今年の通貨は、何が強かったのか? [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2018/12/28(金) 16:00
皆さんこんにちは。「真壁昭夫のマーケット・ビュー」提供、株式会社フジトミの山口です。



ご存知の方も多いかと思いますが、音楽には強弱記号というものがあります。ff(フォルテッシモ)やmp(メゾピアノ)などで、それらの記号が付されたところでは、強弱をつけて奏(かなで)でます。

ちなみに、最も弱く奏でるのがpppppp(ピアニッシシシシシモ)、最も強く奏でるのがffffff(フォルテッシシシシシモ)です。

話を相場に戻しますが、通貨の上昇や下落をお伝えする際には、通貨の強弱に着目しています。

【今年一番強かったのは『日本円』】
例えば、今年1年間で強い通貨と弱い通貨を並べると、次のようになっています。


※東京金融取引所に上場している米ドル/円とクロス円を対象に2017年末の終値に対し、2018年12月27日時点での変化率を、日本円を中心(0)に比較
※薄い青色はハードカレンシー(主要通貨)
※濃い青色はマイナーカレンシー(マイナー通貨)

日本円を0として計算しているので、今年、最も強かった通貨は「日本円」となります。そして、次に強かった通貨は「米ドル」、次いで「香港ドル」、「メキシコペソ」といった具合です。逆に今年、最も弱かった通貨は「トルコリラ」、次いで「南アランド」、「スウェーデンクローナ」、「豪ドル」となっています。

したがって、今年は、「通貨」でいえば日本円や米ドル買いのトルコリラや南アランド売り、「通貨ペア」でいえば、トルコリラ/円や南アランド/円の売りや、豪ドル/米ドルの売りで、パフォーマンスが出たということです。

【通貨ペアを限定せずに、通貨の強弱に目を向けること】
為替相場で投資をする上では、米ドル/円という通貨ペアだけに固執しないほうがいいと考えています。私自身、記事やレポートなどを書く上でも、(通貨として)「米ドルと日本円が強く」という表現を良くしますし、一般的に経済の専門ニュースでも見かける表現です。

もちろん、(通貨ペアの)「米ドル/円」が買われるとか売られるという表現もします。

したがって、「(通貨として)米ドルと日本円が幅広い通貨に対し買われて、米ドル/円は下落した」という場合は、「米ドルと日本円が他の通貨に対しては買われたけれども、米ドルよりも日本円の方がより買われた」ということになります。

それでは、実際に為替相場に投資をする上で、なぜ、通貨の強弱に目を向けなければならないのでしょうか?

例えば、徒競走をイメージしてください。走るのが速いと見込まれている2名のうち、どちらが勝つかを予想するよりも、早そうな人と遅そうな人を予想する方が、やりやすくないでしょうか?

今年であれば、日本円や米ドルは買われやすそうだというのは、私も年初から伝えていました。逆に弱そうな通貨としては、トルコリラや豪ドルあたりは予想されていたと思います。

それであれば、敢えてどちらが勝つかを予想するのが難しい米ドル/円を取引するのではなく、強弱を組み合わせた通貨「トルコリラ/円」「豪ドル/円」「豪ドル/米ドル」などの方が予想しやすかったのではないでしょうか?

また、仮に今年の「米ドル/円」の相場を予想して当たってとしても、「トルコリラ/円」「豪ドル/円」「豪ドル/米ドル」の方が、利益率が高いわけですから、合理的に考えれば、後者を取引すべきではないでしょうか?

※余談ですが、グラフの主要通貨とマイナー通貨をわざわざ色分けしているのは、流動性(取引量があり、売買しやすい)の高さがわかり易くなるためです。また、個人的には主要通貨同士の通貨ペアを取引するのが好ましいと考えています。

【2017年と2016年の通貨の強弱】
次の2つのグラフは2017年通貨の強弱を、日本円を0%として示したものです。


2017年はユーロ買い米ドル売り(=ユーロ/米ドルの買い)のパフォーマンスが上がり易かったといえます。


2016年は英ポンド売りを中心に取引をしていればパフォーマンスが上がったということがいえます。具体的には、英ポンド/円の売り、英ポンド/米ドルの売りなどです。

【来年の為替マーケットは?】
それでは、2019年の為替市場はどうなるでしょうか? 個人的には、米国は世界経済の牽引役ですが、(米中だけでなく日米の貿易問題も取り上げられやすく)、米国の景気後退や利上げペースの鈍化懸念などもあるため、「米ドル」は何かしらにつけ弱くなりがちなのではないかと考えています。一方で、日本円は買われやすい地合いにあると予想します。 さらに、新興国通貨など、この数年売り込まれてきた通貨は、来年は買われやすくなるかもしれません。 【最後に】 今年は、年末にかけて株式も為替もボラティリティが高まりました。来年も色々なイベントが予定されていますし、突発的なことが起こる可能性もあります。個別の通貨ペアや銘柄に固執せずに、強いものを買い、弱いものを売るということが重要なのではないかと思います。

来年もよろしくお願いいたします。

※このコメントはテクニカルアナリスト山口の個人的な見解で、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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