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4月20日、先物市場5月限納会において史上初めてマイナス40.32ドルを示現したWTI原油価格。5月19日の6月限納会においても同様のリスクが懸念されていましたが、納会を控え原油価格は30ドル大台を回復する水準にまで上昇してきました。


OPECプラスが減産で再合意に動いたこともありますが、米国やカナダが原油安によるコスト割れで減産せざるを得ない状況となったことで、オクラホマ州クッシング在庫の貯蔵スペースが警戒されていたほどには積み上がらずに済んでいることで、2匹目のドジョウを狙ったショートの踏み上げが原油上昇を招いていると思われます。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は経済産業研究所上席研究員 藤和彦氏をお迎えしお話しを伺いました。


世界第1位となった米国の原油生産も急減速。
石油掘削装置(リグ)稼働数は直近2カ月で半分以下(292基)となり、
リーマンショック時以来の低水準となりました。
足元の原油生産量も昨年7月以来の1200万バレル割れとなり、
日量1310万バレルから最大で300万バレル減少するとの見方が出てきています。


しかし足下のWTI30ドルは先月のマイナス40ドルから比較すると
なんと70ドルも価格が上昇したことになりますが、、、。
原油のフェアバリュー/適正価格水準とはいったいどの程度なのでしょう。


現在、新型コロナウイルス問題で需要増が見込めぬ中で、
供給側、つまり生産国の減産が価格変動要因として重要視されています。


世界の原油需要は日量約3000万バレル減少したとされていますが、
日量3000万バレルというのはOPEC全体の原油生産量に匹敵するという
途方もない規模なのです。

3月のOPECプラス会合での減産協議の決裂、さらにはサウジの増産で
原油価格が崩れてしまいましたが、
トランプ大統領が動いたことで、再びOPECプラスは減産で合意しています。


トランプ大統領は4月2日、ムハンマド皇太子に電話し
『価格競争を継続するならサウジアラビアとの間の軍事同盟を解消する』
と恫喝したと報じられています。

1945年2月、ルーズベルト大統領とアブドラアジズ国王との間で
「米国がサウジラビアの安全保障を引き受ける代わりに、
サウジアラビアは米国に石油を安定的に供給する」旨の取り決めがなされたのすが
これをトランプ大統領は白紙にするとして減産を迫ったのです。


さらに米軍はサウジアラビアに派遣していミサイル・パトリオット部隊4隊と
戦闘飛行隊2隊を撤収。トランプ大統領が安全保障カードを
サウジアラビアへのさらなる減産圧力に使ったと藤氏は指摘しています。


サウジアラビアは原油安に加え、減産による輸出シェア減に苦しめられていますが
財政均衡収支コストは80ドルとも言われています。
日本の消費税にあたる付加価値税を7月から現行5%の3倍の15%に
引き上げることを決めていますが、現在、サウジアラビアでも
新型コロナウイルス感染者数は4万人を超えこちらにも財政支出を迫られる非常事態。


増税と新型コロナウイルスの感染爆発により、国民の不満が高まるのは必至
とみられ、サウジアラビアで「アラブの春」が発生しかねないと藤氏は指摘します。

日本のリスクは?!

詳しくはオンデマンド配信で藤氏の解説をお聞きくださいね。
https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-200519.mp3