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「8月米雇用統計、非農業雇用者の増加数は23万人にとどまる」

「6月―7月の月間平均100万人に対して伸び鈍化」

「米国株は小動き、ナスダック総合指数は小幅高」

「FRB、9月の雇用者回復を見極めへ」

「日経平均先物、先週土曜日早朝には約29600円」

 

 

先週末金曜日の日経平均は584円高となりました。菅総理大臣の辞任表明を受けて、今後作られる、新しい政権に対する期待が膨らんだ、との説明が多いようです。「新しい政権」がどんな政権なのか、当然わからない段階ですが、「期待と幻想」で株価が上昇する場面となります。先週1週間の日経平均は5日続伸、5日間累計の上昇幅は1486円、上昇率は5.37%となりました。

 

 

3日金曜日の米国株は小動きとなりました。ニューヨークダウは0.21%の下落率、一方でナスダック総合指数は、0.21%の上昇率でした。

 

 

3日に発表された8月の雇用統計は、非農業雇用者の増加数が23万5000人となりました。前月7月の修正値が105万3000人、6月が96万2000人でした。6月と7月の非農業雇用者の増加数が1カ月当たり約100万人だったので、8月の23万5000人は、極めて低い数字です。

 

 

8月の「Accommodation and food services」(宿泊及び飲食サービス)の雇用者は、前月比で3万4900人の減少となりました。この分野の雇用者は8月で1309万人と非農業雇用者全体(1億4719万人)の9%弱を占めます。

 

 

もっと細かく見ると、8月の宿泊業雇用者は174万人(前月比+6600人)と増加を保つ一方で、飲食サービス雇用者は1134万人(同-41500人)と減少しました。

 

 

飲食サービス雇用者の増加数は、6月24万2300人、7月28万9000人となって、全体の雇用者増加を牽引していました。それが、前月比マイナスに転じたのですから、「8月の非農業雇用者増加数の伸び悩み」は飲食サービス業の減少が大きな要因と結論付けられます。コロナウイルス感染リスクの高い業種への就職を控える動きと捉えられます。

 

 

コロナウイルスのインド型の感染者増加が飲食店雇用者の減少につながりました。これは、ミシガン大学消費者センチメント指数やコンファレンスボード消費者信頼感指数の8月の急低下と、強い関連性のある事象と判断されます。

 

 

しかし、非農業雇用者増加数の伸び悩みにもかかわらず、米国株はほとんど下げませんでした。前述したように、ナスダック総合指数については、高くなりました。9月4日の失業保険の上乗せ措置の期限切れに伴って、9月以降の雇用者増加が見込まれるので、8月の雇用者伸び悩みは大きな材料ではないと、マーケットでは判断されたようです。

 

 

雇用統計の家計調査の部では、労働参加者が19万人の増加となる中で、雇用者は50万9000人増加し、差し引きで失業者は31万8000人の減少となりました。失業率は5.19%で、前月の5.39%に対して0.2%P低下しました。

 

 

ちなみに、6月のFOMCにおいて、メンバーが予想する今年末の失業率の中央値は4.5%です。

 

 

8月の雇用者の伸びが鈍かったので、9月22日のFOMCにおけるテーパリング開始発表の可能性は極めて低くなりました。消えたと言ってもいいかもしれません。もともと7月のFOMCの声明文で「(テーパリングは)今後複数の会合で議論する」と明記されていました。少なくとも9月と11月の2回のFOMCで議論を経た後で、テーパリングは決断されるとの従来の見方に立ち返りたいと考えています。

 

 

FRBは、9月の雇用者が本当に増加するのか、見極めに入ります。9月の雇用統計が極めて重要な意味を持つ状況となってきました。

 

 

なお、日経平均の先物は、日本時間の土曜日早朝の段階で、大証先物が29580円、シカゴ先物が29595円で引けています。




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