「11日の米国株は安い」
「ドル円は113円30銭前後のドル高円安」
「原油価格上昇」
「工作機械受注、9月は高水準、7-9月期受注は2018年10-12月期以来の高水準に」
「EV化で設備投資需要高水準続く。自動車販売に関わらず、伸びる分野も」
週明け11日の米国株は下げました。ニューヨークダウの下落率は、0.7%、ナスダック総合指数は0.6%でした。
原油価格は一時1バーレル82ドル台まで上昇しました。11日の債券市場は休場でしたが、今週は引き続き、物価上昇、金利上昇を意識する週となります。
為替市場では、ドル高円安が続きました。日本時間早朝では、1ドル113円30銭前後での取引となっています。米国金利の上昇を意識したドル高の動きが強まっています。ドル高とともに、円売りの動きも見られています。
昨日11日、日経平均は1.6%の上昇率となりました。日本株以外でも、11日には、香港、ベトナム、ロシアの主要株価指数の上昇率が1%を超えていました。市場の一部では、リスクオンを意識したトレーディングが活発になっています。
ただ、今の為替市場におけるドル買いの動きが、リスクオンの動きを示しているかどうかについては、意見が分かれるでしょう。「景気拡大を受けた米金利上昇」がドルを引っ張っているのならば、明確なリスクオンです。しかし、「インフレを警戒した米金利上昇」がドル高の背景ならば、話は違ってきます。
☆
日本工作機械工業会が11日発表した9月の工作機械受注高(速報値)は1445億円となりました。前年同月比で71.9%増加、前月比で14.8%増加の極めて高い数字です。以下に記載します。
9月の工作機械受注高
前年同月比 前月比
総額 1445億円 +71% +14%
内需 575億円 +90% +29%
外需 870億円 +61% +7%
7-9月期の工作機械受注高は、速報ベースで4054億円となりました。これは、2018年10-12月期の4067億円以来の高水準です。
半導体不足や東南アジアのサプライチェーン混乱が自動車生産に影響を与えています。しかし、設備投資関連の需要は引き続き強いことがわかります。
安川電機は8日の決算説明会において、自動車減産の影響について聞かれた時「当社は車載製品を作っていない。EV(自動車)を作るための設備に使われる部材を作っている。自動車の(販売)台数が減少して売上高が減るのではない。自動車が売れようが売れまいが、先行きのEV増産のための設備投資が行われるのであれば、そこで投資が行われ、(主力製品の)モーションコントロール部品が必要になる」と話していました。
そのEV増産に向けた投資については、中国の大増産プロジェクトが遂行されているので、落ちていません。従って、足元で自動車の生産・消費が落ちても、中国の中期的なEV増産プロジェクトの需要を受ける部分については、落ちないことになります。それが、9月の工作機械受注高の極めて高い水準につながっています。
各産業界において7-9月期決算が集計中の段階にあります。自動車部品を供給している企業については、下振れの可能性も考慮しなければいけない状況です。しかし、自動車EV化の需要が発生している設備投資関連業界については、前向きな思考で対応する必要性も生じています。
自動車の生産台数によって需要が変動するのか、EV化の構造変化の中で設備投資関連の需要が発生しているのか、そのあたりを分けて企業を考えることが有効です。