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ロシアのウクライナ侵攻から1か月、多くの資源価格が高騰しています。日本でもこの4月から菓子うまい棒をはじめさまざまな食料品価格の値上げが発表されています。その背景にあるのがシカゴ穀物相場の高騰。

  コーン 年初599.00→高値782.75セント(+30.7%)
  小麦 年初774.00セント→高値1,363.50セント(+76.2%)
  大豆 1,349.00セント→高値1,759.25セント(+30.4%)

2月のFAO食料価格指数は既に過去最高値にありましたが、
ここにさらにウクライナ危機が反映されることとなります。

・コーン:家畜飼料やコーンスターチ、エタノール
・小麦:パン・麺類など食料品、若干が家畜飼料
・大豆:大豆油(植物油/バイオ燃料)+ 大豆ミール(家畜飼料)

バイデン米大統領は3/24、G7首脳会合後に食料不足が発生すると懸念を表明、
ドゥノルマンディ仏農相は3/21、EU農業会議にて
世界規模の食料危機につながる可能性に言及。
国連ファクリ特別報告者は3/18、世界的な食糧不足、
飢餓が発生する可能性があると発言しています。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケットエッジ代表小菅努氏にお話を伺いました。

黒海周辺は北半球で有数の穀倉地帯です。
・コーン(ウクライナ13.8%、ロシア2.3%)
・小麦(ウクライナ10.0%、ロシア16.0%)
・菜種油(ウクライナ3.0%、ロシア15.4%)
・ヒマワリ油(ウクライナ47.3%、ロシア30.0%)

価格高騰の背景には
  1)対ロシア経済制裁でロシア産の供給難(決済、輸送、保険)
  2)戦闘状態で黒海からの穀物輸出が停止、ウクライナでは輸出業務に影響
  3)ウクライナで2022年度産の作付が行われないリスク

等が挙げられますが同時に進行しているエネルギー問題では
G7エネルギー相会合では増産の呼びかけが話し合われています。
しかし農相会合では増産の呼びかけはできず生産国に対し輸出規制を
行わないように呼びかけるにとどまっています。
しかし既に輸出規制は始まっているのが現状。
穀物は石油と違って、足りないからといって掘れば出てくるものではないのです。

ロシアへの制裁でロシアの東欧向け輸出制限がかかるほか、
アルゼンチンの穀物輸出制限、インドの砂糖輸出制限、
インドネシアのパーム油輸出制限など食料インフレに備えて
生産国らが穀物の抱え込みに動いています。

今後の最大のリスクは、春の作付けができるのかどうか。
4~5月の作付け時期に作付けができないと1年間収穫物は得られません
ロシアは北部と南東部から侵攻中、北部はトウモロコシ、南部は小麦生産地。

農業コンサルタント会社APK-Informの分析では
2022年の穀物生産は54.6%減の3,890万トンとなる見込み。
・小麦53.7%減の1,490万トン
・コーン55.8%減の1,850万トン
・穀物輸出は32%減の2,993万トン

では、農業大国である米国の穀物生産はどうなっていくでしょうか?
これからアメリカも作付け期に入りますが、米気象庁の春季予報では
今年は乾燥傾向が強いとの予想が出されています。
米穀倉地帯72%で乾燥傾向が報告されており
南部は特に厳しい状態ですでにこの高温乾燥で綿花相場が急騰しています。
テキサス州は3月でも30度を超えているのだとか。
コーン生産地33%、大豆生産地23%、春小麦生産地41%、冬小麦生産地70%が、
既に干ばつ報告、今年米国まで不作となったら・・・・。
3/31に発表されるUSDA作付意向面積の数字には注目が集まっています。

詳しくはアーカイブで小菅氏の解説をお聞きくださいね。
https://www.radionikkei.jp/trendplus/