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WTI原油価格、4月のマイナス価格から大きくリバウンド。6~7月は40ドル水準で上げ一服となり膠着しています。OPECプラスの協調減産体制が続いていることや米シェールオイルなどの減産対応など原油市場を取り巻く環境は4月に比べると改善していますが、なぜ足下では膠着状態が続いているのでしょうか。


皆様ご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・エッジ代表取締役 小菅努氏をお迎えしお話しを伺いました。


米国の石油在庫の急増には歯止めが掛かっていますが
在庫の取り崩しは本格化していません。このまま需要が回復していけば、
供給調整の効果もあって需給均衡、そして在庫取り崩しが始まるとみられます。

ではなぜ原油価格は上がらないのでしょうか。

IEAは「暗黒の4月(Black April)」からは進展を見せたが、
パンデミックがコントロール下から外れるリスクが高まる。
市場見通しのリスクは「ほぼ確実にダウンサイド」と見通しており、
やはり新型コロナウイルスによる需要減が重しとなっているようです。

さらに、OPECプラス 7/15に8月以降の減産規模縮小を決定しました。

現在日量970万バレルの協調減産を実施していますが、これを770万バレルに
引き下げます。つまり200万バレル程度の増産となるのです。
これによって過剰在庫の取り崩しが進まないシナリオが出てきました。

また、米国の製油所の稼働率、原油処理量の回復が鈍いことも重石。
米製油所稼働率は4/17時点では67.6%でしたが7/10は78.1%。
回復はしているものの、前年同期は93.1%、この時期は需要期ですので
9割以上稼働していなければ需要が旺盛であるとは言えません。
ガソリン需要は前年同期比▼6.1%となっています。

原因はクラック・スプレッドの低迷だと小菅さん。

クラックスプレッドとは原油価格と石油製品価格の価格差のことです。
(原油と石油製品の先物市場で
ほぼ同時に売り買い反対のポジションを建てる取引を指します。)

原油を精製して石油製品を製造する石油精製業者は、
原油先物契約の買いに対して石油製品先物契約の売りの
クラック・スプレットを行うことで、相場変動にかかわらず
精製マージンを固定化することができるということですが、
昨年はガソリン、ヒーティングオイルともに1バレル=23ドル前後だったものが、
今年は12ドル前後とほぼ半減しているのです。

過去最低レベルのクラック・スプレッドで、製油所が動かないため
原油在庫の取り崩しが遅れているとも言えますね。

原油価格に対して石油製品価格の安値修正が遅れており
製油所稼働率が上がらず、原油在庫取り崩しも進まないという状況にあるのです。

この問題の解決が進むかどうかが、原油相場の40ドル攻略の鍵を握る?!

詳しくはオンデマンド配信で小菅さんの解説をお聞きくださいね。

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