この3週間で日経平均は10%の調整となりましたが、
世界経済鈍化、エボラ出血熱問題、国際商品市場市況急落、M&A規制
・・・などなど様々な要因が挙げられるものの、
どれも決定打ではない感じです。
下げた理由は、ひとつではなく複合的な問題で、
なかでも日・米・欧の金融政策の不協和音が影響大。
天井はアリババの上場。
これだけ大きいグローバルな調整は、
グローバルな理由がそれなりにあると考えます。
グローバルなリスクオフ=政策の綻びと考えると、
「ドル高はアメリカの不利益である」というのが発端。
不完全雇用、失業率、金利がまだ下がっている状況で
ドル高になるのは不都合という立場のアメリカ。
直近の経済指標が立て続けに下がったことを受けて
ハト派のセントルイス連銀のブラード総裁が
量的緩和は続けた方が良いというようなハト派発言をしています。
ドル高を招いているのは日本とユーロの通貨安政策なのですが、
黒田日銀総裁は「円安はメリット」
ドラギECB総裁は「ユーロ安を誘導しているわけではなく
マイナス金利を行っているだけ」などと発言。
しかし、110円まで行って綻びが露呈した形になりました。
今週以降のマーケットは・・・
ドル円は105-108円で落ち着くのが安定しそう。
アメリカの金利が上昇しないのにドル高になる
(=円安=日本売り=日本の景気が悪い)
のは避けたいところです。
金利が上がっているうえでのドル高は容認されます。
インフレ率が上がり、完全雇用のうえでの
ドル高は景気を安定させる効果があるのでプラス材料なのですが、
現在のように金利が下がっているドル高は悪材料。
数年前の日本と一緒でデフレスパイラルを招きます。
金利の水準は、10年金利で2.5%が均衡点を越えてくること。
政策金利は0.5%として、2年金利は1%以上、10年金利は3%くらいです。
こちらの方向に動きだせば、ドル高円安・ドル高ユーロ安が正当化されます。
今週の日経平均は戻りを試す展開。落ち着かない動きになりそうですが、
来週は日銀金融政策決定会合があります。
ここで黒田総裁がこれまでの金融政策がどうだったか、
追加の金融緩和があるのか、あるいは
円安だけを招くと困るので何か他の策を出してくるのか・・・
来週金曜日の金融政策決定会合・展望レポート・総裁会見で
何らかの好材料があれば、チャンスになる可能性も。
また、その前日の木曜日には米7-9月GDP発表で
3%以上の数字が出てくると好景気期待に変わり
景気後退リスクが払拭される可能性も高くなります。
■先週の振り返り
ニュースコーナーではタックス・インバージョンを考察。
租税回避に対する買収に規制がかかりそうだという問題で、
企業利益が良いことが株高に繋がっているアメリカで、
ダイナミックなマネーの動きが阻害されてしまうのは問題ではありますが、
国民に還元させるシステムを作るのは政治的には当たり前でもあるので
今後の動きがどうなるのか注目ということでした。
本編では通貨安政策での不協和音について。
EUの経済政策が難しいのは、
通貨はユーロひとつながら、金融政策は各国にあるところ。
半年以上続くウクライナ問題からもじわじわダメージがきています。
ドイツの産業とロシアは非常に関わりがあるので、
経済制裁が続く限りキツイ状況は続きそうです。
ただ、指数は指数ですが、問題なのは企業業績。
冷静にひとつひとつ見て行くしかありません。
先週13日にはアメリカのラッセル2000小型株と、
輸送株指数が共にボトムを付けました。
景気のダメージを受けやすいのは小型株。
真っ先に立ち上がってくるのも小型株。
小型株の動きをチェックするのは非常に大切であると同時に、
あらゆる指数の中で先に上がって来る指数を見て行くことが重要です。
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