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コロナウイルスの感染拡大はとりあえず北半球では一旦、コントロール可能になった国が増えてきており、それに伴い経済活動が再開される国が増加していますが、南半球では感染者数の拡大ペースが加速、世界全体で見た時の感染者数の増加ペースは再び加速しています。ワクチン開発待たれますが、北半球は夏の間の感染流行の端境期であり今年の冬から来年にかけてコロナが再流行する可能性は否めません。

短期的に経済の回復がみられても、その後の反動での落ち込みが大きくなるリスクはないのでしょうか。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・リスク・アドバイザリー代表取締役 新村直弘氏に
「2020年下期商品市場と経済見通し」をテーマにお話しを伺いました。

新村さんは特に大統領選挙に向けて「景気回復を作りに行く」中で
今秋からの第2波での反動が大きくなるリスクを指摘されています。

大統領選挙というイベントを控えて米中対立も激化しており
中国依存のサプライチェーンの見直しがマーケットに及ぼす影響も気がかり。


WTI原油価格は4月の納会でマイナス価格を示現するなどの混乱がありましたが
低価格が奏功して米国を含め非OPECプラスの減産が続き、
徐々に下値が切り上がってきています。

しかしながら通常の経済活動が戻ったわけではないこと、
ポストコロナもリモートワークの定着から、輸送需要、
特に旅客需要の水準が低下した状態が定常化する可能性が高いことを考えると、
需要の戻りは緩慢で価格の上昇余地は限られると新村氏。


6月に9,10日に予定されているOPEC・OPECプラス会合では、
当初予定では200万バレル程度の減産幅の縮小(増産)が予定されていたが、
これは見送られることになるのではないかとみられます。


このままの低価格が続いた場合、シェールオイルなどの
非在来型の生産者の減産が進み、需要回復時に速やかな原油供給が
出来なくなる可能性があること、価格低下が産油国の財政状況悪化を通じて、
現物の供給に影響を及ぼす可能性があることを
中・長期的(1年超)な価格上昇のリスク要因として懸念しているとお話しくださいました。



また景気の動向を占う上で参考になる銅価格。
中国の経済活動の回復と、南米の鉱山生産活動の停止により
足下ではしっかりと上昇してきています。


しかし、新村氏は投機の売りポジションの解消に伴う買い戻しで
上昇したことは否めないとして新規の買い材料がなければ上値追いの展開は難しいと指摘。
中国政府も景気刺激のためのインフラ投資(電線網整備等)を行うなら
銅需要増加が見込まれるものの、そもそもの経済活動のレベルが低い上、
米国が中国に対する制裁を強化する見通しであり、
貿易量の減速を通じて価格が下落する可能性もあります。


コロナ禍で金価格は1,700ドルを上回る水準が定着しました。
これは米国の利下げに伴う長期金利の低下、並びに原油価格が
底入れしてジリジリ水準が切り上がっていることで
期待インフレ率が上昇、実質金利が低下していることが影響しています。

しかし、長期金利に下げ余地がないこと、原油価格が上昇しているものの
上昇余地は同様に限られることから実質金利の低下余地も限定され、
これ以上の価格上昇にはさらなる材料が必要です。
例えば、今後懸念されるリスクは高債務国、新興国の破綻。詳しくは音声を是非。


そして新村氏は今年後半は食品インフレが懸念材料となる可能性を指摘。
北半球が作付けの時期に、コロナウイルスが発生、
十分に播種の作業をする人員を確保できなかったのです。


特に懸念されているのがコメ。
東南アジアやインドでは、イネやトウモロコシの大害虫である
ツマジロクサヨトウという蛾が発生いるのだとか。


トウモロコシはコロナショックでエタノール向けの需要が減少、
共有過剰となり価格が下落しています。
また精肉工場でのコロナ発生により、飼料向けの需要が減少すると
見られたことも価格を下押ししました。大豆もこれに連れ安。
なお、肉類の価格高騰が米国で確認されていますが
中国では豚熱の影響が解消しておらず、肉類の価格は高いため
食品インフレのリスクとなるやもしれません。


また小麦はコロナ発生に伴う巣籠需要で価格が上昇。
作柄の悪化が指摘されており、供給懸念もくすぶる中で
サバクトビバッタは7月頃に落ち着くと目されているものの
被害が深刻な東アフリカ、中東地域では、
小麦価格高騰が政権転覆に繋がることもあり得るため、無視できないと新村氏。
詳しくはオンデマンド配信で新村氏の解説をお聞きくださいね。

https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/trendplus/trendplus-200602.mp3