世界のエネルギー危機が深刻化する中、WTI原油価格は80ドル台にまで軟化しています。ロシアのウクライナ侵攻前の価格が92ドル台、戦争勃発以前の価格をさらに下回っています。果たしてこの価格は原油の需給を反映しているのでしょうか?8月26日、サウジアラビアのエネルギー相が「原油先物市場は現実の需給関係を反映していない」と苦言を呈しています。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・エッジ代表小菅努氏をお迎えしお話を伺いました。
サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は
「ペーパーオイル市場」と「現物オイル市場」との間のかい離が
大きくなっていると、先物価格の原油下落に不満を表しています。
「ペーパーオイル市場」というのは、
金融市場、主に先物市場での原油価格を指していいますが、
実は現在、原油先物市場は流動性が低下しており
それが故にボラティリティが上昇しており、市場参加者のヘッジ費用、
リスク管理コストを法外なものにしているという問題点が指摘されています。
要するに、原油先物市場の参加者が減っているということ。
原油先物市場の取組高は、2021年中盤から減少傾向が顕著。
2021年の原油相場は急伸し取組高は6月250万枚台に膨らむも
年末にむけて189万枚まで減少しています。
22年相場においてもウクライナ危機前後で瞬間的に200万枚回復しましたが
直近で148万枚に減少しており年初から既に22%減少となっているのです。
なぜ市場参加者が減ってしまったかというと、ボラティリティが大きく
ヘッジコストが上昇してしまっていることが指摘されています。
ボラティリティが小さくならないと参加者は戻ってこないのか?
確かにこのところの原油先物市場、
1日で5~10ドル動くことも珍しくありませんね。
サウジアラビアはこのところの原油価格下落に際して
「世界景気後退による需要崩壊に関する根拠ない話が広がっている」と指摘。
➡現物需要は鈍化しているがそれほど悪くないとサウジ
➡ガソリン価格抑制策の戦略備蓄放出で在庫は過去30年以上で最低水準と
実際の現物需給を反映していないとしています。
こうしたことから9/5のOPECプラス会合では
10月の原油生産枠を日量10万バレル引き下げ(減産)することが
発表されました。日量10万バレルは世界石油需要の0.1%程度、
需給インパクトは殆どないのですが
OPECプラスは声明で
「必要とあればいつでも(臨時の)閣僚級会合を開催できる」と発表しており
価格が更に下落する場合には臨時会合での追加減産の可能性も出てきました。
(次回定例会合は10/5)
さて、ここからの見通しは?
アーカイブ配信で小菅さんの解説をお聞きくださいね。
https://www.radionikkei.jp/podcast/trendplus/plus2022712.html
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