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「ニューヨークダウ、初めての36000ドル乗せ」

「1日のラッセル2000の上昇率は2.6%、出遅れ銘柄が幅広く買われる」

「ISM10月製造業景況指数、小幅低下だが60を維持」

「サプライチェーンの混乱続く。原料高、人件費上昇、物流問題」

「レーザーテックの7-9月期の受注高1083億円(売上高91億円)」

 

 

 

 

1日の米国株は上昇しました。ニューヨークダウは、取引時間中に初めての36000ドル乗せを実現しました。上昇率は、ニューヨークダウが0.2%、ナスダック総合指数が0.6%です。

 

 

米国の株価指数で上昇率が高かったのは、小型株で構成される「ラッセル2000」です。こちらの上昇率は、2.6%となりました。ラッセル2000は1日、2358ポイントまで上昇しました。高値は3月15日の2360ポイントです。ニューヨークダウとナスダック総合指数が連日で高値を更新する中で、まだ高値を抜いていないラッセル2000の上昇率が高くなりました。

 

 

主力株が大きく上昇した後、高値未更新の出遅れ株を買う動きが活発になり、ラッセル2000の上昇率が高くなりました。

 

 

1日に発表された、ISMの10月製造業景況指数は60.8と、前月比で0.3%P低下しました。良い悪いの分岐点50を大きく上回って60にも乗っていますので、引き続き、製造業の景況動向は高水準です。

 

 

ただ、新規受注については、59.8と前月比で6.9%P低下しています。産業界において足りない原材料等を確保するために、早めの発注が行われて、発注水準・受注水準は極めて高いレベルで推移してきましたが、その「前倒し発注」の動きが、今後、一服することを示唆しているのかどうか、興味深いデータです。

 

 

もっとも、サプライチェーンが正常化している訳ではなく、「Supplier Deliveries」(供給配達・入荷遅延)の項目は、75.6(前月比+2.2)と極めて高い水準が維持されています。「供給配達」が遅いと答えた企業の割合は52.5%(9月50.0%)、早いと答えた会社は1.4%(9月3.2%)でした。発注したモノが、なかなか企業に届かない状態です。

 

 

ISMの発表資料には、企業の声が紹介されています。コメントを紹介しましょう。

 

「好調な販売が続いているが、半導体を利益率の高い車両に転用し、利益率の低い車両の生産スケジュールを停止または制限している」(輸送用機器)

 

 

半導体が足りない中で、粗利益の高い自動車の生産を優先して、利益率の低い自動車を減産の対象にしている自動車メーカーの姿勢が浮かび上がります。

 

 

先週に、積水化学が決算を発表した際、自動車の高付加価値ガラスに使用される中間膜の需要が好調だとしていました。高級車に採用される「ヘッドアップディスプレイ」(情報が反映される窓ガラス)向けの中間膜の需要が好調です。自動車メーカーが減産を強いられる中でも、高級車の生産は優先しているので、高級車向けの素材の需要は好調に推移しています。

 

 

自動車メーカーは減産によって売上高の減少は避けられないでしょう。しかし、粗利の高い自動車の比率が増えることで、利益率はある程度の水準を維持できるとの考え方ができます。

 

 

以下、ISM資料にある注目コメントを掲載しておきます。

 

 

「グローバルなサプライチェーン問題は続いている。中国から何かを手に入れることは不可能に近く、極度の入荷遅延が発生している。マイクロチップとサーキットブレーカーの不足は続いている。2022年まで続くと予想される」(コンピュータ・電子機器)

 

 

「ビジネスは好調だが、サプライチェーンは毎日悪化している」(化学製品)

 

 

「輸入コストと遅延がビジネスに打撃を与え、不確実性のために安全在庫を増やす必要がある。中国での計画停電を受けて、出荷に一段の影響が出始めている」(食品・飲料・たばこ製品)

 

 

「ビジネスは好調な受注により好調を維持している。労働力、材料、貨物が不足している。生産は、需要面よりも供給面によって左右される状態へと、大きく変化している。あらゆる面でコストの上昇が続いているので、顧客に対して今年3回目の値上げを検討している」(家具および関連製品)

 

 

今回の7-9月期決算では、供給混乱の中で需要に対応するため、部材・製品の前倒し発注が活発になっています。足りないものをできるだけ早く手に入れるため、「早く列に並ぶ」ということです。列に並ばなければ、客が生産した部品を手に入れることができません。従って、取り敢えず列に並ぶ、予約をする、発注をするとの企業の行動につながります。

 

 

例えば、レーザーテック(6920)の7-9月期の受注高は1083億円、9月末の受注残高は2350億円となりました。同社の7-9月期の売上高は91億円です。前2021年6月期の年間売上高は約700億円です。現状の売り上げ規模に対して、大規模な受注残を抱える企業が増えています。

 

 

企業の活発な前倒し発注は、最終需要以上ペースで発注量が増加することを示します。足元の発注量・受注量が膨れ上がり、それが将来のどこかの時点での発注量急減につながることは避けられないのでしょう。株式投資をする上では、足元の受注増加を意識するのは当然ですが、将来の需要の先食いをしていることも意識したいと考えます。




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