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ニューヨーク・タイムズ(電子版)が16日、トランプ大統領がイランの核関連施設に対する攻撃の可能性について側近と協議したと報じました。トランプ政権ではイラン核合意から離脱、イランへ制裁を課してきましたがバイデン氏は、イラン核合意への復帰を示唆しています。


皆さん御機嫌如何でしょうか、大橋ひろこです。
今日は経済産業研究所 上席研究員 藤 和彦氏をお迎えしバイデン政権誕生となると原油市況はどう変わるのかをテーマにお話を伺いました。


今日17日のOPECプラス閣僚級会合(JMMC)では、
来年1月からの減産縮小の見送りが検討されるようです。


振り返れば、サウジアラビアなどOPEC産油国とロシアなど
非OPECが協調して減産に踏み切らなければ、原油価格は現状の
40ドル台を維持することはできませんでした。
この原油の協調減産の立役者がトランプ大統領です。


コロナ禍、ロシアとの話し合いが上手く行かなかったサウジは増産を示唆、
これを受けてWTI原油価格はマイナス40ドルという大暴落を演じました。
この時、サウジに減産しなければ米軍を撤退させると迫ったのがトランプ大統領。
ロシアとサウジの間を仲介しOPECプラスの強調減産合意にこぎつけました。
米国シェール企業の存続をかけた交渉でもありましたが。


バイデン氏は、ロシアを「安全保障上の最大の脅威」と名指ししている他、
サウジアラビアとの関係を見直すことを公約で掲げています。

ロシアとサウジアラビアに距離ができるリスクがあるのです。
米国からの圧力がなくなれば、OPECプラスの結束が揺らぐリスクとなります。

そもそも原油安でOPEC加盟国の財政は火の車。
増産したいのが本音なのです。

また、バイデン政権が誕生すれば、
トランプ政権下で保たれてきた中東和平の揺り戻しの可能性が
否定できません。トランプ大統領の強力なイニシアティブを期待して
イスラエルと国交を正常化したアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンは
米国の中東政策が変更されることでイスラエルの敵国である
イランの軍事的脅威にさらされるリスクが生じると藤氏。

中長期的には対イラン、サウジ、ロシアへの政策変更による
中東情勢の悪化や、減産枠組みの崩壊などが原油価格を乱高下させる
リスクがありますが、短期的にはバイデン氏によるコロナ対策強化で
再びガソリン需要が低下し、原油価格を押し下げる可能性も。

藤氏には原油の大きな需要国である中国の情勢についても
お話をうかがっています。
詳しくはオンデマンド放送で藤氏の解説をお聞きくださいね。
https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-201117c.mp3