雇用統計を受けて
2015/06/08(月) 17:00 菊川弘之
20150608

 強気の5月米雇用統計を受け、早期利上げ観測からドル円は急伸、NY金は続落で反応したが、ドル円が高止まりで推移したのに対して、NY金は安値から値を戻して引けている。これは、金の「モノの顔」としての生産コストが意識された事に加えて、NY株式市場が引き締め観測を嫌気して続落した事で「安全資産としの顔」が下支えしたものと思われる。アベノミクス開始以降、ドル円は上昇トレンドが継続しているのに対して、NY金は1200ドル以下の下値支持感が確認されつつある状態だ。
 雇用統計を今後のマクロ経済指標で確認する動きとなり、好材料が出た場合は、ドル円は上値を試す流れが継続しそうだが、NY株式市場安に連れて、新興国株価が連鎖安を見せるようなら、ドル円の上値は限定的・NY金の下値も限定的と言う流れになるだろう。利上げしても年内にわずかな幅を1回だけで、連続的なものにはなり難いとの見方は強く、株価が大きく下げ始めると利上げ観測は後退するだろう。IMFは4日、米国経済についての年次審査の中間報告で、米経済成長予測を引き下げ(今年に入り2度目)、米利上げについて「賃金や物価上昇の兆しが今より明確になるまで待つべきだ」として、利上げの時期は「2016年前半」が適切との見方を示し、ドル相場は「やや過大評価されている」とし、さらに著しく上昇した場合は「悪影響が予想される」と指摘している。

 中期的には、世界的に株価と実体経済の大きな乖離が拡大し続ける異常事態が続く中、歪みが大きければ大きいほど、長ければ長いほど、それが崩れた際には「安全資産としての金」が評価される流れとなろう。過去の利上げ局面のNY金の動きを振り返って見ると、実際に利上げが始まって見ると、下値を切り上げる動きが観測される。 

 一部で増産観測もあったOPEC(石油輸出国機構)総会で日量3000万バレルの原油生産目標が据え置かれたことで、NY原油は反発したが、供給過剰の長期化懸念や、対ユーロでのドル大幅上昇が上値を抑えた。ギリシャ問題の先送りで、ユーロ高の追い風も期待薄である一方、季節傾向の夏高パターンが下値を支え、しばらくは60ドル±5ドル程度の保合いが継続しそうだ。金融市場に大きな波乱がなければ、市場の関心は月末のイラン核開発協議へ向かうだろう。

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