「13日のナスダック株式が大幅高」
「"急落銘柄"の大幅高が続く」
「ビットコインも急反発」
「日本のSBG急騰も参考に」
先週金曜日、13日の米国株は大幅高となりました。上昇率は、ニューヨークダウが1.4%、ナスダック総合指数は3.8%となりました。特にナスダック総合指数の上昇率が高くなりました。
「ここまで大幅に売り込まれた銘柄」が軒並み急騰しました。新興電気自動車メーカーのリヴィアンは、12日の約18%の上昇に続き、13日もおよそ10%の上昇となりました。13日の終値は26.70ドルでした。
リヴィアンはアマゾン出資の電気自動車メーカーとして昨年11月にナスダック市場に新規上場しました。売上高がほとんどない段階にも関わらず、上場直後に時価総額が1600億ドル弱(現在の日本円換算なら約20兆円)まで膨らみ、株式バブルの象徴的な存在として受け止められていました。
リヴィアンの株価は高値180ドル弱を付けた後、先週水曜日には20ドル割れまで下落、高値から10分の1近くに下落していました。決算発表が契機となる形で、先週の木曜日から急騰しています。
リヴィアンの急騰が、ナスダック市場に上場している「ここまで株価が数分の1になった株、バブルが弾けて急落した株」全般の上昇につながりました。バブルの弾けた株のショートポジションを取っていた投資家が買い戻しを行い、そこに投機資金が大挙して押し寄せたのでしょう。
株価が210ドルから29ドルまで下げたユニティ・ソフトウエア(U)は12日16%、13日11%の急騰です。141ドルから21ドルまで下げたロブロックス(オンラインゲームのプラットフォーム運営、RBLX)は12日19%、13日15%上昇です。
さらに仮想通貨運営のコインベース(COIN)は、高値368ドルから40ドルまで下げた株ですが、12日は9%、13日も16%の急騰です。
コインベースの上昇が示すように、大きく下げた仮想通貨の戻りも急角度になっています。ビットコイン価格は12日の安値26350ドルに対して、直近では3万ドルを回復してきました。高値から6割以上下げたビットコインが急反発、ナスダック市場で「高値から数分の1」になった株が軒並み急騰、ここまでの「悪役銘柄」の急反発が売り込み銘柄全般の上昇をもたらしています。
日本では、13日にソフトバンクグループが急騰しました。巨額赤字決算を発表した直後の急騰です。米国における悪役銘柄の反発が13日のソフトバンクグループの急騰をもたらし、ソフトバンクグループの急騰が13日のナスダック売り込み銘柄のさらなる上昇につながった構図です。
基本的には「金融引き締め強化を受けて株価軟調」が今の大きなトレンドです。しかし、ごく短期的には、需給面の好転が買い方から意識されています。
「12日はNYダウ小幅安、ナスダック指数は小幅高」
「10年債利回り低下、ドル安」
「ビットコインの大幅安続く、後半は戻す」
「ビットコイン価格、高値から6割安、底打ち場面は?」
「米国4月卸売物価指数、高い伸びが続く」
「米国の玉子価格が急騰、前年同月比2.6倍、前月比82%上昇」
12日の米国株は、ニューヨークダウが小幅安、ナスダック総合指数は小幅高となりました。終値の変化は乏しかったのですが、取引時間中はけっこう動いています。ニューヨークダウは、一時、600ドル下げる場面もありました。ナスダック総合指数についても、最も安い位置では250Pほど下げています。不安定な値動きです。米国時間で午後3時以降に、買いが優勢となって、終値は前日とあまり変わらない水準となりました。
債券は買われ、10年債利回りは2.81%台まで低下しました。今週の初めの3.16%に対して、0.35%Pも低下しています。金融引き締めが今後の米国景気に与える悪影響を考慮した債券買いと受け止められます。ドル円相場は128円30銭台まで下落、こちらも週初の9日に付けた131円30銭から3円ほどのドル安円高です。
今週の流れを見ると、週初に米国金利とドル円相場が高値を付けた後、金利低下とドル下落の動きが木曜日まで続いた形です。株価は下げ基調ですが、木曜日の引け近くになって、値ごろ感を意識した買いが先行しました。
ビットコイン相場の大幅安が続いています。およそ2週間前の4月28日には4万ドルだったビットコイン価格は12日には26350ドルまで下げました。しかし、その後28500ドルあたりまで戻しています。ビットコイン価格の1日のレンジが26500ドル~30000ドルです。極めて幅広いレンジにおけるビットコインの値動きが見られています。
今、ビットコイン価格は52週安値です。ビットコインの史上最高値は昨年11月10日の68789ドル(yahoo finance参照)です。高値から6割強下落したビットコインが乱高下しながら、大底を探っているようにも見えます。
高値からの下落率が極めて大きくなったビットコイン価格が底打ちするならば、それはリスク資産の売却を急ぐ投資家心理の大底を示すとの仮説も考えておきます。
☆
米国労働省は12日、4月のPPI(卸売物価指数)を発表しました。前年同月比で11.0%、前月比で0.5%上昇しました。3月は11.5%、1.6%でした。伸び率は、3月と比べると、前年同月比・前月比とも鈍化しています。以下に示します。
4月のPPI
前年同月比 前月比
全体 +11.0% +0.5%
食品 +16.3% +1.5%
エネルギー +40.0% +1.7%
食品とエネルギー除く +10.1% +1.0%
サービス +8.1% 0.0%
サービス関連の価格が前月比で横ばいにとどまったことで、前月比の上昇率は鈍ってきました。しかし、食品とエネルギーの価格上昇が目立っています。
食品の項目を細かく見ると「生卵」の価格が前年同月比で2.6倍、前月比で82%も上昇しています。法人間の取引なので、スーパーで売られている生卵がこんなに上昇している訳ではありませんが、もしも生卵を購入する価格がこんなに上昇してしまったら、ぞっとします、1パック10個入りの生卵250円が翌月に450円になってしまったら、大事です。
1日まえに発表されたCPI(消費者物価指数)において、玉子の価格を見ると、前年同月比で22.6%、前月比で10.3%上昇しています。卸売物価ほどではありませんが、消費者物価でも玉子の価格は急騰していました。
玉子の価格上昇を見ると、生活必需品に当たる食品価格の上昇が米国民に与える影響は深刻な状況になっていると考えます。
「11日の米国株は下落」
「米国4月消費者物価指数、前年同月比8.3%上昇、高い伸びが続く」
「食糧価格の上昇目立つ」
「新車価格も上昇」
「トヨタの資材費、今年度は1兆4500億円の増加」
「金融引き締め強化路線続く」
11日の米国株は下げました。下落率は、ニューヨークダウが1%、ナスダック総合指数は3.1%でした。
11日には、米国の消費者物価指数が発表されました。前年同月比で8.3%、前月比で0.3%の上昇となりました。以下に示します。
4月米国消費者物価指数(単位 %)
前年同月比 前月比
総合 +8.3 +0.3
食品 +9.4 +0.9
エネルギー +30.3 -2.7
(除く食品・エネルギー )+6.2 +0.6
衣料品 +5.4 -0.8
新車 +13.2 +1.1
中古車 +22.7 -0.4
住居関連 +5.1 +0.5
前年同期比の伸び率は前年同月比で8.3%。3月の8.5%と比べて低下しました。しかし、市場予想の8%前後に対しては上振れしました。昨年の4月の伸び率が4.2%に拡大していたので、その時との比較となる今年4月の伸び率は鈍くなると見られていました。実際には、極めて高い水準が続いています。
高い物価上昇率を受けて、金融引き締め強化が再認識され、米国株は下げました。特に金融引き締めに弱いナスダック総合指数の下落率が大きくなりました。
自動車価格については、中古車の価格は前月比で低下しましたが、新車の上昇率は前月比、前年同月比とも上昇しています。米国における自動車価格の上昇が際立っています。
昨日、トヨタ(7203)が2022年3月期の決算を発表しました。今2023年3月期の営業利益について、前期比で約2割の減益となる2兆4000億円の見通しを発表しました。売上高5%増収に対して、営業利益は20%の減益です。
資材費急騰が減益要因です。今年度の資材費は1兆4500億円も上昇する見通しです。原価改善効果の3000億円では、全く吸収できません。
「トヨタの資材費1兆4500億円増加」は各国政府・中央銀行にとっても大きな出来事でしょう。国民生活にとって重要なツールである自動車の価格上昇は、生活の質の変化に直結してきます。また、企業収益の悪化を通じて、国民消費の動向にも影響を与えます。
トヨタの資材費急騰は、各国金融当局の金融引き締めに対する意を強くさせた一面があります。
「10日はNYダウ下落、ナスダック指数上昇」
「原油価格100ドル割れ」
「ソニーグループ、新年度営業利益3%減益」
「住友金属鉱山の新年度は減配予想」
「10日に下落した総合商社株、本日の株価動向は?」
10日の米国株は、ニューヨークダウが下げて、ナスダック総合指数は上昇しました。ニューヨークダウの下落率は0.2%、ナスダック総合指数は上昇率が約1%でした。
ニューヨークダウは前日比で500ドルほど上昇する場面もありましたが、その後、売り物が優勢になって350ドルほど下げる場面もみせました。終値は小幅安でした。米国時間11日の4月消費者物価指数の発表を控えて、不安定な展開です。
原油先物価格は、およそ2週間ぶりの100ドル割れとなりました。
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ソニーグループ(6758)が10日発表した、2022年3月期の営業利益は1兆2000億円となり、前の期と比べて約26%の増益となりました。今2023年3月期は1兆1600億円(-3.5%)を計画しています。セグメント別の見通しを以下に記載します。(単位 億円)
ソニーグループの営業利益見通し
全体 11600(-423)
ゲーム&ネットワークサービス 3050(-411)
音楽 2300(+191)
映画 1000(-1174)
エンタテインメント・テクノロジー&サービス 1800(-329)
イメージング&センシング・ソリューション 2000(+444)
金融 2200(+699)
映画事業の大幅な減益が目立ちます。前期に計上した事業譲渡益700億円がなくなる特殊事情が主因です。為替の円安が、全体の水準を押し上げている面もありますが、高い水準の利益が計画されています。
☆
住友金属鉱山(5713)が10日発表した2022年3月期の税引き前利益は3574億円、前の期と比べて約2.9倍増となりました。今2023年3月期については、1940億円(-45%)を計画しています。
前期に計上した事業譲渡益がなくなるほか、相場前提要因の変更によって、大幅な減益が想定されています。今年度の配当金は175円と、前期の301円から減らす計画です。
昨日の東京株式市場では、総合商社やINPEXの株価が大きく下げるなど、資源・エネルギー関連株の下落が目立ちました。一方で、良品計画やローソン、ドラッグストア等が株価上昇率上位に入りました。
本日は、資源・エネルギー株、総合商社株の下落に対して、配当利回りを考慮した投資家の買いがどのくらい膨らみ、株価の反発力がどの程度あるか、注目点となります。
「9日の米国株は下落」
「ナスダック総合指数、この10日間で3度目の"4%超の下落率"」
「株式、ビットコイン、原油、あらゆるものに売りが膨らむ」
「量的金融引き締めによる"資金減少"を警戒」
「タイソンフーズ、食肉価格上昇で好決算」
「肉の出荷量は増えず、価格上昇」
週明け9日月曜日の米国株は大幅安となりました。下落率は、ニューヨークダウが約2%、ナスダック総合指数は約4.3%でした。
ナスダック総合指数の下落率が、前日比で4%を超えるケースが目立っています。直近でも、5月5日、4月29日に下落率は4%を超えました。10日間で3回も下落率が4%を超えているということは、株価が金融引き締め強化に対して悲鳴を上げていることを示します。
通常、株価が悲鳴を上げると、米国政府・FRBは株式市場を助けに行きます。しかし、今回、FRBは、もっと大きな敵=インフレを退治するために、株式市場を犠牲にすることも厭わないとの姿勢を決めた、そのように株式市場は考慮しているようです。
9日の米国10年債利回りは、午前中に3.16%台まで上昇した後、3.07%まで押し戻されました。債券については、取引時間中に買いが先行する展開となりましたが、多くの対象には売りがかさんでいます。朝方、110ドル台だった原油先物価格は102ドル台まで低下しました。ビットコインの価格は、6日金曜日との比較では約12%も下げています。
リスク資産からお金が逃げる時は、そのお金の逃避場所があるものですが、今回は債券を含めてあらゆるものが売られています。これも、FRBのQT(量的金融引き締め)の破壊力なのでしょう。市場に供給されるお金の量が減少すれば、市場からお金自体がなくなるので、色々なモノの価格が下がります。
☆
今週は、日本企業の決算発表がラッシュの時期となります。やはり、「原材料価格の上昇」が再認識される内容です。
ユニ・チャーム(8113)が9日発表した今12月期1-3月期の売上高は前年同期比12.3%増加の2043億円となりました。一方で、コア営業利益は299億円(前年同期比-4.5%)となりました。増収減益の決算です。
売上原価は1279億円と、前年同期比18.5%の増加でした。売上高を大きく上回る原価の伸びが利益面を圧迫しています。
加工食品・食肉を主力とする伊藤ハム米久HD(2296)が9日発表した2022年3月期の営業利益は246億円(+2.4%)となりました。今2023年3月期は売上高8650億円(+1.2%)、営業利益210億円(-14.7%)を計画しています。増収減益見通しです。
今年度は、「原材料・光熱費影響」が80億円の減益要因となる見通しです。
伊藤ハム米久の営業利益見通しを「加工食品」と「食肉」に分けて見ましょう。
伊藤ハム米久の2023年3月期営業利益計画(前期比)
加工食品 75億円(-35億円)
食肉 150億円(+1億円)
特に加工食品事業の利益面が厳しい見通しにあります。食肉事業は増益を確保する見通しです。より川上の分野に位置する事業の方が、原材料価格上昇時代には優位になることがわかります。
もう一つ、注目点を挙げると、食肉事業の中の「海外事業」が利益の上乗せ要因になっています。「海外事業」は、2022年3月期に29億円の増益要因となりました。また、2023年3月期においても、15億円の増益要因となっています。海外における食肉販売事業は利益が大幅に増えています。
日本に暮らしているとなかなか実感できませんが、海外の食肉業者は価格上昇メリットを享受していると考えられます。
☆
ニューヨーク市場上場の食肉企業では、タイソン・フーズ(TSN)が9日に1-3月期決算を発表しました。日本円換算で時価総額が3兆円を超える企業です。
タイソンフーズの1-3月期
売上高 131億ドル(+16%)
営業利益 11億ドル(+60%)
価格上昇効果を満喫した決算です。1-3月期における肉の出荷量、価格の動向を見てみましょう。
量 価格
牛肉 +0.6% +23.8%
豚肉 -4.8% +10.8%
鶏肉 +0.6% +14.4%
出荷量は増えていません。価格の上昇によって、売上高・利益が急増している構図がわかります。タイソンフーズの9日の株価は約2%の上昇となりました。
「6日は米国長期金利上昇、株価下落」
「4月雇用統計、非農業雇用者の増加数は3月と同じ」
「労働参加率が低下、供給不足を警戒」
「時間当たり賃金の高い伸びが続く」
先週金曜日、6日の米国株は下げました。4月雇用統計の内容を受けて、インフレ動向を警戒する動きが強まりました。金利が上昇し、株価は下げました。
6日の米国10年債利回りは3.13%台まで上昇しました。ニューヨークダウは0.3%下落、ナスダック総合指数は1.4%の下落率となりました。
6日に発表された、4月の雇用統計では、非農業雇用者の増加数が42万8000人となりました。3月の増加数も42万8000人でした、2月は71万4000人でした。
労働参加者は1億6404万人で、3月との比較で36万3000人減少しました。労働参加者の減少を受けて、労働参加率は62.2%となり、3月の62.4%に対して低下しました。労働参加者率の低下が労働力不足への認識を高め、供給不足・物価上昇への懸念を強めました。
賃金上昇も物価上昇への警戒感を高めました。民間企業全体の時間当たり賃金(時給)は31.85ドルとなりました。前年同月比で5.46%の上昇です。1月からの前年同月比上昇率を以下に示します。
1月 5.44%
2月 5.19%
3月 5.62%
4月 5.46%
前月比の上昇率も記載します。
1月 0.57%
2月 0.12%
3月 0.47%
4月 0.31%
賃金上昇が加速している数字ではありませんが、明確な鈍化を示す数字でもありません。引き続き、賃金の高い伸びが継続しているデータであり、物価の上昇への警戒感を高める結果となりました。
今週は、11日に4月の消費者物価指数が発表されます。昨年4月の上昇率が前年同月比4.2%上昇となり、ちょうど1年前から物価上昇が本格化しています。前年同月の水準が上昇しているので、4月の消費者物価指数は前年同月比の伸び(3月は+8.5%)が鈍化すると考えられます。今週の経済指標の注目点です。
「ニューヨークダウ、2日-4日で累計1083ドル高、5日は1063ドル安」
「ナスダック指数、2日-4日で累計630P高、5日は647P安」
「10年債利回り、3.1%まで上昇」
「FOMC結果発表、6月の利上げ幅は0.5%にとどまる?」
「"3月の株高、4月の株安"、5日の米国株下落を呼ぶ」
東京株式市場は3連休でした。その間の米国株の動きを以下に記載します。
NYダウ ナスダック総合指数
2日 33,061.50ドル(+84.29ドル) 12,536.017P(+201.377P)
3日 33,128.79ドル(+67.29ドル) 12,563.757P(+27.740P)
4日 34,061.06ドル(+932.27ドル) 12,964.856P(+401.099P)
5日 32,997.97ドル(-1,063.09ドル) 12,317.691P(-647.165P)
米国株は、2日~4日の間に上昇しました。特にFOMCの結果発表、パウエル議長の記者会見が行われた4日には大幅高となりました。そして、昨日5日には一転して大幅安となりました。2日~4日の累計上昇幅を、5日に帳消しにした形です。
米国時間4日のFOMCにおいて、0.5%の利上げ実施が発表されました。量的金融引き締め政策の詳細も発表されました。6月1日から毎月475億ドル(米国債300億ドル、不動産担保証券175億ドル)のバランスシート縮小に進みます。3カ月後には950億ドル(米国債600億ドル、不動産担保証券350億ドル)に引き上げます。
マーケットは、金融政策の引き締め強化を意識して動いてきました。織り込みが進んでいたので、金融引き締めに関する情報公開は、4日においては新たな悪材料には作用しませんでした。
パウエル議長が6月のFOMCにおいて、0.75%の利上げの可能性は少なく、0.5%にとどまるとの考え方を示唆したことも、4日の株価急騰につながったと考えられます。
FOMCの結果が発表されて、株価が上昇する構図は、前回3月のFOMCの結果公表時にも見られています。3月16日のFOMC結果公表を受けた株価の動きを以下に記載します。
NYダウ ナスダック総合指数
3月16日 34,063.10ドル(+518.76ドル) 13,436.553P(+487.932P)
3月17日 34,480.76ドル(+417.66ドル) 13,614.781P(+178.228P)
3月18日 34,754.93ドル(+274.17ドル) 13,893.837P(+279.056P)
上記のように、3月はFOMCの結果を受けて米国株価は上昇しています。しかし、米国株は、4月に入ってからかなり大きく下げました。FOMCの結果発表を確認して3月の株価は上昇したけれども、4月に入ってからは、その後の金融引き締め強化路線継続が予想される中で、経済が悪影響を受けるとの警戒感から株価は下落しました。
今回も、結果発表を受けて、4日の株価は上昇しました。しかし、3月から4月にかけての動きを参考にすると、「結果発表で当面の材料出尽くし」によって買い戻される場面は長くは続きません。
インフレ抑制を目的とした利上げ加速によって企業収益が悪くなる懸念が高まれば、基本的に株価が下がることは避けられないのです。5日の米国市場では、金融引き締め強化による経済の悪化、あるいは「6月の利上げ幅が0.5%でインフレを抑制できるのか」との警戒感が働いたと考えます。
今後の株価についても、金融引き締め路線の中で、経済・企業業績の魅力がどのくらい対抗できるのか、そこが株価を見る上での焦点になることは変わりません。
来週11日に発表される、米国の4月消費者物価指数の発表がひとまずの焦点でしょう。昨年2021年4月の米国消費者物価指数は、前年同月比4.2%の大幅な上昇となりました。1年前の物価が上昇しているので、今年4月の消費者物価指数の前年同月比の伸び率は鈍る可能性が指摘されます。
これまでは「市場予想を上回る物価指標上昇の確認→市場予想を上回る金融引き締め強化」の流れが続いてきました。これが、物価上昇値が予想を下回り、金融引き締めについての考え方もマイルドな状況に変わる場面が来るのか、大きな注目点でしょう。
つまり、これまでは「利上げ幅が従来の0.25%から0.5%に拡大する」といった展開をマーケットは消化してきました。しかし、これが「利上げ幅は場合によっては0.75%が予想されてきたが、どうやら0.5%にとどまりそうだ」との方向性に市場マインドが変わってくるのか、ここが焦点です。
市場予想と比べて、インフレ状況が抑制されるデータが明らかになり、市場予想と比べて利上げピッチがマイルドになり、経済や企業業績が金融引き締めによって悪化しないとの自信が高まってくると、株価は上昇します。言い換えれば、そのような展開に自信を持つことのできる根拠は乏しいのが現状です。
事実として、米国10年債利回りが5日には3.1%台まで上昇していることを直視します。金融引き締め加速を受けて、金利が上昇している、これが事実です。
「4月28日の米国株は大幅安」
「4月29日の米国株は大幅安」
「メタ(FB)効果で大幅上昇、アマゾン影響で大幅下落」
「アマゾン、ネット販売拡大にブレーキ」
「アマゾン、1日で時価総額31兆円の消失」
「体験型レジャーシフトの証左」
4月28日に東京株式市場の取引が終了した後の米国株の動きを確認しましょう。米国株は28日木曜日に大幅上昇しました。そして、29日金曜日には大幅下落となりました。以下に示します。
ニューヨークダウ ナスダック総合指数
28日 33,916.39ドル(+614.46ドル) 12,871.528P(+382.595P)
29日 32,977.21ドル(-939.18ドル) 12,334.640P(-536.888P)
27日のメタ(フェイスブック)の決算後にメタの株価が時間外で大幅上昇しました。メタの株価大幅上昇が、メタと同様にここまで大幅に下げてきた銘柄全般の買い戻しにつながり、28日の米国株は大幅上昇となりました。
そして、28日引け後にはアマゾンが決算を発表しました。今度はアマゾンが大幅安となり、そのアマゾンの急落が他のIT銘柄に対する売り物加速につながり、29日の米国株は大幅安となりました。
アマゾンが28日発表した決算概要を以下に示します。
アマゾンの1-3月期
売上高 1164億ドル(+7.3%)
うちモノの売上高 564億ドル(-1.8%)
うちサービスの売上高 599億ドル(+17.5%)
営業利益 36億ドル(-58%)
最終損益は、出資している電気自動車メーカーの株価下落に伴う損失の計上で赤字となりました。
一時的な特殊損失による最終赤字よりも、売上高の伸びが極めて低かったことがショックをもたらしたと考えます。サービス事業は上記のように高い伸びを見せていますが、モノの売上高、ネット販売事業の伸びが止まっています。
アマゾンの株価は、29日に2485ドル(-406ドル、-14%)となりました。1兆7100億ドルほどあった時価総額が1日で1兆4700億ドルになった計算です。1日における時価総額消失額は約2400億ドル、日本円にして31兆円になります。
アマゾンは、4-6月期の売上高について1160億ドル~1210億ドルとの見通しを公表しました。前年同期に対して3%~7%の増収です。営業損益については、10億ドルの赤字~30億ドルの黒字とのレンジを公表しました。
売上が急成長していて、投資の負担で利益面が悪化している場合、赤字企業が高いPERを維持することはあり得ます。しかし、売上高の伸びにブレーキがかかってきたことで、高PERを許容する理由の1つが消失してしまい、売り物が膨らむ結果となりました。
細かいデータも見てみましょう。アマゾンのオンライン販売、リアル店舗販売(スーパーの売上高)、そして「輸送コスト」について、四半期毎の推移を以下に記載します。(単位 100万ドル)
2021 2022
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q
オンライン販売高 $ 52,901 $ 53,157 $ 49,942 $ 66,075 $ 51,129
店舗販売高 $ 3,920 $ 4,198 $ 4,269 $ 4,688 $ 4,591
輸送コスト $ 17,162 $ 17,747 $ 18,108 $ 23,656 $ 19,560
前年の1-3月期との比較では、オンライン販売高が減少する一方で、リアル店舗の販売は増加しています。輸送費は当然増えていて、前年同期と比べて14%ほど増加しています。経費の増加が利益面を圧迫しているのは事実でしょうが、本質的な問題はネット販売高の勢いが落ちたことにあります。
ネット販売の伸び鈍化については、世界の人々の巣籠消費の特需が一巡したことの反映と捉えられます。ネットフリックスの有料会員数の減少、アマゾンのネット販売増加のブレーキ、この2つの事象は、世界の人々が巣籠を抜け出して、体験型レジャーを再び楽しみ始めていることの証左と言えます。
「27日の米国株、NYダウ小幅高、ナスダック指数小幅安」
「フェイスブック(メタ)、決算発表受け、時間外で17%の急騰」
「フェイスブック(メタ)、減益決算だが、今や低PER銘柄」
「"弱い株"―――買戻しにつながるか?」
「日立建機、今3月期は2ケタの減益見通し。ロシアや欧州向け減少」
「ルネサス、1-3月期利益が膨れ上がる」
27日の米国株は、ニューヨークダウが小幅高、ナスダック総合指数は小幅安となりました。
前の日に決算を発表したマイクロソフトの株価が4.8%上昇して、283ドル台で引けました。マイクロソフトは、4-6月期の売上高について1-3月期比で7%ほどの増収見通しを発表しています。現状の株価水準における予想PERは28倍台程度になります。
FFレートが、5-7月の3回のFOMC会合において、1.5%~1.75%も引き上げられるかもしれないとの状況下、マイクロソフトの株価動向は、高PER銘柄の動向を読むうえで注目されていました。
フェイスブック(メタ)が米国時間27日引け後に1-3月期決算を発表しました。売上高は279億ドル(前年同期比+7%)、営業利益は85億ドル(同-25%)となりました。1株利益は2.72ドル(前年同期比-18%)でした。
日本時間28日午前7時過ぎ、米国株式市場の時間外取引でフェイスブック(メタ)の株価は17%も上昇しています。決算内容が好感された形です。
フェイスブックの株価大幅上昇について、色々説明はできるのでしょうが、ここまでの株価が大幅安となってきた事実が大切でしょう。フェイスブックの52週高値は384ドルです。27日の通常取引で付けていた52週安値は169ドルです。株価は高値から6割近く下げています。
上記のように、フェイスブックの1-3月期1株利益は2.72ドルです。減益銘柄にPER評価をするのは適切ではないかもしれませんが、年間ベースで10ドルを超える1株利益を稼ぐ力がフェイスブックにあるとするならば、PERが16倍にまで低下した株価水準には、値ごろ感が働いても不思議ではないのでしょう。
引き続き米国株は不安定な状況です。しかし、フェイスブック(メタ)株式の時間外取引における急騰は、重要な現象となる可能性があります。弱い株価の象徴的存在の急騰は「弱い株全般の買戻し」を入れる動機づけになる可能性があるからです。
例えば、ネットフリックスや中国系IT株など、これでもかというほど下落した株に対して、ひとまず買戻しを入れておこうという動機付けになるか、短期的に注目されます。
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日立建機(6305)が27日発表した2022年3月期の「連結調整後営業利益」は前年同期比2.8倍増の935億円となりました。2023年3月期は、14%減益の800億円を計画しています。
2023年3月期の売上高は6%減少の9600億円を計画しています。減収減益の見通しです。
日立建機の今年度における地域別の売上高計画を以下に示します。
全体 9600億円(-6%)
北米 2088億円(+6%)
日本 2020億円(-7%)
オセアニア 1629億円(-3%)
欧州 1153億円(-7%)
アジア 895億円(+4%)
インド 525億円(-8%)
中国 324億円(-38%)
ロシアCIS 136億円(-65%)
北米が伸びる一方で、日本、欧州が減少します。ロシア向け売上高は、前期実績で全体の3.7%なので、多くはありませんが、今年度は大きく落ち込みます。中国向けも落ちます。
ロシアや欧州向けの減少には、ロシアのウクライナ侵攻の影響が反映されていると考えます。産業界におけるロシアビジネスを考える上で参考になるデータです。
今年度は、為替レートの前提要因(ドル円・前期112.6円→今期120円、ドル1円円安で22億円の営業利益変動要因)の変化によって、170億円の増益要因が発生する見通しです。
一方で、資材費の上昇が371億円の減益要因となります。ロシア関連リスク71億円等も減益要因として織り込んだ結果、今期は14%の減益予想となりました。
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半導体メーカーのルネサス エレクトロニクス(6723)が27日発表した今12月期1-3月期の営業利益は1000億円(前期比3.3倍増)となりました。前年同期に対しては大幅な増益となりました。一時的な要因を除いたNon-GAAPの営業利益は1355億円で、会社側予想の中心値1159億円を上回る水準とされています。
1-6月期の営業利益の中心値は、2720億円を計画しています。4-6月期は、1-3月期と同レベルの実質的営業利益を予想しています。
4-6月期の売上高中心値については、3750億円と1-3月期の3467億円を上回る見通しです。しかし、営業利益率は36.5%と1-3月期の39.1%には届かないと見ています。
「26日の米国株は大幅安」
「グロース株下落、資源株も続落」
「マイクロソフト、グーグルが決算発表」
「マイクロソフト、4-6月期売上高ガイダンス強く、時間外取引で上昇」
「グーグル(アルファベット)の予想PER20倍割れを買わないのか?」
「ファナック、前期営業利益未達、受注は高水準続く」
「オムロン、設備投資関連需要は強い」
26日の米国株は下げました。下落率は、ニューヨークダウが2.3%、ナスダック総合指数は3.9%でした。ナスダック指数の4%近い下落率が示すように、大きく下げました。
26日のナスダック総合指数は、約80P安で始まり、終値が514P安でこの日の安値でした。つまり、始値がほぼ高値で終値が安値です。だんだんと取引時間中に下げ幅を広げていった動きとなります。ニューヨークダウもほぼ同様の動きです。
米国10年債利回りは、前の日よりも0.1%Pほど低い2.72%まで低下する場面がありました。「金融引き締め強化によって景気が悪くなることを警戒して、債券が買われ、株式が売られる」のパターンです。
ナスダック市場で主力のグロース株が総じて下落したほか、資源・エネルギー関連株も下げています。フリーポートマクモラン、シェブロン、BHP、リオティント、ヴァーレ、ペトロブラスなどが下げる展開が続いています。
物価高に伴う消費動向への警戒感も強く、ナイキの下落率は5.8%になりました。ナイキの株価はこの1週間で12%ほど下げています。
敢えて、反転の兆候を探すとするならば、採用全銘柄が下げたニューヨークダウ構成銘柄で、最も下落率が低かったのが、原油生産のシェブロンでした。そして、エクソンモービル(XOM)は小幅高で引けました。これらエネルギー関連株の一角に下げ止まり感が見られることは、注目すべき兆候と言えるかもしれません。もっとも、これは「単に原油価格が上昇したことに反応したに過ぎない」のかもしれません。
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米国株式市場の通常取引終了後、マイクロソフトとグーグル(アルファベット)が1-3月期の決算を発表しました。金融引き締め強化の中で、代表グロース株を買えるのかどうか、業績面と株価面を判断して行動する上で、重要な内容となります。
マイクロソフトの1-3月期決算内容です。(カッコ内、前年同期比)
売上高 494億ドル(+18%)
営業利益 204億ドル(+19%)
1株利益 2.22ドル(+14%)
部門別営業利益です。
Productivity and Business Processes 71億ドル(+19%)
Intelligent Cloud 82億ドル(+28%)
More Personal Computing 48億ドル(+6%)
営業利益2割増ペースが確認されました。現状の予想1株利益10ドル超の水準で、利益の中期的拡大の確率の高い企業の株価はいくらが妥当か、という命題に世界の投資家が取り組みます。マイクロソフトの26日の株価は前日比で3.7%下落して270ドルでした。時間外取引では、日本時間の午前6時40分、小幅高となっています。
その後、マイクロソフトは4-6月期の売上高見通しを530億ドル前後と発表しました。4-6月期の売上高ガイダンスが強かったため、マイクロソフトの株価は午前8時段階では4.5%の上昇に転じています。
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グーグルことアルファベットが26日発表した1-3月期決算です。
売上高 680億ドル(+23%)
営業利益 200億ドル(+22%)
1株利益 24.62ドル(-6%)
グーグルも、営業利益ベースで2割を超える増益ペースが確認されました。しかし、営業外収益の特殊事情によって、最終利益・1株利益は前年同期を下回りました。同社株は通常取引で3%下げ、時間外取引でも5%ほど下げています。(日本時間午前6時48分)。
グーグルの株価水準は、時間外取引で2250ドル程度まで下げてきました。1株利益は現状で年間換算100ドル超。それが2割超の増益ペースを維持すると考えるならば、PER面ではいよいよ20倍を切る水準まで低下します。FFレート2.5%時代でも、グーグルの株価水準が魅力的に映る段階に入るか、そこが米国株式市場のカギになります。
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日本では、ファナック(6954)が26日、2022年3月期決算を発表しました。
ファナックの営業利益
2022年3月期 1832億円(計画比-32億円)
2023年営業利益 1973億円(前期比+140億円)
2022年3月期の営業利益が32億円下振れ。新年度は140億円増やす見通しです。しかし、前期の下振れ分を考慮すると、新年度の利益水準を物足りないと感じる投資家も存在するでしょう。株主はもっと上の水準を期待していた、新年度の利益水準が物足りない、それがここまでの日本企業の決算動向です。
1-3月期の動向をもう少し詳細にします。
ファナックの1-3月期実績(前年同期比)
売上高 1928億円(+9.5%)
売上原価 1180億円(+13.3%)
営業利益 433億円(-8.4%)
売上高は増えている。しかし、売上原価はもっと増えている。そのため、営業利益は前年同期比で減益。売上原価の増加(材料費の上昇)が営業利益未達の理由になります。
一方で、ファナックの1-3月期受注は落ちていません。
受注高 2253億円(前年同期比+8.7%、前期比+4.4%)
うち中国 703億円(前年同期比-2.6%、前期比+23%)
うち米州 518億円(前年同期比+29%、前期比+12%)
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日東電工(6988)も26日に決算を発表しました。
日東電工(6988)の営業利益
2022年3月期 1322億円(計画比-7億円)
2023年3月期 1400億円(前期比+77億円)
(前提為替レート1ドル112円(前年は111.8円)
かなり、前提為替レートを円高の水準において、予想利益を抑制しているように見えます。
新年度のセグメント動向も記載しましょう。
日東電工の今年度セグメント別営業利益予想
インダストリアル 410億円(+4%)
オプトエレクトロニクス 980億円(+1%)
ヒューマンライフ 120億円(2倍)
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そして、オムロンの決算です。
オムロン(6645)の2023年3月期計画
売上高 8500億円(+11.4%)
営業利益 930億円(+4.1%)
オムロンは、工場内で使われる各種制御機器を供給しています。2022年3月期の業績は、計画を確保しました。新年度の見通しは2ケタの増収、そして4%の増益。やはり、原価率は高めになって、売上高の伸びに比べて、営業利益の伸びが鈍くなります。しかし、需要は強い。売上高12%成長なのだから、設備投資関連の需要は強いのです。
オムロンは中国の特殊状況をリスクとして織り込んでいます。決算説明資料には「上海のロックダウンによる主力工場の稼働停止影響などを、業績変動リスクとして、計画に売上100億円、営業利益40億円を計画に織り込んだ。」と記載してあります。
ファナックの受注やオムロンの決算内容を考慮すると、設備投資の需要は落ちていないとの考え方ができます。