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ロシア制裁によってロシア産原油が市場から失われるリスクを警戒し3/7には1バレル130ドルにまで急騰した原油市場ですが、その後100ドルを割り込むなど乱高下。足元ではやや軟調に推移しています。原油ガスの生産大国であるロシアからの輸入を止めるという流れにある中で、さらなる原油価格上昇の予想が台頭していましたが、何故足下軟調に推移しているのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は経済産業研究所コンサルティング・フェロー藤 和彦氏に
原油市場の現状と今後についてお話を伺いました。

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藤氏によると、足下で原油価格が軟調な背景にある要因は大きく3つ挙げられます。

1・中国上海の都市封鎖、中国経済の停滞リスクで原油需要後退懸念台頭
2・IEA加盟国が石油備蓄放出、過去最大の市場供給
3・5月にも開始か、米FRBのバランスシート縮小開始が示される

1・中国景気は大丈夫?

中国の3月 財新 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は 42.0と
前月50.2から大きく低下しています。

総合PMI 43.9 (前回50.1)
製造業PMI 48.1 (前回50.4)
非製造業PMI 48.4(前回51.6) 

50が景気の分水嶺ですが、
ゼロコロナ政策の弊害が色濃く現れています。

企業物価指数は上昇していますが、消費者物価指数は低迷したまま。
資源インフレで企業のコスト負担が増す中、消費者の購買力の鈍さも気がかり。
藤氏は不動産市場の崩壊が影響していると指摘されています。

2・IEAは4月1日、加盟各国で石油備蓄を協調放出することを決定。

日本をはじめ他の加盟国は合計で6000万バレルの原油を放出することを決定しました。
また米国政府は3月31日、過去最大規模の戦略石油備蓄(SPR)の放出を発表しており
5月から半年にわたり、1日当たり100万バレルの原油を市場に放出するします。
放出の規模は合計で1億8000万バレルに達します。

3・3月FOMC議事録にて示されたFRBバランスシート縮小

月々上限は950億ドル、これは年間1兆ドルのペースになりますが
米国は政策金利引き上げと併せて急速に金融引締めを行うスタンスを示しました。
要するにばら撒いたドルを回収し始める、ということです。
これによって、最もリスクの高い市場から資金が引いていきます。
原油市場の投機マネーもこれまでのようには大暴れできなくなるでしょう。


足元では上記材料が原油市場の上値を抑えていますが
藤氏は長期的には原油価格は上昇する可能性が大きい、としています。

ウクライナ侵攻直前のロシアは430万バレルもの原油を西側諸国に輸出
していましたが、行き場を失ったロシア産原油は大幅なディスカウント価格で
インドや中国に向かっているといいます。
インドは2月24日以降、昨年の4倍のペースでロシア原油を輸入しています。

また、金利上昇局面で米国債が売られていますが
制裁を恐れた新興国らによる「米ドル外し」の動きも気がかり。
ペトロダラーと呼ばれドルが基軸通貨となってきた原油貿易ですが
世界の原油市場が分断されれば、取引が非効率化し
輸入国が支払う価格は構造的に高くなると藤氏。

詳しくはアーカイブ配信で藤氏の解説をお聞きくださいね。
https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-220412.mp3