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「先週末のNYダウ、終値で新高値」

「6月非農業雇用者数は85万人の増加」

「労働参加者増加は小幅にとどまる」

「債券利回り低下」

 

 

 

先週末2日の米国株は上昇しました。ニューヨークダウの上昇率は0.44%、ナスダック総合指数は0.81%でした。

 

 

ニューヨークダウは終値で史上最高値を更新しました。これまでのニューヨークダウの終値の史上最高値は5月7日の34777ドルでした。先週末2日の終値は34786ドルでした。ちなみに、取引時間中の高値は5月10日の35091ドルです。

 

 

2日に米国の6月雇用統計が発表されました。強過ぎるという訳ではなく、ほどよい内容になって、株価の上昇要因になったと考えています。

 

 

6月の非農業雇用者の増加数は、85万2000人となりました。5月は58万3000人、4月は26万9000人だったので、6月の水準はぐんと高くなりました。

 

 

85万人のうち、民間雇用者の増加数は66万2000人です。そのうち、サービス業の雇用者増加が64万2000人です。

 

 

約66万人の民間雇用者増加のうち、64万人がサービス業の増加です。サービス業だけが増加していると言っても、言い過ぎにはなりません。製造業は1万5000人の増加にとどまり、建設業に至っては、7000人の減少です。建設労働者の不足が続くことを予感させる厳しい数字です。

 

 

サービス業では、レジャー・観光業の増加数が34万3000人と、全体の半分強を占めます。次に小売業の増加数が6万7000人でした。米国民の外出行動による雇用の回復が浮かび上がります。

 

 

非農業雇用者の増加数は高水準になったのですが、2日の米国10年債利回りは0.05%ほど低下しました。債券利回りの低下は、債券相場が、雇用統計の内容を楽観視している訳ではないことを示します。

 

 

6月の失業率については、5.88%と5月の5.78%に対して、0.1%ほど上昇しました。失業率については、家計調査のデータを基に算出されています。家計調査における雇用者は、前月と比べて、1万8000人減少していました。

 

 

6月の労働参加者が前月比で15万1000人ほど増えた一方で、雇用者が増えなかったので、失業率は結果として上昇しました。

 

 

非農業雇用者の増加数が予想を上回る一方で、失業率は上昇したため、債券相場は景気を楽観視することはなく、利回りは低下しました。そして株価は、雇用と金利のバランスがちょうどよい状態になったと解釈して上昇を続けている、との構図と考えます。

 

 

「労働参加者が増加した結果、失業率が上昇した」という事実は、特に悪い現象ではありません。大切なのは、労働者の数であり、労働参加者が増えることは、消費・景気にとっては大歓迎です。労働参加者の増加の結果、失業率が上昇しても、基本的には悪材料ではありません。

 

 

むしろ、6月の労働参加者の増加数が15万人ちょっとしか増えなかったことが、問題なのかもしれません。

 

 

6月末における労働参加者は1億6108万人です。コロナショック前の2020年1月の労働参加者は1億6445万人です。仮に今年7月から12月までの6カ月間で、コロナショック前の労働参加者数を回復するためには、「1億6445万人−1億6108万人=337万人」を6か月で増やさなければなりません。計算すると、1か月当たりでは、337万人÷6か月≒56万人の労働参加者の増加が必要になります。

 

 

6月雇用統計における影の部分は、失業率の低下ではなく、労働参加者数の増加が小幅にとどまっている点だと考えます。

 

 

以下に、昨年初以来の月別の労働参加者の数値を記載します。(単位 1000人)

2020年

1月  164455

2月  164448

3月  162721

4月  156478

5月  158200

6月  159797

7月  160085

8月  160818

9月  160078

10月 160718

11月 160536

12月 160567

2021年

1月  160161

2月  160211

3月  160558

4月  160988

5月  160935

6月  161086

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