想定以上にユーロ圏の景気が減速している。3月7日の理事会にて、ECBは先行きの景気を支えるために、思い切った措置を表明した。経済成長と物価見通しの下方修正、銀行向けの超長期の低利融資(TLTRO)の再実施に加え、利上げの時期を来年に先延ばしした(フォワードガイダンスの修正)のである。
市場参加者は、利上げ時期の先延ばしを想定していなかった。多くの投資家が利上げの時期を先延ばししなければならない程、ユーロ圏の景気は減速していると衝撃を受けただろう。そのため、独長期金利は急低下した。
ユーロ圏経済は中国の需要を取り込んで持ち直してきた。しかし、足許、中国経済は成長の限界に直面している。特に、債務問題の解決は難しい。今後、ユーロ圏経済が一段と減速、あるいは失速する可能性は軽視できない。金利が歴史的な低水準で推移する中、ECBがどのようにして景気を支えることができるか、先行きは不透明だ。
独10年国債流通利回りの推移
(記:真壁昭夫)