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マーケット・アナライズ・マンデー

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◾︎今週のストラテジー
18,000円台を回復して高値を取ってきました。
リズムが変わってきたと言えますが、リスクが続いていることも忘れずに。
ただ、ギリシャ問題、ロシア・ウクライナ問題など地政学上のリスク
をも覆ってしまうような大きな変化がここ2週間くらいでありました。
それは、アメリカの金利がやっと上がってきたこと。


雇用統計後からじわじわと上がってきたのですが、
「利上げのタイミングが6月より前になるかもしれない」
というFRBメンバー発言なども影響しています。
小売統計があまり良くないので必ずしも整合性があるわけではなさそうですが、
いずれにせよ米長期金利が2%を超えたことに反応してドル円は一瞬120円超え。
そしてそのドル円に反応したのが日本株で、18,000円超えという流れです。


12月以降アップダウンが激しかったマーケットですが、
下げる時は、概ねアメリカの金利が下がることで
利上げが出来ないほどに景気が悪いのではないかというシナリオで
全体が下げていました。ここに来てその霧が少し晴れたと言えそうです。


リーマンショック以降マーケットに蔓延っている
リスクオン・オフのバロメーターに
「原油安」という新たな変数が加わったのはこの数ヶ月のこと。


複雑なのは、リーマンショックを恐れる人は
何かのバブルが崩壊した後に
バブルと株式市場をつなぐジョイントのようなものが
金融商品としてあるかどうかを気にしています。
リーマンショックの際には不動産バブルが崩壊して、ここに繋がる
CDO(債務担保証券:Collateralized Debt Obligation)が
世界中で大爆発してリーマンショックとなりました。
今回は原油価格の下落がどこまで波及していくかが焦点に。
原油安を大きな問題と見るか、見ないかで議論が分かれています。


12月に株価が急落した際は、
原油安によるデメリット(信用リスクの拡大)がクローズアップされましたが、
今マーケットは、原油安によるメリットに視点を移し始めています。


いずれにせよこれらの議論はすべて
株でいえばPER(株価収益率:Price Earnings Ratio/株価÷EPS)
が伸びるか縮むかの話。
PERのベースになるEPS(一株あたり利益:Earnings Per Share)は
確実に上がっており、日本株の底辺を支えています。


もちろんアメリカの景気は楽観視できません。
利上げがすんなり通るかどうかも未知数です。
今週18(水)に1/27-28開催のFOMC議事録が出るので、
「国際情勢に関心を持っている」という文言が
どういう中身なのか、何が議論されたのかは注目ポイントです。


そのほかの重要スケジュールとしては
ロシアの外貨準備発表。ここも注目です。


日本のマーケットでは先週あたりから物色の流れが変わってきている様子。
銀行株や不動産株など
これまであまり見向きされなかったセクターがよく動いています。
金利に関してはきょうも上がっており、
銀行・保険は利ざやが拡大するという単純な理由で買われている感じ。
一方不動産はオフィス賃貸料が上がっているのが追い風なのかもしれません。


小型グロース株が動く反面、大型バリュー株が動かなかったのが、
ここ1-2週間動いているのですが、
バリュー株は毎年1-3月が強いというアノマリーが。
ファンド等3月末の決算に向けて見直しが行われるので影響がありそうです。


今朝、10-12月GDPが発表になりました。
四半期で+0/6%の成長率。
4-6月が-1.8%、7-9月が-0.5%だったので
前回の7-9月分を取り戻したに過ぎないと考えると、
今回の+0.6%やはり弱いです。まだ凹んだまま。
年率では2.2%ですが、
実質は在庫が増えている形で家計部門は伸びていないので
これでボトムアウトしたと考えるのは時期尚早とのこと。
ただ、デフレーターが伸びてきたことには注目です。


今回もあまりよくはなかったのに日経平均が18,000円超えなのは、
マイナスではなかったことが好感されたためと見られます。
10-12月期に底を打ったというシナリオ通りの動きで、
日本経済が回復しているという証拠になったという見方です。


為替ですが、先週「日銀の追加緩和はむしろ逆効果」という報道で
120円から一気に118円と円高方向に動きました。
マーケットは金融政策に対する変化を感じ取っているようです。


118円近辺にいるのは
・マーケットが120円は難しいと思った。
・金利がじわじわ上昇している。


両方とも理由はひとつ。
「日本はマイナス金利の導入はない」と認識していることです。


ECBはマイナス金利を導入した後に量的緩和を発表。
マイナスになっても債券を買い続けるという金融政策です。
これに対して日本は量的緩和は進める(債券は買う)ものの、
しかし0.1%という金利の壁は残す
=0.1までしか金利は下がらないという政策。


日本は金利低下は止まりますが、
EUは無限に金利が下がるかもしれないという点で
ユーロ安効果が強いと見られます。
日本は止まるうえに反転の余地あり=日米金利差が縮まる
=今までの一方向の円安ドル高が修正されていく=118円台に。


日本の長期国債の入札が
なかなか上手くいかなくなっていることにも注目。
国債流通利回りが跳ね上がるなどの動きになっています。
日本国債を買えるのが生命保険会社と年金の2つのグループしかないのが現状。
この2つは長い(10-30年後)流動性が欲しいグループ。
対して銀行や投資信託は比較的短めの短期・中期の流動性が欲しいグループ。
後者はこれ以上金利が下がらないのならば債券を買っても仕方無いと判断し、
5年・10年債の入札も見送ることになります。
金利が上がるなら買ってもいいが、今の水準なら買う意味がないということで
入札のテール(最低入札価格と平均入札価格の差)が広がり、
均衡点が分からないという状況が起こっています。
景気はイマイチ良くない、しかし金利はこれ以上下がらないのが日本。


そもそも「量的緩和だから金利が下がる」は間違い??
無理やり債券を買い進んで無理やり金利を下げることで
自然な金利の動きではなく需給だけの動きを起こすのが目的。


本来、量的金融緩和は景気刺激のリフレーション政策であるため、
結果としてじりじり金利が上がっていくのが正しい動き。
アメリカもイギリスもそうなりましたが
日本や特にEUは脅迫的な動きとなっています。
(この辺りはまた別の回やVODで深堀りします!)

◾︎先週の振り返り
今回は国際環境経済研究所理事 主席研究員 
21世紀政策研究所研究副主幹の竹内 純子さんを
ゲストにお迎えしてお送りしました。


去年の9月、九州電力が太陽光発電の買い取りを
一時保留するというアナウンスによってマーケットが大きく動きました。
2011年の震災以降、一種のパニック状態の中で一気に通った制度が
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」。
これが施行から4年経って弊害が出ているということで、
現状分析をして頂きました。


電力は制度設計が非常に難しく、
料金の価格設定や供給体制は、通常の経済の原理があまり通用しません。
税金に近い現象で、価格弾力性が低く、
実はこれが日本経済の足を引っ張る要素のひとつなのかもしれません。
制度の賦課金がどんどん上がることもあまり知られていません。
消費者の負担増は官僚レベルでは分かっていたのですが、
政治家レベルや経済界では分かっていないまま
制度がスタートしてしまったようです。
そもそも安定的な利益確定のため、長期買い取り保証制度なので、
今制度をやめたとしても、現状で発生している賦課金は
今後20年にわたって払い続けることになります。
(詳しい図解は番組FBで!
https://www.facebook.com/MarketAnalyze/photos/pcb.893360090706565/893359860706588/?type=1&theater


詳しく教えて頂けば頂くほど、
単純に電力関連銘柄を語れないということが分かりました。
番組としても、まだまだ勉強したいことが出てきたので
引き続きお伝えしていきます!



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番組FBではデータやレポートが盛りだくさん。チェックしないと損ですよ!!
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2015年2月28日(土) 有楽町よみうりホールで開催決定!
お申し込みありがとうございました!!!


■「マーケット・アナライズ・プレミアム VOD」第5回配信スタート。
「日常のありふれた言葉で語る経済学」
 ・パート1:「ケインズ経済学について」「需要と供給について」
 ・パート2:「信用について」「なぜ政策はうまくいかないのか」

視聴方法は簡単!下記URLをクリックして下さい。
http://www.twellv.co.jp/event/market_analyze/ondemand/
※パソコン、iPhone iPad iPod Touch、
またアンドロイドなどのスマートフォンで視聴することができます