先週の金融市場から(3月11日~15日) [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2019/03/18(月) 10:30
2018年、中国経済の減速が鮮明となった。中国は経済成長の限界に直面していると考えられる。共産党指導部も、ここまでの景気落ち込みは想定していなかっただろう。それは、全人代で習近平国家主席の表情がさえなかったことからうかがえる。同氏は、かなり困っている。

中国政府は、財政支出を通してインフラ投資や減税を行い、景気を支えようとしている。それを反映して、固定資産投資は若干ながら増加の兆しを示しつつある。

しかし、個人消費(小売売上)は低調だ。生産の伸び率も鈍化している。政策期待にもかかわらず、企業経営者や家計のマインドは十分に好転していない。中国経済が底を打ったと判断するのは尚早だ。

中国経済は投資に依存して成長率を維持してきた。今後も、政府はインフラ投資などを増やさざるを得ない。その対策は、債務問題をより深刻化させる恐れがある。信用リスクが高まりやすくなる中、中国経済の先行きは不透明だ。

中国の固定資産投資と小売売上高の推移


(記:真壁昭夫)
先週の金融市場から(3月4日~8日) [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2019/03/11(月) 11:45
想定以上にユーロ圏の景気が減速している。3月7日の理事会にて、ECBは先行きの景気を支えるために、思い切った措置を表明した。経済成長と物価見通しの下方修正、銀行向けの超長期の低利融資(TLTRO)の再実施に加え、利上げの時期を来年に先延ばしした(フォワードガイダンスの修正)のである。

市場参加者は、利上げ時期の先延ばしを想定していなかった。多くの投資家が利上げの時期を先延ばししなければならない程、ユーロ圏の景気は減速していると衝撃を受けただろう。そのため、独長期金利は急低下した。

ユーロ圏経済は中国の需要を取り込んで持ち直してきた。しかし、足許、中国経済は成長の限界に直面している。特に、債務問題の解決は難しい。今後、ユーロ圏経済が一段と減速、あるいは失速する可能性は軽視できない。金利が歴史的な低水準で推移する中、ECBがどのようにして景気を支えることができるか、先行きは不透明だ。

独10年国債流通利回りの推移


(記:真壁昭夫)
先週の金融市場から(2月25日~3月1日) [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2019/03/04(月) 12:15
2018年10~12月期の米実質GDP成長率は、前期比年率で2.6%だった。これは、市場参加者の予想(2.3%)を上回った。これを受け、足許の外国為替相場ではドル高・円安が進んでいる。

4~6月期以降の成長率は同4.2%、3.4%と低下している。これは、米国経済がすでに減速していることを示している。同時に、成長率は潜在成長率と考えられる水準を上回っている。全体として、米国経済は減速しつつも、好調さを維持している。

現在の経済環境を基に考えると、短期間で米国経済が一段と減速し、成長率が潜在成長率の水準を大きく下回る展開は考えづらい。同時に、製造業を中心に米国経済の成長のモメンタムは幾分鈍化している。米中の貿易戦争の先行きにも不透明な部分があり、一筋縄ではいかない相場環境が続きそうだ。


米実質GDP成長率の推移


(記:真壁昭夫)
先週の金融市場から(2月18日~22日) [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2019/02/25(月) 11:00
米国の金利上昇圧力が低下している。今後、FRBが追加的な利上げを進めることは難しいと考える投資家は、かなり増えている。

複数のFRB関係者が今後の米国および世界経済に関して慎重な見方を示している。金融政策の枠組みの見直しに言及する関係者もいる。それは、FRB内部で利上げが必要な経済環境が過ぎつつあるとの見方が増えていることの現れと考えられる。FOMC議事要旨に記された内容以上に、FRBは利上げに慎重だ。

その見方から、株式などリスク資産の価格が押し上げられている。米中首脳が通商問題で合意するとの楽観も、株価上昇を支えている。短期的に、米国経済は安定を維持する可能性があり、市場参加者の楽観姿勢が続きそうだ。


米2年金利の推移

(記:真壁昭夫)
先週の金融市場から(2月11日~15日) [真壁昭夫のマーケット・ビュー]
2019/02/16(土) 15:00

頭の中に世界地図を思い浮かべるようにして世界経済の現状を考えると、米国経済は好調さを維持している。それは、世界経済全体の安定感を支える最も重要な要素だ。中国では、政府が景気の減速を食い止めるために経済政策に注力している。持ち直しの兆しは見えつつあるが、中国経済の先行きは依然として不透明だ。

一方、欧州経済の減速懸念は高まっている。その筆頭がドイツだ。2018年10~12月期のドイツ実質GDP成長率は前期比0%だった。リセッション(GDP成長率が2四半期連続でマイナスに陥る状況)は避けられたが、中国経済の成長率低下によりドイツ経済は明らかに減速している。

足許、米国では中国との通商協議への楽観が増え、株価が堅調だ。それにつられるようにして、欧州の株価も持ち直している。今すぐこの状況が崩れるとは考えづらいものの、徐々に、欧州経済の体力は低下している。


ドイツ実質GDP成長率の推移


(記:真壁昭夫)