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「パウエル議長の議会証言を受けて株価下落」

「テーパリング加速を議論へ」

「持続的なインフレリスク」

「インフレはについて、transitory(一時的)を使わなくなる」

「米国金利低下、原油価格下落」

 

 

 

 

11月30日は再び、世界株安の色彩が強くなりました。モデルナのCEOの「オミクロンに対して既存のワクチンの効果は薄い」との発言が伝わったことで、日本株を中心にアジア株が総じて下落しました。

 

 

米国株については、ニューヨークダウについては、終始マイナス圏での推移でしたが、ナスダック総合指数は、米国東海岸時間午前10時前後には前日比プラスの場面もありました。モデルナCEO発言については、株価の下げる材料だとしても、ナスダック株価のプラス場面があったことを考慮すると「とても大きな悪材料」ではなかったと判断できます。

 

 

しかし、その後、ナスダック総合指数は下げ幅を広げ、1.5%の下落率となりました。「モデルナCEO発言」よりも「パウエル議長議会証言」が重要な意味合いを持ち、ナスダック株価を押し下げました。

 

 

議会証言の前の段階で、パウエル議長発言の基本内容は、FRBのホームページに掲載されています。そこには、こんな記述があります。以下に記載します。

 

 

「オミクロン変異株の出現は、雇用と経済活動にダウンサイド・リスクをもたらし、インフレの不確実性を高めている。ウイルスへの懸念が強まると、人々の自発的な就労意欲が低下し、労働市場の進展が遅れ、サプライチェーンの混乱が激化する可能性がある。」

 

 

「オミクロンが雇用と経済にダウンサイド・リスクをもたらす」の部分を重視するならば、雇用や経済が悪化する懸念がるので、FRBは雇用や経済を強くするための努力をしなければならない、引き締め型に傾いていた金融政策を再び緩和的に転換する、との捉え方も可能になります。実際にそのような解釈でグロース株を買う動きもありました。

 

 

しかし、「ウイルスへの懸念から人々が仕事に就かない状況が続けば、(人手不足・ドライバー不足を受けて)サプライチェーンの混乱が激化する」の部分を取り出せば、「サプライチェーン混乱激化で物価の上昇が加速するので、その物価上昇を抑制するために引き締め型の金融政策を加速しなければならない」との捉え方も可能になります。

 

 

実際のパウエル議長の議会証言においては、以下のような趣旨の発言がされました。

 

「テーパリングの加速を12月のFOMCで議論する」

「より持続的なインフレのリスクが高まっている」

「インフレについて、transitory(一時的)という言葉を使わないのが適切な時期かもしれない」

 

 

金融政策に対してタカ派的な色彩が再認識されました。「オミクロンの影響で金融政策は緩和的になる」との考え方は取り下げざるを得ない状況となりました。

 

 

米国10年債利回りは、一時1.41%まで低下しました。原油価格は64ドル台まで下落しました。金融政策に引き締めの色彩が強まる一方で、金利は低下して原油価格は下落するという構図を直視するならば、当局が物価の抑制のために金融引き締めを急ぐ結果、景気が悪くなるとの投資家の不安が浮かび上がります。

 

 

明日から2日間(2日-3日)、このコーナーはお休みとなります。次回は、12月6日月曜日に掲載予定です。





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