「パウエルFRB議長再任、米国金融株が上昇」
「テーパリング→利上げの道筋を確認→米国長期金利が上昇」
「ドル高進む、1ドル115円台」
「原油備蓄共同放出→材料出尽くしで原油価格は上昇」
「トルコリラ急落」
東京株式市場は23日、休場でした。22日、23日の米国株は、ニューヨークダウが続伸する一方で、ナスダック総合指数は続落しました。2日間でニューヨークダウは200ドル余り上昇しました。一方で、ナスダック総合指数は2日間で280ポイントほど下落しました。
FRB議長にパウエル氏が再任されることになりました。金融行政について、現状の政策が継続されるとの安心感から、株式市場では金融株が買われました。
ニューヨークダウ採用の金融株の上昇が目立ちました。2日間累計の上昇率を見ると、JPモルガンが4.5%上昇、ゴールドマンサックスは4.8%、トラベラーズも5.1%上昇しました。
パウエル議長の再任を受けて、債券市場では、価格低下・利回り上昇が鮮明になりました。現状のテーパリング政策・その後の利上げ見通しの確度が高くなったことで、債券相場では売りが先行しました。10年債利回りは、2日間累計で約1.3%Pほど上昇して、1.66%前後で取引されています。
パウエル議長再任→米国金利の上昇を受けて、為替市場では、ドルを買う動きも勢いを増しています。ドル円相場は4年8か月ぶりのドル高水準、115円台となりました。
バイデン政権・米国エネルギー省は23日、戦略石油備蓄の放出を発表しました。中国、インド、日本、韓国、イギリスとともに石油備蓄を放出して、原油価格を抑制するとしています。5000万バーレルを放出します。
直近の発表データでは、12日時点の戦略原油備蓄は6億0614万バーレルです。既に戦略原油備蓄は減少傾向が鮮明です。9月3日の6億2130万バーレルに対して、10週連続減少して、その間の累計減少幅は1500万バーレルです。昨年7月のピークには6億5614万バーレルありましたので、この1年4か月の間に5000万バーレルほど減少しています。
23日の原油先物価格は、続落した後に反発して、1バーレル78ドル台で引けました。既に報じられていた「主要国による原油備蓄放出」が正式に発表された後、材料出尽くしで原油価格が上昇した形です。
各国の原油備蓄放出は、供給量を増やすので、原油価格に対する上昇抑制要因になるのは間違いありません。しかし、上記したように、米国の戦略原油備蓄はこの1年4か月の間に既に5000万バーレル減少していて、その間に原油価格が上昇の傾向をたどってきたこともまた事実です。国家の戦略が必ずマーケットを統制できるという訳ではないとの基本事項は覚えておきたいと思います。
ドル高が新興国通貨や新興国経済に与える影響に注意する必要性が生じています。他の新興国と同列では扱えないでしょうが、トルコリラが急落しています。
米国市場における金融株の上昇、米国金利の上昇、ドルの上昇、材料出尽くしを受けた原油の上昇、トルコリラの急落などを総合的に踏まえて、24日の東京株式市場は動きます。日本でも金融株やエネルギー関連株に買いが入るか、注目されます。
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マークイット社発表の11月のPMI速報値を記載します。
マークイット社発表 11月PMI速報値(カッコ内は前月比)
ドイツ
総合 52.8(+0.8)
製造業 57.6(-0.2)
サービス業 53.4(+1.0)
ユーロ地域
総合 55.8(+1.6)
製造業 58.6(+0.3)
サービス業 56.6(+2.0)
オーストラリア
総合 55.0(+2.9)
製造業 58.5(+0.3)
非製造業 55.0(+3.2)
米国
総合 56.5(-1.1)
製造業 59.1(+0.7)
非製造業 57.0(-1.7)
コロナウイルス患者増加の影響が経済面に影響を与えている欧州地域の動向が注目されましたが、欧州のPMIはさほど影響を受けていません。
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先週の土曜日放送のマーケットアナライズプラス(BS12、毎週土曜日午後1時~放送)に出演させていただきました。岡崎さんや鈴木さん、松尾さんと「半導体製造装置受注の急増がもたらす、今後の"影"」、「業績が上方修正されたのに、何故、鉄鋼株や商社株はあがらないのだろうか」というテーマで、皆様とお話しています。以下のYouTubeで見ることができますので、是非、ご覧ください。
アナライズ・プラス│名物記者が決算後の株価を徹底分析(2021年11月20日放送「マーケット・アナライズ plus+」) - YouTube