

 では、どのような建設関連機材かというと、主力は独自に開発した「くさび連結緊結式足場」『オクトシステム』であり、この製品は住宅から中層物件の建設物件向けのものである。強みは「機材レンタル・運送・組立工事・解体工事」を一括受注する施行サービスを提供できることであり、現在、全国27の営業所と約40社の提携店(提携店の拠点数は全国で約100)で、全国規模をカバーし、幅広いニーズに対応している。

 
▼大きなビジネスチャンス

 「住宅機器関連事業」というと、前述のはしごや脚立をすぐに思い浮かべるが、同社は加えて、家電量販店やホームセンター、通販によって海外委託生産品であるフィットネス・マシンの販売を行っており、なんと、このエクササイズマシンはトップシェアを誇っている。また、「電子機器関連事業」は無線免許が不要で、誰でも手軽に使える特定小電力無線、受信機が主力であり、現在は業務用の分野へ進出している。この無線デジタル分野は消防救急無線のデジタル化をはじめ、今後大きなビジネスチャンスであると同社は認識している。

 
▼企業の成熟度

 このように、一見、異種な事業を行ってきて、そして、それを成功に導いてきたものは、同社が持つDNAである。それは、創業時、自転車のスタンドなどを手掛ける金属の町工場であったが、その金属加工技術を活かして東京オリンピック時に建設機材関連事業を大きく拡大させたことからも分かる。

 「このニッチな分野であればトップになれる」と確信した部分への進出を恐れないDNA。これからの成長戦略の一つとして、「4つのセグメントをそれぞれ主力と呼べるまでに成長させること」、と社長は言った。「建設機材関連事業」は景気に左右されることは避けられない。そのため、景気に左右されない事業の補完が必要なのである。その景気(建築工事)の落ち込みは、2020年の東京オリンピック後と同社は予想している。1回目の東京オリンピックでコア事業を定め、2回の東京オリンピックでは、その後の落ち込みに前もって対応している。

 企業が成長することと、成熟度を高めることは、似て非なるものである。オリンピックというイベントに対応する同社の姿勢の違い。これが企業の成熟度なのだと考えると感慨深いものがある。(了)

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 取材後記は以上です。いかがでしたか?

 1938年に創業され、77年の歴史をもつ同社。2020年の東京オリンピック以降のご活躍にも期待したいですね。

 

 それでは来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

■アルインコ IRサイト

代表取締役社長 小山勝弘さまと
代表取締役社長 小山さま