「米国で半導体関連株の下落が続く」
「ASML、水曜日の新高値後、2日で5.2%下落」
「6月小売売上高、デパート、衣料品店の売上増加」
「7月消費者信頼感指数が低下」
先週末16日金曜日の米国株は下げました。ニューヨークダウ、ナスダック総合指数とも、0.8%台の下落率となりました。小型株の値動きを示すラッセル2000の下落率は1.2%と、相対的に大きくなりました。
ラッセル2000は4日続落。4日間合計の下落率は5.2%に達しています。幅広い小型株において、利益確定売りに押される株が増えています。
先週金曜日の米国株式市場では、引き続き半導体関連株の下落が目立ちました。
先週木曜日に発表された台湾の半導体メーカーTSMCの4-6月期決算において、利益の伸びが鈍かったため、木曜日の米国株式市場でTSMCの株価が下落、それが半導体関連株全般の下げにつながりました。金曜日の日本株市場も、半導体関連株の下落が大きな影響を与えました
16日金曜日の米国市場でも、半導体関連株の下げが続きました。半導体露光装置の世界トップメーカーASMLの株価は、16.52ドル安の687.42ドルでした。2.3%の下落率です。
ASMLの株価は先週の14日水曜日に723.01ドルの史上最高値を付けていました。TSMCの決算発表の後は、ASMLの株価は2日続落、2日間合計の下落率は5%に達しています。
高値を付けた後の下落ですから、ASMLの場合、基本的には、高くなってきた株価に対して、TSMCの決算発表後の半導体関連株の株価の反応を受けて、ASMLにも利益確定売りが膨らんだと解釈するのが、適切だと考えられます。
16日の米国市場では、アプライドマテリアルが3.7%、ラム・リサーチも3.6%の下落率となりました。半導体製造装置メーカーの株価が大きく下げています。
TSMCの利益面の伸び悩みの要因は、大規模な設備投資に起因しています。3年間で1000億ドルの設備投資を行うことは既に発表されていたことで、新しく表面化したことではありません。
TSMCは積極投資を抑制する訳ではありません。半導体の需要が鈍っている訳でもありません。7-9月期の売上高計画は、レンジの下限でも4-6月期比10%の増収なので、売上高見通しが悪い訳でもありません。将来の半導体市場の拡大路線に対して、変調を感じさせる事実が表面化したわけでもありません。
冷静に考えれば、TSMCの決算内容は、半導体製造装置メーカーの事業環境の変化を示した訳ではありません。大型投資の負担がTSMCの利益率を低下させたという個社の要因です。従って、半導体製造装置メーカー全般の株価大幅下落は、理屈には合わないことになります。
しかし、半導体関連株は、将来的な市場成長を考慮して極めて高いPERにまで買われてきた企業もあります。そうした高いPERの株は、特に事業環境に明確な変化が生じなくても、「時間の経過」や「成長期待要因の鮮度の薄れ」によって、調整場面が訪れるのも、株式市場では、不思議なことはないのでしょう。
16日金曜日には、米国の6月の小売売上高も発表されました。売上高は前月比で0.6%の増加となりました。業態別動向は以下に示します。
家電 +3.3%
衣料品 +2.6%
ガソリンスタンド +2.5%
デパート +5.9%
雑貨店 +3.4%
飲食店 +2.3%
自動車半場店 -2.6%
家具店 -3.6%
建材・園芸店 -1.6%
米国民の外出が活発になって、衣料品店やデパートの売上高が5月と比べても、さらに伸びています。一方で、巣籠消費の恩恵を受けた家具店や建材・ガーデニング店の売上が鈍っています。
ミシガン大学が16日発表した、7月の消費者信頼感指数速報値は、80.8となりました。以下に示します。
7月 (前月比)
消費者信頼感指数 80.8(-5.5)
現状指数 84.5(-4.6)
先行き指数 78.4(-6.1)
特に先行き指数の落ち方が大きくなっています。価格の上昇に対する消費者の不安感が、消費者信頼感指数に反映されていると見られています。