WTI原油マイナス40ドル、何故起きた?! [ひろこの番組後記]
2020/04/21(火) 21:19 大橋ひろこ

 4月20日、WTI原油先物価格がマイナス40.32ドルを示現。

マイナス?!


バレル当たり40ドルをお支払いしますので、私の持っている原油を買ってください。という取引が先物市場で成立したということです。

原油は掘削にもコストがかかりますし、保管にもコストがかかります。それが価値がゼロ以下に沈むなんて!!いったい何が起こったのでしょうか。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・エッジ代表 小菅努氏をお迎えしお話しを伺いました。


まず、この異常事態が起きたのは「WTI原油先物5月限」。
4月21日が納会で最終決済期限です。
先物取引は期限が来れば、買保有していたポジションを反対売買で決済するか
現受けといって現物を受け取るかしなければなりません。

※東京の原油先物市場は、ドバイ原油が指標ですので大きな混乱はありませんでした。

しかしながら、キャピタルゲインを追求するヘッジファンドなど投機筋は
現受けすることを前提に先物市場で取引していません。

原油価格が下落基調を強める中、期限前に先物市場の買いポジションが
投げ売られたということですが、
現受けしようにも、クッシング在庫が急増する中、
海上タンカーなどの貯蔵タンクなどの保管コストが急騰しており
それもままならないという状況に陥っていたという背景もあります。

それなら、決済せずに2番限である6月限にロールオーバーすればいいのでは
という考え方もあるのですが、すでに限月間のスプレッドが大きく拡大しており
6月限に乗り換えるコストも大きかったため、
マイナスとなって支払いコストが生じてもポジションを投げたほうが
いいという判断だったものと考察されます。

この原油の限月間の価格差が急激に広がっていることも問題。
強烈な順サヤ(期近安・期先高)が形成されているのです。
これを順鞘のことをコンタンゴと呼びますが、
足下では「スーパーコンタンゴ」状態にあります。

この状態になる背景は「原油の足元の需給緩和(じゃぶじゃぶ)状態であるため」か
「将来の需給タイト化が見込まれる」2パターンですが
今回は「足元の需給緩和」が主因と小菅氏。

新型コロナウイルスで世界各地でロックダウン状態。
ジェット燃料など需要が激減していることで、世界の在庫がだぶついているのです。

※ちなみに原油ETFである「USO」は4/17、
原油価格をトレースできないことを理由に、ロールオーバーの20%を期先に
することを決定しています。
(5月売り・6月買いと同時に5月売り・7月買い、6月売り・7月買い)

IEAの4月月報では、2020年の世界石油需要が日量930万バレル減の予想。
4月は2,900万バレル減で1995年以来の低水準、
5月は2,600万バレル減、6月でも1,500万バレル減を予想を発表しています。


供給サイドも減産で需給バランスの正常化に努めようとしています。
OPECプラスに加え、米国などが協調してトータル日量1500万バレル近くの
減産を発表しましたが、IEAの月報でこの歴史的減産でも
焼け石に水であることが明らかとなりました。


このまま、在庫が捌けない状況が継続すれば
6月限の納会でも同様のことが起きる可能性もあると小菅氏。


6月限納会は5月19日。
その注意点と今後の見通しについては是非オンデマンド配信を!
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-200421.mp3

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