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マーケット・アナライズ・マンデー

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◾︎今週のストラテジー

きょうも利食いから動きました。

金曜日、26万人の米雇用統計を受け
ドル円はピョンと上がって119円台。
業績や景気が良くなっている手応えがあるので
古典的な見方でいえば「買い」で良い状況です。
しかし、外部環境的にあまりにも
リーマンショック前と似ている動きが見えるので、
もしあの経験が無ければ目を瞑ってでも買いと言えるのですが、
どうやらそう簡単ではなさそうです。

そう考えると売りの気持ちが強い週。

米株式市場も、雇用統計を見て何も考えずに上昇!
・・・とはならず引けにかけて下げました。
みんな不安を持っていることが伺えます。


通貨安戦争、ギリシャ問題、ロシア・ウクライナ情勢
などなど、外部環境的に不安要素イベントが多すぎて
素直な相場を持てなくなっています。


「リーマンショック前に似ている」点は、
信用リスクをものすごく意識し始めていること。
リーマンショック前にはサブプライム問題という
過度な信用リスクがありましたが、
この過度な信用リスクを取るという仕組みが当時と似ています。
これは量的緩和のひとつの功罪とも言えそうです。
量的緩和した結果ものすごくお金が余ってしまい、
原油市場ではバブルに、
シェールガス開発では過剰な開発融資に、
ジャンクと呼ばれるハイイールドにはお金が滞留。
さらに、新興国に多くのお金が流れる等々の動きに。


これらが一度元の位置(正常なところ)に戻るとなると
マーケットは大きく揺さぶられることになります。


事実、リーマンショックの際も
サブプライム問題が破裂した瞬間に
お金が一気に元の位置に戻ろうとして
あらゆるものが貸し渋りになり、
スプレッドがどんどん開いて国債利回りが低下。
さらに通貨不安で金が買われるという流れになりました。

まさに今がデジャヴのような感覚。


さらに、
それが怖くて利上げができないというのが"もっと怖い"状況。
利上げ=正常化ですので、
いつまでたっても金融市場が正常化しないというのが問題で、
だからやらなくてはいけない←→でも怖いというジレンマがあります。


なかでも一番脆いのは「為替」。
漠然と円安を前提に相場を張っていますが、本当に大丈夫かどうか。
アベノミクスで「円安ドル高=株高」を前提として
ここまで動いてきたわけですが、それがずれた時がリスク。
(幻想なら早く打ち砕かれた方が良いかもしれないレベル)
実際3本の矢ではなく1本しか放たれておらず、
そもそも1本すら本当に効き目が出ているかどうかも揺らいでいます。
日本だけが唯一強力な円安政策を取っているのなら
大いに効果がありますが、いまは世界中、
ユーロ、デンマーククローネ、トルコリラをはじめ
通貨安戦争に入ってきているため効果が薄れ始めています。
とくに先々週、先週あたりから世界の中央銀行(中国人民銀行まで!)が
新興国を中心に一斉に金利を引き下げてきているので、
円安という一番の柱すら揺らぎかねないということに注意が必要です。


ギリシャ問題に関しては
首相があれだけ強行な姿勢を取っているのなら、
ダメなのを前提に考えた方が良さそう。
ダメだとしても大した災害にならないのなら
良しとするしかないようです。
ただ、最悪の事態を想定とはいえ、既に言明した後なので
そこまで大きな動乱にはならないとも考えられます。
(↑不確定要素が最もリスクとすれば)


なお、ギリシャがユーロ圏から支援を受けるには2/16までに
現行プログラムの延期を申請する手続きを取る必要があり、
これが出来なければ2月中に20億ユーロの返済義務が生じます。
つなぎの融資を受けるにも大きな関門があるということになります。


11日にはロシア・ウクライナ・EU首脳会談が控えており、
きょうから始まっているG20の内容も徐々に出てくるなど
今週は重要イベントがありますのでしっかりチェックしましょう。


先週、日本は長期金利が上がりましたが、
上がるとREITが売られてしまうという構造があります。
長期金利が0.2-0.4まで20ベースポイントあがっただけで
REITは10%ほど下落します。
買い手が同じ金融機関中心なのでこういうことが起こりやすいそうです。
10%くらいならまだ株式市場に与える影響は少ないのですが、
20%下がると株やファンドも売らなくてもいけないなど影響が出てきます。


ポートフォリオという観点でいうと、
全部同じ銀行の資産の中の一部で、リスク資産ということになるので
ここがゆらぐと他の資産も一緒に売らなくてはいけなくなります。
つまり銀行のリスクオフです。
このことをVaRリスク (Value at Risk)といいます。
2003年6月にVaRショックがあり、
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/world/wor015.html
長期金利が急上昇後、一斉に銀行が保有する債券が売られました。


現在は幸いにも日銀が介入しているので
これまでと違う構造ではあるのですが、
その「日銀が介入しているREITや国債が売られている」
という皮肉を考えると、量的緩和政策の量的な限界を
そろそろ見るのかもしれません。


アメリカの利上げできないリスクですが
ドル高の弊害として、企業業績に少し陰りが出てきました。
先週紹介したキャタピラーCEOに続き
ジョンソン&ジョンソン、P&Gもドル高懸念を示しており
引き続き注意が必要です。


為替市場が不安定というのは企業経営者にとっては腹立たしい状況で、
必要以上に計算にコストをかけなくてはいけません。
たとえば日本に工場を戻そうとしているのをストップするなど
機会損失が生じてしまいます。
企業の成長には為替を安定させなくてはいけないのですが、
今回も世界中で通貨安に踏み切っています。
この弊害はいつか必ずどこか、
おそらく実体経済に影響が来るのではと考えられます。


このような不確実要素ばかりのなかで
確実と言えるのは、企業業績。
しっかり見ていきたい部分です。



◾︎先週の振り返り
大和証券のアナリスト守田さんに
企業決算の途中経過をまとめてもらいました。
ここまでの円安効果、これからの原油安効果により、
2015年度は順調に業績が回復することがクリアになりました。
(大和200で見た場合)通期の経常利益で当初7%増益だったものを
企業側は8%増益に引き上げました。
大和予測は13%なので、まだまだ上ぶれ余地はあると言えます。
原油安メリットは時間差で半年後くらいから出て来るため、
来期は20%増益になる可能性もあるのではないかとのことでした。
(しかし反対にマーケットは不安材料ばかりというのも残念な話です)


ソニーは先週ストップ高で成長路線が見えてきた一方、
日立が10%安という一種のロングショート現象が。
これもリーマン前、2007年7月パリバショックに現れています。
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/world/wor035.html
一時的にマーケットの流動性が欠如し、
みんな一斉に同じものを買い、同じものを売ったのち
それが逆転した時にマーケットは大きくひび割れることになります。


このような企業間格差は年々広がりつつあり、
また、良いと思っていた企業が或る日突然大きく下がることもあります。
今週も決算は続くので注意深く見ていきたいところです。


守田さんにアナリストサイドのコメントを分析して頂いたパートでは、
昨年末あたりから「機械」の見方に対するコメントが
変わってきたことが分かりました。
とくに設備投資がしっかり。
外に出ていた設備投資が日本国内に戻ることで
工作機械メーカーが良いとのことです。
この流れが1-3月期で終わるとみられていましたが、
4-6月期、あるいは7-9月期まで続く可能性が出ています。
ただ、これも円安前提があるので楽観は禁物。
日本の金利上昇と、グローバルな通貨安戦争に注意が必要です。



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