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8月13日、イスラエルとUAEの国交正常化という歴史的ニュースが飛び込んできました。イスラエルが湾岸地域のアラブ諸国と外交関係を持つのは初めてのこと。米大統領選挙を控え、トランプ政権にはイラン包囲網強化という狙いがあると思われますが、イスラエルのネタニヤフ首相は、ほかのアラブ諸国との関係改善にも取り組む考えを示しており、大国サウジアラビアがどう動くかにも注目です。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は独立行政法人経済産業研究所上席研究員 藤和彦氏をお迎えし

大国サウジアラビアの苦境と原油価格をテーマにお話しを伺いました。

このサプライズ合意の裏には
UAEアラブ首長国連邦)のムハンマド皇太子の存在があります。
サウジアラビア国政の実権を握るのもムハンマド皇太子なので
少々ややこしいのですが💦
サウジのムハンマド皇太子は略称MBS(ムハンマド・ビン・サルマン)ですが
UAE皇太子は略称「MBZ」(ムハンマド・ビン・ザイド皇太子)
どちらの皇太子も高齢の国王に代わって実権を手にしていますが
58歳のMBZが35歳のMBSをアドバイスする親密な関係にあるとされています。


こうした背景からサウジアラビアもこの流れに続くかと
注目されているのですが問題はMBSの父であるサルマン国王の存在。

サウジアラビア国王はは聖地メッカとメディナにある
「2つの聖なるモスクの守護者」という位置づけにあります。
エルサレムに対するイスラエルの支配を受け入れるなど言語道断。
若いMBSは、サウジアラビア経済の自由化を進めてきたことで
伝統を重んじる王族との軋轢を生んできましたが、
ここに新たな大きな問題が降りかかってきたと思われるのです。

今後サウジアラビアがどのような選択をするのか。
そしてこれを仕掛けたMBZの存在にも注目ですね。

また、藤氏はサウジアラムコの決算に注目。
4-6月期の決算は73%の減益。
新型コロナウイルス問題でジェット燃料需要が激減していますので
減益決算には驚きはないのですが、問題は750億ドルもの
高額配当が維持されたこと。(8兆円です!)

サウジアラビアは原油生産能力を日量100万バレル増やし
1300万バレルにするよう設備投資計画があるのですが、
この設備投資に回す資金を削減するというのです。


これは大株主であるサウジ政府の財政を埋め合わせるものですが
藤氏はチャベス大統領下でのベネズエラのバラマキ政策を
彷彿させる事態だと指摘。石油産業の国家管理の強化、
財政貢献の拡大など国家志向的石油政策を強力に推し進めた結果の
大衆迎合的なバラマキ政策がもたらした現在のベネズエラは‥。


ちなみに英BPなど国際石油資本(メジャー)は
20年4~6月期の経営環境の悪化を受け、
株主への配当を引き下げると発表しています。

原油生産には恒常的な設備投資が必要なのです。

さて、こうした背景から今後の原油市場は?!
詳しくは藤さんの解説をお聞ききくださいね。

https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-200818.mp3