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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 4月22日放送の「アサザイ 今日の1社」でご紹介した白鳩(3192、JQSは、インナーウェアに特化して、eコマース事業を展開されています。仕入、販売、サイト運営、顧客管理、梱包、物流など、通販にかかる業務にワンストップで対応されています。

 

 「まずは社員が楽しんで、ワクワクを届けよう」、「社員の親切な心を、箱を開けた時に感じてもらいたい」、とスタジオにお越し頂いた代表取締役社長の池上勝さまが、お話しされていたのが印象的でした。

 

 インターネットで買い物をした時、一番ワクワクするのは、箱を開ける瞬間だ、と個人的に感じています。商品への期待にドキドキしているのは言うまでもありませんが、真心こもった丁寧な梱包が、さらに気持ちを押し上げてくれているのかもしれませんね。

 

 今回、井上哲男から取材後記が届いております。池上社長のお人柄が感じられる熱い文章をお楽しみ下さい。

 

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取材後記

白鳩 (3192)(東証ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の池上 勝(いけがみ まさる)さま。

 

「 1対1 」

 
▼「感動」を届ける

 経営理念に「感動」という言葉を含む同社。それは、無論、消費者に対して与えるべく掲げられているものであるが、今回、池上社長との収録を終えて数日間、私自身も少し、痺れ(しびれ)にも似た感動の余韻から抜けられずにいた。後記でそれを伝えられる自信はないが、記す。

 

 昨年4月に上場した白鳩。今年で創業50周年を迎えるが、この会社は靴下の職域販売を池上社長が行った創業時から何も変わっていない。お客様に商品を渡し、お客様がそれを受け取ったときに喜んでもらうためにだけ事業を行っているのである。

 

 私は、「女性(モノを中心とした)インナーウェアのEコマースでの販売とは、参入障壁が高くないのでは?」と質問をしたが、それに対して社長が語った白鳩の事業スタイルそのものが答えだ。

 国内外90のブランドのアイテム数9000~9500を揃え、毎日30~40アイテムをアップしている。通常、在庫を抱えることを最も小売業は嫌がるが、同社は在庫がなくてお客様を待たせることを一番嫌い、常に在庫を持つ。また、丁寧な、心のこもった包装(ガムテープが真っ直ぐに貼られているかにまで)にこだわり、それを自社の配送センターからすぐに届ける。その早さたるや、原則、15時までに受注した分は当日配送である。そのため、自社が開発に大きく寄与している基幹システムの役割は大きく、4人のSE(システム・エンジニア)を抱えているという。

 業界としての障壁は高くない。しかし、白鳩という壁はとてつもなく高い。

 

 社長は言い切った。「開けたときに親切な心が伝わらなくては意味がない」と。写真と違うおせち料理を消費者に送った会社の社長はこの言葉を聞いてどう思うであろうか。

 

 PB(プライベート・ブランド)に対する考え方も、他社のそれとは180度違う。PBは通常、広告費や外装費、流通費の削減により、価格を若干下げても販売会社の利益率に貢献するものである。しかし、同社の場合、PBの根底にあるものは、コストの関係でサイズを限定するなどのメーカー事情により、"カバーはされていないが消費者のニーズはあるもの"を作るということである。2年後に売上に占める比率を30%にしたいという考えは、それだけ、メーカー製品で満足していないお客様がいるということを分かっているという裏返しである。

 
▼愚直で、正直で、まっすぐ

 今期、下方修正を行ったが、私が述べた斟酌(しんしゃく)すべき要因を、「そんなことは言い訳にならない」とバサッと自ら切り捨てた。毎日30~40アイテムをアップしていても季節感をうまく捉えられなかった自分のミスだと言い、組織体制も既に変更したという。

 

 全てを自分のせいにする。言い訳をしない。愚直で正直でまっすぐな人だ。これまでの多くの事業の失敗を隠そうともせずに私に語ったが、それでもここまでたどり着いたということは、その度に手を差し伸べる人、企業、金融機関があったということである。それも、全て社長の持つ、これらの性格が理解されたのであろう。

 

 放送でも述べたが、下方修正後のROE見込みを記す。14.9%だ。金融を除く29業種平均の8.1%をはるかに上回っている。しかし、そんな定量的なことは社長にとっては意味がないのかもしれないと、ふと思う。

 
▼"おもてなしの国ニッポン"のEコマース

 「1対1なんです」と社長は言った。「私が会社自身なんです。私がお客様に商品を手渡したときに、お客様が喜んでくれる。このときに自分がしたことを会社として展開できなければEコマースにした意味がない」と。

 

  世界のEコマースに無くて、日本にはあるもの。それは、箱を開け、商品にたどり着くまでに施された、包装やメッセージなど、たくさんの"ワクワク"である。それでこそ、"おもてなしの国ニッポン"のEコマースだ。きっと、白鳩はそう考えている。

 Eコマースは商業ベースで非常に効率性が高く、その部分を多くの企業が追求している。しかし、そのような中、それだけでないものを追求している白鳩のような企業がいることをリスナーに覚えておいて欲しい。(了)

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 取材後記は以上です。いかがでしたか?

 同社の「強み」がよくお分かり頂けたのではないでしょうか。

 

 ロングインタビューでは、社長が1995年、57歳にしてインターネットの世界に飛び込んだ際のお話などを伺いました。社長の起業にかけた熱い想い、ぜひこちらもお楽しみ下さい。

 

 中国をはじめとした東南アジア市場への拡販に注力されていくという同社。今後の展開にも期待したいですね。

 

 それでは、来週もどうぞお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

白鳩 IRサイト

京都発インナーウェア白鳩 公式サイト

代表取締役社長の池上勝さまと