3月27日放送「今日の1社」アイビー化粧品(4918)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.03/28 今日の1社担当 記事URL

 「愛」と「美」...これは、人類が長きにわたって追い求めてきた普遍的な価値です。3月27日放送の「アサザイ 今日の1社」では、その2文字のメッセージを社名に込めた「アイビー化粧品」(4918・JASDAQスタンダード)をご紹介しました♪

 

 同社は昨年10月に創業36年を迎えた化粧品メーカーであり、訪問販売に特化したビジネスモデルです。大手化粧品メーカーの販売戦略が多様化する中、どのような強みを持っているのか?井上哲夫が取材後記で考察しましたので、どうぞお読みくださいっ!

 

------------------------------------------------

取材後記

アイビー化粧品(4918)(JASDAQ・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は執行役員で経営管理室室長の中山聖仁さま。

 

「二つの理解」

 

▼「訪問販売」にこだわり苦境を突破

 国内の化粧品市場の規模はこの10年近く2兆2000億円から2兆5000億円程度で横バイ推移であると言われている。そのため、多くの化粧品メーカーはそのシェア拡大にむけて、販売業態の変更や販売方法の多様化に取り組んできた。訪問販売からエステ型の店舗販売への移行、スーパーやコンビニ向けの特化商品の開発、そして、通信販売と海外戦略・・・。

 

 そのような風潮のなか、アイビー化粧品はあくまでも訪問販売という形にこだわってきた。2005年度から4期ほど、業績が底バイの時期があり、販売形態を変更する必要があるのではというアナリストなど外野の声もあったが、同社はあくまでも訪問販売を貫く形で苦境を打破、ここ3期は以前の勢いを取り戻しつつある。

 

▼エンジンとなる「製品力」

 訪問販売と店舗での販売について説明された際に、「店舗で化粧品を求めるということは、薬局で薬を求めるのと同じであるが、実際に医者にいって診察を受けたうえで、医者の処方箋に従って薬を求める人もいる。そのニーズに応えるのが訪問販売である」と言われた。同社の考え方が如実に表れている。そして、それは、実際の購入層である30代からのユーザーのニーズに応えたものでもある。

 この世代のエイジングケアのために、11年11月には「アイビーコスモスWエマルションクリーム」という画期的な製品も開発している。これは薬剤を膜で包み、途中で吸収・分解されることなく患部に届けることが出来るという独自の技術を用いたものである。また、今期も第3Qから発売になった新製品が好調であるが、同社にはエンジンとなる商品がひとつある。それは発売以来27年間愛され、毎年9月から出荷される「リンクルローション」というスキンケア商品である。実に同社の売上げの約25%を占める。

 

▼顧客と距離が近い「販売組織」

 また、訪問販売の組織フローは、アイビー化粧品が直接製品を卸す「販売会社」の下に「営業所」があり、その下に「ビューティー・マネージャー」がいて、顧客は「アイビーメイツ」と呼ばれるのであるが、この「アイビーメイツ」から「ビューティー・マネージャー」が生まれ、その後、「営業所」、「販売会社」と規模によってよりアイビー化粧品に近い位置に上がってくる。

 

 この27年間愛され続けている商品と販売組織には密接な関係があるように思える。その製品の良さを「アイビーメイツ」として認識したうえで、販売組織に入っていくのだ。そこには、製品に対する理解と販売組織に対する理解という二つの理解が必要とされる。同社の財産である製品のクオリティと販売組織、これは、その二つの理解から成り立っている。

------------------------------------------------

 

 取材後記は、以上です。いかがでしたか?

 「製品力」と「販売力」の重要性は、どの企業であっても共通する部分です。ただ、中核となる製品分野がはっきりしていて、訪問販売に特化したアイビー化粧品の場合は、まさに企業価値の源泉ともいえるのではないでしょうか。

 「多様化」によって成長戦略を描く企業だけでなく、「こだわり」によって壁を突破する企業も魅力がありますし、今後を見守っていきたいと思いました♪

 

 なお、昨日ご案内の通り、アイビー化粧品からはリスナープレゼントをいただきましたので、ふるってご応募ください!

 

(関連リンク集)

■アイビー化粧品 IR・会社情報 

■アイビー化粧品 製品情報 リンクルローション

■アイビー化粧品 全国の販売会社検索

■アサザイ リスナープレゼントのお知らせ

 

経営管理室室長 中山聖人様と。

経営管理室室長 中山聖仁様と。手前はリスナープレゼントにいただいた「グルコサミンゼリー」と「メンズ用フェースローション」。

3月13日放送「今日の1社」新日本無線(6911)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.03/13 今日の1社担当 記事URL

 企業のグローバル化が進む中、近年は銘柄を見るときに海外売上高に目が行くようになってきました。3月13日放送の「アサザイ 今日の1社」に登場いただいたのは、海外売上高比率が毎年4割を超え、オペアンプ(演算増幅器)生産量で世界トップクラスを誇る新日本無線(6911・東証一部)です!

 今回は代表取締役社長の小倉良様にお越しいただき、井上哲男がインタビューいたしました。
 グローバル企業と切り離せないのが「為替相場」。今回の取材後記は、為替の観点からも井上哲男が分析をしています。是非、オンデマンド放送とあわせてお楽しみください♪

-----------------------------------
取材後記
新日本無線(6911)(東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の小倉良さま。

「笑顔」

▼実効為替から見た円相場
 株式市場の上昇とともにドル/円相場も上昇し、私も為替のコメントを求められることが多くなった。その際に聞かれることは決まって「適正レートはどのくらいですか?」である。しかし、株価に適正株価が無いように、為替にも適正なレートというものは無い。輸入企業と輸出企業では、当然思惑は違う。それぞれの期待レートはあっても適正レートは無い。しかし、株価にもバリュエーションを計るためにPER、PBRなどの指標があるように、為替にもその澪つくし(みおつくし)となるものがある。それが、(実質)実効為替と購買力平価だ。

 少し、難しい話で恐縮だが、現在の円安論者の拠りどころとなっているのが、前者の実効為替である。ここに来ての貿易赤字の拡大を背景にますます、“最弱通貨である円”を主張する向きもいる。これを援護する訳ではないが、実際にサブプライム・ローンが問題化する直前を起点とした実効為替を計測してみると、円だけが10%程度のプレミアム状態で、ドルやユーロは逆に10%程度のディスカウント、韓国ウォンについては30%ものディスカウントがついていることが分かる。
日本は2010年の秋に為替介入を久しぶりに行い、震災時の協調介入以外でもそれ以降2回介入を行ったが、恒常的に介入を行う形で自国通貨安に誘導されたウォンの前に、結局日本企業は40%近く為替面での価格競争力を失ってしまったのである。韓国は2011年統計でGDPの世界順位は15位。決して大きくはないGDPゆえ、輸出と自国通貨のコントロールに政府、中央銀行が躍起になった結果である。

▼為替と業績
 それまで14期連続で黒字の好調な決算が続いていた新日本無線が赤字となったのが、2009年3月期のこと。サブプライム・ローン問題の象徴的な出来事であるリーマン・ショックの期である。世界景気の減速と円高による価格競争力の低下のダブルパンチは半導体メーカーを直撃した。そして、前期まで4期、厳しい状態が続いたのである。社長はインタビューの中で、為替1円の円安で1.5億円の増益効果と話された。前提レートは1ドル=80円。通期ベース95円で22.5億円の利益となる計算である。14期連続で黒字決算であった際の平均最終利益は14億円強。如何に為替の効果が大きいかがお分かり頂けると思う。

▼事業構造改革と成長戦略
 無論、為替が円安になることを願って何もしなかった訳では決してない。2011年8月から、「低成長でも利益を創出できる強固な経営基盤の構築」を目指し、痛みを伴う事業構造改革を行ってきた。それが、この12月期の第3Qの決算に効果としてはっきりと表れている。
 また、「FORWARD20」というキャッチフレーズで新事業の開拓を進めている。これは、1つの事業で年商1億円以上となるものを20件以上推し進めていこうというものである。社長いわく、「昨年は2~3件くらいしか思いつくものが無かったが、今期はざっと見ても20件以上がリストアップされた」ということであり期待したい。

“走る電子部品”であるゆえ、チェックの厳しいことで知られる自動車メーカーから3年連続で「品質優秀賞」を贈られた同社。その技術、品質の高さは折り紙つきである。そのようなメーカーまでが苦労したのが、今までの円高であったのだ。是非、来期また「アサザイ」にお越し頂きたい。そして、社長の笑顔が見たい。その時は、きっと、日本が笑っている。(了)
-----------------------------------

 取材後記は、以上です。
 円高がいかに輸出企業の業績に影響をあたえたか、あらためてわかりますね。企業側の立場からはなかなか言及しにくいところですから、参考になります。

 また放送中にもあったように、新日本無線が現在進めている事業構造改革の進捗も見逃せないところです。詳細につきましては、同社の決算説明会資料をご参照くださいね♪

 高い技術で世界を支える日本企業には、是非頑張っていただきたいと思い次第です!
 
(関連リンク集)
■新日本無線 株式・投資家情報
■新日本無線 決算説明会資料


代表取締役社長の小倉良様と。お手元には「ICパッケージサービスラインナップ集」が。


3月6日放送「今日の1社」大成温調(1904)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.03/06 今日の1社担当 記事URL

 「水と空気」というと、人間が生きていくのに欠かせないたいへん重要な存在ですね。本日の「今日の1社」に登場いただいた大成温調(1904・JASDAQスタンダード)は、建物の水と空気に関わる設備の設計、施工管理を中核業務としている企業です♪
 業種柄、一般消費者への知名度は高くありませんが、まさに「なくてはならない」企業なんですね~。今回は、代表取締役社長の山口隆義(たかのり)様に井上哲男がインタビューしましたので、どうぞお読みください!

----------------------------------------
取材後記
大成温調(1904)(JASDAQ・スタンダード)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の山口隆義さま。

「広報“戦略”室に期待!」

▼創業71年、早くからの海外展開
 創業71年の歴史を持つ設備設計、施工を行う老舗会社。上場は1991年12月であり、丸21年が経過したことになる。社長以下4名の方にお越し頂き、沿革、事業の説明から中期経営計画まで取材させて頂いたが、とにかく実直で真面目な会社である。

 日本企業が海外進出を図り、現地で大きな工場を作る際に不可欠な企業のひとつとして名高いが、その準備段階として中国へ進出したのは1987年。香港に支店を開設したときである。しかし、番組の中でも申し上げたが、当時中国はガットに加盟申請してWTO(世界貿易機関)に加盟するための作業部会が出来た段階。また、香港についてもイギリスから中国に返還される10年も前のことである。その後、中国は2001年末に正式にWTOに加盟し、「世界の工場となるのではないか」と皆が怖れたのであるが、実際に日本企業の多くが中国に進出した。その際にスムーズに進出できたことに同社の寄与は非常に大きい。許認可、設備設計、施工、保守まで行える日本企業の存在がどれだけ心強かったことか。現在も中国各地に10の支店レベルの拠点を持ち日本企業を支えている。
 これまでの中国における工場の実績数は300近くに上がる。誰もが名前を知っている会社の工場が名を連ねるが、大成温調はそれを前面に出すことはしない。また、今期も中国に匹敵するくらいハワイ・グアムの米国両島で売上げを計上している。ハワイでは1990年に地元の第2位の設備工事会社を買収し、それから着実に売上げを伸ばして地元のリゾート施設や米軍施設などを受注しているのであるが、そのことについても同じである。クライアントに配慮してのことであろうか。

▼経営ビジョンの鍵、環境と海外
 しかし、同社は2020年までの10年を見据えた経営ビジョンを立てており、人材育成の10年に加えて、成長の鍵となるのは番組の中でも社長が言ったように「環境と海外」と認識している。2020年に現在の売上高約500億円を倍増するためにはやはり海外戦略が必須である。よく、建設会社が海外で受注したものをCMに使っているのを目にする。しかし、建設会社の海外売上高比率を並べてみよう。鹿島3.6%、大林3.8%、大成11.4%、清水6.8%、竹中7.8%となるが、大成温調のそれは今期見込みでほぼ20%と高い。(余談であるが、大成温調の社名は本社のあった「大井町で成功する」に由来しており大成建設とは関係はない。)
 他地域でもインド、フィリピンに進出し、現在はベトナム、ミャンマーへの進出を検討している。同地域に工場進出を考えている日本企業は多い。やはり東南アジアが鍵だ。

▼応援したい企業
 上場以来20年以上経常利益で黒字を確保してきたのに、PBRは16年に亘って1倍を割った水準で推移している。番組の中で、私は敢えて「IRをもっとやりましょう!」と言ったが、同社のその担当部署の名称は「広報戦略室」。単なる「広報室」ではないところにこれからの意気込みが窺える。その第1弾がこの3月から実施される株主優待制度である。

PBR0.29倍というのは、実は今期の(予想)最終利益が黒字企業中下から50位程度に位置する。日本には応援したい企業がまだまだある。また1社見つけてしまった印象である。しかも、放っておけない会社を。。。来期も是非番組にお越し頂きたい。その時は、業績や海外戦略の進捗度に加えて、リスナーを代表してIR活動の報告も伺わなくてはなるまい。再度言う。日本には応援したい企業がまだまだまだ、ある。(了)
----------------------------------------

 取材後記は、以上です。井上哲男の「応援宣言」、出ましたね~♪
 PBR以外にも、大成温調が経営ビジョンでうたっている「人材育成」も興味をひかれました。「今日の1社」ではこれまでにも魅力ある企業をご紹介してまいりましたが、各社とも「人材」にこだわっているのが共通点ではないでしょうか?

 大成温調は歴史ある企業ですから、人材に落とし込んでいくべき「見えない資産」も多いでしょうし、今後の海外などでの成長も期待ですね♪

 また来週の「今日の1社」もお楽しみに!

(関連リンク集)
■大成温調 IR情報
■2013年1月29日付適時開示 株主優待制度の開始に関するお知らせ


代表取締役社長の山口隆義と。


2月27日放送「今日の1社」FPG(7148)の取材後記につきまして [「今日の1社」取材後記]
2013.02/27 今日の1社担当 記事URL

--------------------------------------------
 毎回「取材後記」をお読み下さいまして誠に有難うございます。
 今回、放送させて頂きましたFPG様(東証一部、7148)につきましては、金融機関でいらっしゃることから、「取材後記」の掲載を自粛させて頂きます。弊社も含め、金融機関は金商法、布令、ガイドライン、金融諸協会の諸規則等によるコンプライアンス事項の遵守が求められております。
 「取材後記」は私が取材を通して感じたことを、あくまでも私の主観として書いているもので、投資の勧誘を目的としたものではありません。また、私が書いたものをそのまま配信し、企業活動と齟齬があった場合のみ、その部分を訂正するという形で、企業様に事前に了解や校正を求めたこともありません。
 しかし、金融機関である企業様に対して、「取材後記」が、前述の法令等における「広告に関する規定」から導かれる「ソーシャルメディアにおける第三者による記載」に該当しているのではないかと当局等が考え、企業様にご迷惑がかかってはいけないとの判断から、金融機関である企業様については「取材後記」の掲載を自粛するものであります。昨年12月にご出演頂きました、マネーパートナーズ様につきましても同じ判断から掲載を自粛致しました。
 FPG様の高収益体質につきましては、放送の中で充分にご紹介させて頂きましたので、是非、オンデマンド放送でお聴き下さいませ。  井上哲男
--------------------------------------------

■FPG オンデマンド放送


代表取締役社長 谷村尚永様と。


2月13日放送「今日の1社」モブキャスト(3664)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.02/13 今日の1社担当 記事URL

 電車などに乗っていると、スマートフォンなどの携帯端末でゲームを楽しんでいる方、多いですよね~。モバイルコンテンツの著しい成長は、多くの方が「肌感覚」で実感されているところではないでしょうか?

 2月13日放送の「今日の1社」では、昨年6月に新規上場した注目企業、携帯向けのスポーツゲームを提供するモブキャスト(3664・東証マザーズ)の藪社長にお越しいただきました♪ なぜこの同社が各方面から注目を集めるのか、井上哲男の取材後記にもご注目ください!

-----------------------------------------
取材後記
モブキャスト(3664)(東証マザーズ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長、CEO/COOの藪孝樹さま。

「ゲーム業界が注目するゲーム会社」

▼スポーツゲーム好調
 昨年後半にも書いたが、昨年よりIPO市場が活況を呈している。その中でも、情報通信の初値が公募価格を大きく上回るケースが目立っているが、同社は昨年IPO上場した46社中、堂々の第2位。第1位~第3位をゲーム関連が独占したことから、“ゲーム強し”の印象を与えたが、同社はその中でも、投資家だけでなく、“同業が注目する”1社である。

 日本のプロ野球を題材とした「モバプロ」(2010年12月~)、競馬ゲームである「モバダビ」(2011年10月~)、サッカーゲームである「モバサカ」(2012年7月~)、メジャーリーグの「メジャプロ」(2012年9月~)とスポーツに特化したゲームを次々と展開、2010年7月時点で50万人であった会員数は、2年半後の昨年12月時点で280万人にまで増加(5.6倍)した。そして、その会員数のうち、最も多いのが「モバプロ」である。

▼「モバプロ」の良心 
 私は、実は草野球チームを持っている。チームに入って丸30年以上、GMになってから20年以上が経つ。試合が終わってお酒を飲んでいると、当然のように野球の話ばかりが延々と続くが、この「モバプロ」もよく話題に上がる。さんざん色々な野球ゲームをしてきたメンバーが「モバプロ」にはまる理由は、リアリティーが追求されていることにつきる。
 選手カードは20枚までしか持てない。現在、過去を問わず、実在した選手のみで構成され、「オズマ」のようなキャラクターが出てこない。選手の合成も出来ないので、イチローと松井を掛け合わせたような選手が出てくることもない。選手の獲得は代理人を通じて行われ、レベルの高い選手を獲得するためには、代理人も「駆け出し代理人」ではなく「ベテラン代理人」か「凄腕代理人」を使わなくてはならないが、良心的なことに、ここには使用制限がかけられている。つまり、たくさん使ってもらった方が会社の収益には結びつくが、それをせず、ARPPU(平均支払い額)を抑えた状態で選手のレベルアップを図ることがゲーム参加者に求められているのである。一昨年、青少年を含めてゲーマーが多くの支出をする根源とされた「コンプ・ガチャ」は、ハナから採用していない。1ヶ月のARPPUはゲーム・ソフト1本の平均単価である4000円~6000円に抑えるという方針を徹底し、ユーザーにそれ以上の負担をかけないように配慮している。

▼独自の強み「自社プラットフォーム」と海外への布石
 しかし、“同業が注目する”理由は、自社でプラットフォームを持っていることである。テレビCMで「“モバゲーで検索”、“グリーで検索”」と言っているが、これがプラットフォーム。ゲーム・メーカーは売上げの約30%を使用料としてこれらのプラットフォーム会社に支払わなくてはならないが、同社の場合はそれが無い。そして、無いばかりでなく、昨年10月にこのプラットフォームを他社に開放(オープン化)することを発表し、既にいくつかのゲームが配信されている。これについては、当然30%程度の収益が入る仕組み。自社ゲームのユーザー課金は抑えた状態でも安定的な収益源をモブキャストは持っていることになる。このゲーム配信は今年中に20タイトル程度まで増加すると同社は見ている。

 まだまだカタリストはある。2/1に韓国とインドネシアに開発拠点のあるエンタークルーズ社を株式交換で子会社化した。スポーツゲームはルールが世界共通であり、選手データの入れ替えなどの言語対応で済むことから、国を超えた汎用性が高いのだ。この収益の寄与については今期の見込みに入れていない。

▼キラリと光る本決算
 さて、そのモブキャストが上場して初めての本決算(平成24年12月期)を2/5に発表したが、利益の伸びもさることながら、利益率の高さが目を引いた。今期の見込みとして立てた数字によると、売上高経常利益率は24.29%、売上高最終利益率は14.29%となる。これは現時点での今期見込みベースで上場3548社中、経常利益率76位、最終利益率93位というものである。情報通信だからと思われる方もいらっしゃるかと思うが、その情報通信340社中でもそれぞれ、20位、23位と上位10%以内に入っているのだ。
 しかし、私が今回の決算短信を見て、最も驚いたのがその緻密さである。特に、「事業に関するリスク」について7ページもの枚数を費やすことによって詳細に述べている。久しぶりに短信を見て唸ってしまった。この内容は、同社のリスクを書いたというよりも、モバイル事業、ゲーム事業全般について想定しうるリスクをきちんと解説したものである。今ならTDNETで閲覧することが出来るし、本記事末尾からもリンクしておく。この業種に興味をお持ちの投資家は是非ご覧頂きたい。そして思った。やはり2012年組の情報通信は凄いと。(了)
-----------------------------------------

 取材後記は、以上です。
 なるほど、モブキャストが高く評価される理由がよくわかりました。エンタークルーズ社を活用した今後の海外展開についても、大変気になるところですね~。

 家庭用ゲーム機は、テレビに繋いで遊ぶ「据置機」と、携帯して遊ぶ「携帯機」に大きく二分されています。従来はファミリーコンピュータなどに代表される「据置機」が中心でしたが、そこからゲームボーイ、ニンテンドーDS、プレイステーション・ポータブルなどのゲーム専用の「携帯機」の市場が生まれ、さらにはスマートフォンなどのゲーム専用ではない端末に広がってきているところです。

 今後「据置機」で注目される「プレイステーション4」も登場してきますが、引き続きスマートフォンなどの携帯ゲームが存在感を増してくるのではないでしょうか?

 また次回の「今日の1社」もお楽しみに!

(関連リンク集)
■「モバプロ」ウェブサイト
■モブキャスト IR情報
■モブキャスト 2月5日適時開示 平成24年12月期 決算短信
■モブキャスト 平成24年12月期 決算説明補足資料


代表取締役社長CEO/COO 藪考樹様(前方右)、執行役員経営企画室室長 原田一進様(後方左)、経営企画室 渡辺雄介様(後方右)と。取材後記にある短信の情報や説明会資料は、原田様が主幹で作成されているとのことでした。


2月6日放送「今日の1社」コメ兵(2780)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.02/06 今日の1社担当 記事URL

 さて、またまた井上哲男の取材後記です。
 2月6日放送の「アサザイ 今日の1社」は、コメ兵(2780・東証二部/名証二部)代表取締役社長の石原司郎様にインタビューしました♪
 コメ兵は名古屋を基盤としつつ関東地区、関西地区などにも出店を強化していますので、馴染みのある方も多いのではないでしょうか?

 今回の取材後記では、井上哲男は特に「バリュー」の側面から小売業界と同社について分析をしています。以下、早速お読みくださいっ!

----------------------------------------------
取材後記
コメ兵(2780)(東証二部、名証二部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の石原司郎さま。
「割安な『中古小売業』」


▼「小売」の林に分け入って
 小売業は個人投資家にも人気の高い業種であるが、以前からアナリストのレポート力には疑問を持っている。時価総額の大きい銘柄や百貨店、月次売上を発表している企業の数字を追うだけで、果たして、「業」全体の動向をきちんと反映しているかということに関して、私の評価は低い。
 個別銘柄は「木」、市場全体は「森」。よく、市場全体の動向を見ることが肝要だという戒めで、「木を見て森を見ず」という言葉が使われるが、私は、業種という「林」を見ることが、それに加えて大切だと思っている。そして、小売業という「林」はいくつもの違った「林」の集合体であり、細区分が必要である。

 具体的に私がどのように区分しているかというと、「小売」全体を、「総合小売」、「専門小売」、「無店舗小売」、「外食・食料小売」の4つの中分類に分け、小分類としては中分類の「総合小売」を「百貨店・スーパー」、「ホームセンター」、「100円ショップ」の3つに、中分類の「専門小売」は「衣料」、「電気機器」、「自動車・自動車部品」、「薬局・調剤薬局」、「中古品小売」、「その他の専門小売」の6つに区分している。そして、それぞれの林の元気度を見た上で、その中での個別銘柄の魅力度を測っているのである。

▼「元気な林」を見つける
 昨年9/5にご出演頂いたワッツ(2735)は、このスクリーニングで発掘したものである。放送日に丁度1000円前後であった株価は、この2/5に1575円まで駆け上がった。また、昨年、私はこの番組でも「ディフェンシブ・グロースの時代」という言葉をよく使った。これは、成長性のある内需株のことであるが、これも“元気な林”をピックアップしたものであり、具体的な業種として『情報通信・サービス・小売』を挙げ続けた。年末の特番もこのテーマに沿ってSMS(2175)、デジタルハーツ(3620)にご出演頂いたので株価の推移をご覧頂きたい。

 しかし、これらの銘柄の株価上昇の背景には、きちんと理由がある。それは、外国人も私と同様にスクリーニングを施したうえで銘柄選択を行っているということである。
 その証左を示そう。米国最大の株式投信会社フィディリティのファンドである、FMR LLCが今年に入り大量保有報告を行った銘柄が11銘柄あるが、そのうち7銘柄が「情報通信・サービス・小売」なのである。因みに小売は4銘柄、前述のワッツ(2735)に加えて、ドン・キホーテ(7532)、ハイデイ日高(7611)、ナフコ(2790)が入っている。決して大型銘柄ばかりを買っているわけではないことがお分かり頂けると思う。

▼割安な「中古品小売」
 前書きが長くなった。「小売」に話を戻そう。その小売の「林」のなかで、「中古品小売」のバリュエーションが非常に低い状態で放置されていることを感じている。番組の中でも紹介したが、市場規模は10年間で倍となり、2011年には1兆900億円にまで膨らんでいる。これを裏付けるように、10年前の2002年末に9社であった中古品小売の上場銘柄数は、現在14社にまで拡大している。

 その「中古品小売」であるが、小売全体の小区分の中で、実は「衣料」に次いで利益率が高い。しかし、「小売業全体」のPERと「中古品小売全体」のPERの年末推移を追ってみると、2007年時点で10倍程度「中古品小売」が「小売業」に対してプレミアムがついていたものが、リーマン・ショック後である1年後の2008年末には5倍程度のディスカウント状態となり、2009年末にはなんと25倍以上にまでディスカウント幅が拡大し、さすがに縮小したものの、ここ3年間も大体10倍程度のディスカウント状態で推移しているのである。
 PBRについては2008年末以降、「中古品小売」は「東証一部」に対して、ほぼ、イコールの状態で推移しているが、コメ兵については、1倍~0.3倍ディスカウントした状態で放置されている。そのため、2/5の時点でのバリュエーションはPER8.68倍、PBR0.63倍となっている。業界の大手がPBRで「中古品小売全体」よりもディスカウントされている状態は不思議である。

 これは、「中古品小売」における資産の健全性・流動性について市場が疑問を持っていることの裏返しなのかもしれない。しかし、これは誤認と私は判断している。「中古品小売」のバリュエーションが低く評価されるようになったのは、確かにリーマン・ショックを経てである。当時PBRが0.2倍程度の不動産やその他金融で倒産が相次いだが、それらの業種と「中古品小売」は違う。事実、1社も上場会社は倒産していない。資産の回転率を分析したが、結果は他の小売と同等の評価がPBRにおいてされるべきというものであった。まとめる。「中古品小売」は割安感が強い。中でもコメ兵は特にその印象が強い。(了)
----------------------------------------------

 井上哲男の取材後記は、以上です。なるほどですね~。

 小売業は個人投資家にとっても身近で、全般的に個人株主の割合が高い企業が多いです。
 私はこれまで、BtoB企業のIR担当者様とお話していると「なかなかわかってもらえなくて・・・」という話を聞くことが多く、それに比べて小売業は「わかりやすい」という印象を持っていました。
 ただ、実際にこうしてバリュエーションを解析してみると、まだまだきちんと企業価値が理解されていない部分もあるということなんですね~。

 「今日の1社」では、引き続きそんな企業の魅力をお伝えしていきたいと思いますっ!


(関連リンク集)
■コメ兵 IR情報


代表取締役社長の石原司郎様と。


1月30日放送「今日の1社」京浜急行電鉄(9006)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.01/30 今日の1社担当 記事URL

 1月30日放送の「アサザイ 今日の1社」は、2回目の出演となる京浜急行電鉄(9006・東証一部)でした。1回目の出演は7月10日でしたが、それから京浜急行電鉄の路線では大きく変わったポイントがあります。鉄道ファンの方はすぐにピンとくるでしょうか、京急蒲田駅の完全高架化です♪

 京急蒲田駅が2010年5月に一部高架化されてから、環状8号線を通って羽田空港に向かう京急リムジンバスが運行できるようになったり、今年の箱根駅伝ではダイヤの影響を受けなくなったりと、いろいろな面でのボトルネックが解消されたのです~。

 今回の放送ではそのあたりも含めて、同社の施策を総務部長 渡辺静義様にお話いただきました。またまた井上哲男が取材後記をまとめていますので、どうぞお読みくださいっ!

---------------------------------------------
取材後記
京浜急行電鉄(9006)(東証一部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は総務部長の渡辺静義さま。

「生き続けているスローガン」

▼「おもしろい会社」
 京急さんを一言で表すとしたら、「おもしろい会社」以外思いつかない。
 関東初の電気鉄道会社という歴史を持つ会社に対して失礼かもしれないが、堅いイメージのある電鉄会社の取締役会で「くりぃむしちゅー」をキャラクターに登用する議案があがった場面を想像すると笑ってしまう。
 私もアナリストとして、また、ファンドマネージャーとして多くの電鉄会社の説明会や業種セミナーに参加したが、その時、「京急さんだけ、ちょっと違う」と感じていたものが何であったのか、2回ご出演頂いて、取材を行い、かなり分かった気がする。

 まず、関東、関西の電鉄会社で比べると、明らかに関東の電鉄会社に勢いがある。これは、前回の取材後記でも述べたが、1988年の平均輸送人員を100とすると、2010年の数字では関西が85.1まで落ち込んでいるのに対して、関東は103.4と増加している。そして、京急については107.6までその数字を伸ばしており、主業の好調さが表れている。しかし、よく考えてみると、羽田空港が国際化したのは2010年10月のことである。2010年の数字は、この効果が2ヶ月分しか入っていない。通年ベースとなった2011年以降は、さらに京急の輸送人員が他社よりも伸びていることが容易に想像できる。
 これを裏付けるデータがある。京急は羽田国際化に伴い開業した国際線ターミナル駅の乗降客数を1日1万人と見込んでいたのであるが、実際は予想よりも多く利用され、前期は1万2500人と予想の25%増となっているのだ。羽田空港は今年3月末に国内便の発着回数を年間32万回から34万回に拡大し、これに対応して新しい国際線ターミナルビルの改築、増床にとりかかっている。これにより宿泊施設等も整備されて、さらに利用客の利便が図られる見込みである。

▼京急蒲田駅高架化がもたらす「安心」、羽ばたく京急
 そして、この羽田へのアクセスがさらに便利になった。昨年10/21に遂に京急蒲田駅付近の高架が完成し、駅が高架スタイルの近代的なものに生まれ変わったのであるが、これに合わせて、品川方面から羽田に向かう「快特」、横浜方面から羽田に向かう「エアポート急行」の所要時間が短縮されるとともに、本数も倍増されて約10分に1本の割合となったのである。高架になったということは、以前は28箇所あった踏切が無くなったということであり、踏切事故が無いという安全面、それがダイヤに影響を与えないという安心面の効果もある。
 京急は10年に一度、コーポレート・スローガンを変えている。現在のそれは「あんしんを羽ばたく力に-京急グループ-」である。“羽田”、“高架による安心”にもかかっている気がする。

 また、国が定めた7つの「国際戦略特区」のうちの2つ(「アジア・ヘッド・クォーター」(品川~田町)、「京浜臨海部ライフイノベーション」(殿町))が京急エリアであり、この地域での事業の拡大も大いに期待される。

▼忘れない視座、足元からの「街づくり」
 しかし、私がもう一つ評価、強調したいのは、京急の沿線街づくり、生活環境づくりの姿勢である。バブル期に鉄道各社はマンション建設を加速させたことがあったが、京急はそうではなかった。この点を当時のアナリストは叩いたのであるが、結果的に京急の無理の無い不動産事業は他社がその後苦しんだことを考えれば正解であったといえる。
 この1年間の沿線街づくりに関する日経新聞の記事データを調べてみたが、京急が一番多かった。羽田、品川という現在の最重要テーマとともに、きちんと京急は沿線の街づくり、生活環境づくりを怠っていない。
 例を挙げよう。「黄金町の高架下に多目的施設を完成。『芸術の街黄金町』の黄金町バザールの会場に」、「京急百貨店でおせち料理の受付け開始。地元かながわの食材を使った店も」、「トリプルタワーマンション『リヴァリエ』第2棟目が建設着工。今度は『音楽のまちかわさき』に因んだ施設も」など。その他にも、高架下の保育所の話題や、「大人のふりかけミニ(京急限定バージョン)」、「京急路線バス『トミカ』(三浦半島を走るバスバージョン)」、子供の熱中症対策に「京急ペットボトルホルダー」などなど、決して商業ベースで行っているとは思えないものも中には含まれる。。。

 また、12月よりHPで動画配信サービス(京急動画情報)を開始している。観光情報や懐かしい電車などが見られる。
 この京急動画情報の他に、「京急まちWeb」というサイトがある。こちらは沿線の楽しくお得な情報等が満載で、利用価値が非常に高い。サイトの運営は大変だと思われるが、京急が街づくりに真剣に取り組んでいることが分かる素晴らしいサイトだ。
 京急の過去2回のスローガンは「新しい出会いに夢のせて」、「めざす未来へ、ふれあい京急」である。コーポレート・スローガンは変わったからといって、決して過去のものが無くなるわけではない。それは、ずっと生き続ける。そのことを京急は分かっている。(了)
---------------------------------------------

 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 鉄道を単なる「A地点からB地点への移動手段」と機械的にらえると、スピードとコストだけの話になるでしょう。しかし、A地点とB地点はどんな街なのか、どんな目的で行くのか、またはどんな暮らしができるのか・・・というイメージが豊かに広がっていくと、他には代えられない沿線の価値=企業の価値にもつながっていくと思います。

 ちょっと話はずれてしまうのですが、「今日の1社担当」のわたくしは「公共交通機関」って好きなんです。
 公共交通機関は、お金を払っても自分だけのものではないですから、自家用車と違って自分だけの都合では動きません。席は譲り合うことが大切です。でも、そんな「みんなでシェアする」公共交通機関の精神が特にこれからは非常に大切なのでは、と思うのです。

 みんなで分け合うからお財布の小銭で遠くまで行けるし、みんなが集まる。
 みんなが集まるからいろいろなお店ができるし、楽しくて便利な街ができる。
 自分だけのものではないから、いつも誰かのために動き続けている。

 「いつも誰かが集まるところ」は街の核になりますし、取材後記にもある「街づくり」の視座は本当に大切だと思いますね。

 さて、放送でも告知しましたとおり、京浜急行電鉄は2月23日(土)の「ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催 企業IR&個人投資家応援イベント」に協賛いただいています!
 今回は福岡市での開催ですので、九州地区のリスナーの皆様、どうぞご参加くださいっ!

(関連リンク集)
■京浜急行電鉄 IR情報
■京浜急行電鉄IRニュース ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催の個人投資家向け説明会に参加します。
■京急動画情報
■京急まちWeb
■ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催 企業IR&個人投資家応援イベントin博多イベントページ


総務部長 渡辺静義様と。


1月23日放送「今日の1社」SHO-BI(7819)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.01/23 今日の1社担当 記事URL

 1月23日放送の「アサザイ 今日の1社」は、またまた元気な企業をご紹介します。今回は「SHO-BI」(7819・東証一部)の寺田専務に井上哲男がインタビューしました!
 同社は、雑貨専業メーカー。昨年ご紹介した「アクセル」(6730・東証一部)に続くファブレス企業です♪

 それでは早速、井上哲男の取材後記をどうぞっ!

------------------------------------------------
取材後記
SHO-BI(7819)(東証一部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は専務取締役の寺田正秀さま。

「アジアに咲く薔薇」

▼伸びゆく芽
 「SHO-BI」の企業ロゴ・マークは薔薇。古語で薔薇は「しょうび(そうび)」と読まれたことに因んでいる。

 「小売」、「卸売」の両業種の個別銘柄の選択において私が重要視していることは、まずは「利益率」である。そのため、企業にも利益率が業界平均を超えること、もし、それに時間的な早急度をつけるとしたら、「売上高最終利益率」、「売上高経常利益率」、「売上高営業利益率」の順番にクリアすること、そして、その段階から“売上高を伸ばすこと”を考えることをアドバイスしている。以前、ご紹介した、100円ショップのワッツ(2735)は好例で、これに沿った形で業績が着実に伸長していった。

 「SHO-BI」は番組でも紹介したように、通常のメーカー商品を小売業者に卸す「卸売業」と、自社開発商品を小売業者に卸す、メーカーとしての「その他製品」の2面を持つ。そのため、少し厳しく、「卸売業」、「その他製品業」、「(金融を除く)29業種全体」と比較すると、直近5期の利益率平均は「SHO-BI」が利益率3項目全てで圧倒している。「売上高最終利益率」の数字を紹介すると、「卸売業」:1.43%、「その他製品業」:1.61%、「(金融を除く)29業種全体」:1.61%であるのに対して、「SHO-BI」は4.41%である。これには、売上高に占める自社開発商品の比率を高めたことが寄与している。その比率は08年9月期に47.4%であったものが前期(12年9月期)には63.4%にまで上昇している。

▼海外に伸びる枝
 ここまできたら大切なことは、前述の“売上高を伸ばすこと”である。その売上げであるが、番組で紹介したように12期連続で増収となっているが、利益率の比較で用いた5期でも、丁度2割増加している。因みに、この期間で「卸売業」は19%、「その他製品業」も19%、「(金融を除く)29業種全体」は14%売上げを落としている。
 このことをきちんと「SHO-BI」は認識しており、前期より新たなステージとして、利益の“率”ではなく、“額”の拡大を目標として掲げている。利益率が業界平均よりも高い現状下、売上高を伸ばせれば、そのことは充分に可能である。

 そのため、「新しい商品」の提案により「新しい販路」の開拓を国内で進める一方で、海外戦略についても展開の強化を目指している。この強化とは、ファブレス・メーカーとして現在まで調達先(生産拠点)として大きな存在であった中国に加えて、リスク軽減も踏まえて、その先をインドネシア、ベトナム、ミャンマーに拡大させるとともに、販売先として中国、韓国、台湾、シンガポール、香港、ベトナム、ニュージーランド、そして米国と広げることである。そして、これが前期より驚くような急ピッチで進められている。ご出演頂いた寺田専務が世界中を飛び回っているのだ。

▼アジアで根を張るためのブランド戦略
 この「SHO-BI」であるが、昨年11/9に前期の決算発表を行ったところ、今期(13年9月期)の業績見込みは前期よりも増収・増益であったものの、減配見込み(1株あたり年間配当額22.5円→15.0円)が嫌気されて、2日間で7.6%も株価が下落(現在は発表前の水準まで株価は復調している)した。私はこの時、モニタリングしてきちんとレポートするアナリストのいないことを非常に残念に思った。
 発表の前日、「SHO-BI」の配当利回りは5.68%。これは全上場普通株3542社中、第27位、「その他製品」108社中、第2位、「その他製品+卸売」461社中、第4位の数字である。因みに、減配見込み後であるこの1/21の配当利回りでも、全上場普通株3549社中、第275位、「その他製品」108社中、第9位、「その他製品+卸売」460社中、第65位の堂々たる位置にいる。

 大切なのは、なぜ減配をするかである。それは、自社ブランドである、つけまつげの「PLAY GIRL」、アイシャドウ・アイライナー等の化粧品「BRIGITTE」の広告宣伝費を増加させたからである。卸売からファブレス・メーカーへと歩を進め、これから海外進出を加速させるうえで、最も必要なことが、「確固としたブランディングの確立」であると判断したからである。
 考えてもみて欲しい。年間3万アイテム、7000万個の商品を流通させている会社は商品一つあたりの利益の小ささや販売管理費の抑制の大切さは身に染みているはずである。それが、広告宣伝費を年間282百万円増加させたのである。それくらいブランディングということは、海外進出、特にこれから消費が拡大する国におけるファースト・アタックとして必要なことなのである。声を大にして言いたい。「『SHO-BI』」は今までも、そして、今期も、何も間違った戦略を採っていない」と。

▼「変化する種」が花咲く日
 番組の中で、専務が「変化する種」という言葉を使った。これはダーウィンの「種の起源」にある「生き残る種は、最も強いものでも、最も知的なものでもなく、最も変化に適応できる種である」という一節からきている同社のビジョンDNAである。
 戦後の大阪の化粧品道具大問屋であった「粧美堂」。化粧品卸で唯一生き残り、上場にこぎつけて2年で東証一部まで駆け上がった歴史は、まさに「変化する種」でなければ成し得なかった軌跡である。そのDNAは、先代の創業者から現社長へ、そして、お話しさせて頂いた35歳の若い専務にしっかりと引き継がれ、これから大きな花を咲かせる種となる予感がする。

 薔薇は最も種類が多く、花言葉も一番多いのは皆に愛されたからである。さまざまな色の薔薇を見たいという気持ちが、種を変化させた。世界中で「無理」と言われた青い薔薇を咲かせたのは、サントリーだ。
 「雑貨(ZACCA)専業企業として、アジアNo.1を目指す『SHO-BI』」。小さな可愛らしい薔薇がアジア各国で咲き誇るのは、そう遠い日のことではない。(了)
------------------------------------------------

 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 年間3万アイテム、7,000万個の商品とは凄いですね~。今回、SHO-BIのショールームを見学させていただいたのですが、膨大な商品に確かに圧倒されました!


つけまつげ「PLAY GIRL」


【続きを読む】
1月16日放送「今日の1社」メディシノバ(4875)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.01/16 今日の1社担当 記事URL

 「投資にあたっては投資対象への正確な理解が必要」・・・というのは当たり前すぎる話ですが、「バイオベンチャー投資」にあたっては、あらためてこの言葉を虚心に受け止めてみる必要があると思います。「今日の1社」担当の私自身きちんと理解できているかどうか自信がないのですが、それだけに今回の放送は注目しておりました♪

 1月16日放送「今日の1社」では、バイオベンチャーであり、外国企業でもあるメディシノバ(4875・JASDAQ外国部)です! 同社副社長・東京事務所代表の岡島様に出演いただきました。
 バイオベンチャーへの理解が一層深まる井上哲男の取材後記を、是非お読みください~。

-----------------------------------------------
取材後記
メディシノバ(4875)(JASDAQ外国部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は東京事務所代表の岡島正恒さま。

「バイオベンチャー投資」を考える

▼なぜ、欧米か
 1980年代の米国、そして、その後の日本で「バイオベンチャー」は上場のテーマとして大きく取り上げられてきた。米国では今でも同テーマの上場が続いているが、日本では特に2006年1月のライブドア・ショック以来、新規企業の上場を取り巻く環境が厳しくなったこともあり、数的には減少したが、それでも上場の際の人気は高く、また、上場後の業績も堅調に推移している企業が目立つ。

 メディシノバのJASDAQ上場は2005年2月。現在、唯一JASDAQ外国部に上場する企業(2006年12月よりNASDAQに平行上場)であり、バイオベンチャーの中で、「創薬ベンチャー」のカテゴリーに属する。
 日本の中堅医薬品メーカーの優れた医薬品候補化合物を選定し、欧米で医薬品として承認され使用されることが企業活動の目標であり、現在の主力化合物は気管支喘息急性発作を適応とするMN-221(ベドラドリン硫酸塩)(キッセイ薬品工業)、進行性多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)(キョーリン製薬)の2つである。
 なぜ欧米で承認を得ようとするのか。それは、地域別での医薬品の売上構成の46%が米国、31%が欧州と、2地域で7割以上が占められているからである。(メディシノバ資料より。出典:IMSヘルス。2007年数値。国別では日本はおよそ9%で米国に次ぎ2位)米国の医療費用の高さはよく知られるところであるが、当然、医薬品単価も日本に比べて高い。

 その為、最大手グループは海外医薬品会社と提携して海外事業を進めているが、中堅の場合、単独での進出は厳しく、優れた化合物を世に送り出す同社のような存在が必要なのである。しかし、これが、「民」だけの力に果たして頼るべきなのであろうかという、一元的な疑問が個人的に沸く。「官」の力添えはもっと行われてよいのではないか、と。
 もっとも、実情は、海外での承認うんぬんの前に、国内でベンチャーとして創薬を行う環境は海外に比べて25年~30年遅れているという。一例を挙げると、1999年~2000年に規制が緩和されるまで、大学の先生が企業の役員となることも禁じられていたという。それまでは、医師であり大学の先生である者は創薬ベンチャーの社長になれなかったのだ。

▼お勧めしたい2冊の本
 岡島東京事務所代表が放送の中で自ら言われていたように、創薬ベンチャーへの投資は、ハイリスク・ハイリターンの投資である。バイオベンチャーについて投資家に聞かれると、私は一冊の本を読んでから考えることを勧めている。
 その本は「サイエンス・ビジネスの挑戦~バイオ産業の失敗の本質を検証する」(日経BP社)という。著者はハーバード・ビジネススクールのゲイリー・P・ピサノ教授である。しかし、この本は少し“ズルい”印象を受ける。バイオベンチャーが一世を風靡してから20年以上経てから、それまでの30年間のバランスシートとビジネスモデルの検証を用いて、「なぜ宝くじが当らなかったのか」を解説しているのだ。それでも、宝くじを買う人はいるし、実際に、アムジェンやジェネンテックは大成功している。要は、この本を読んでどのような印象を持つかで、バイオベンチャーに投資を行う資質があるのかないのかを自ら判断できると私は考えるのだ。前提条件は「社会に必要なものを作っている企業を応援したいか」「結果を数年というバイオベンチャーにとっては短い期間で求めないか」である。

 もう一冊勧めるとしたら、この12月に上梓されたばかりの「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。」(ダイヤモンド社)。東大発のバイオベンチャー「ユーグレナ」(ミドリムシの学名)の創業者、出雲充氏の快作だ。
 その、ユーグレナ(2931)、公募価格の1700円の2.3倍の3900円で寄り付いたのが、上場2日目の昨年12/21。昨日(1/16)の終値は13000円、PER:135.9倍、PBR:29.5倍となっている。短期筋の値幅取りの動きが目立ち、前掲の前提条件とはかけ離れた値動きとなっているのが気掛かりだ。。。

▼「官」にできること、投資家に望むこと
 医薬品の開発・研究として有名なのはアイルランド。世界中の医薬品メーカーが集まる同国は、法人税の低さと製薬ベンチャー起業のし易さで知られ、医薬品は同国で主力産業となった。日本のメーカーも数多く進出している。再度言う。海外での承認うんぬんの前に、国内での創薬、創薬ベンチャーに対して「官」が出来ることはいくらでもある。加えて苦言を呈するならば、投資家も「バイオベンチャー投資」を一度冷静に考えることである。株価が急落して次回のファイナンスに支障をきたした場合、結局はその応援している企業のためにならないということを。(了)
-----------------------------------------------

取材後記は、以上です。いかがでしたか?実際の放送とあわせてお読みいただくと、より整理がつくと思います。

メディシノバは、同社ウェブサイトの「IRスケジュール」を参照すると、個人投資家向けIRイベントに数多く参加していることがわかります。創薬はたいへん専門性の高い事業ですから、正確な理解をしてもらうためには、分かりやすい説明を継続的に行っていくことが必要なのでしょうね。

メディシノバの事業と今後の展開については、同社のウェブサイト(日本語)にも記載がありますので、どうぞご参照ください!

(関連リンク集)
■メディシノバ ウェブサイト
■メディシノバ IRイベント


東京事務所代表 岡島様と。


1月9日放送「今日の1社」ケアサービス(2425)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.01/09 今日の1社担当 記事URL

 「高齢化社会」という言葉が日本で使われるようになってから、かなりの年月が経過しました。「高齢社会白書」が初めて政府から発行されたのが1996年ですから、少なくともその時から16年以上は経過していることになります。
 もはや「来るべき」高齢化社会ではなく、現在進行形の問題といえるでしょう。

 そのような環境下注目されるのはやはり、高齢化社会に対応する企業ですね。今回「今日の1社」に出演いただいたのは、介護サービスを中核とするケアサービス(2425・JASDAQグロース)の福原敏雄社長です!
 井上哲男の取材後記を是非お読みください♪

-----------------------------------------
取材後記
ケアサービス(2425)(JASDAQグロース)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の福原敏雄さま。

「介護の到達点」



▼“大人の街”で築いた信頼
 東京は“大人の街”である。
 東京都は人口に占める65歳以上の比率が9%で全国1位であるが、25歳以上の全ての世代で年代別人口比率が1位。つまり、現在も、そして、将来も、高齢化という社会ニーズがあり、それに対応していかなくてはならない場所なのである。それを行政も認識しており、2012年4月の介護保険法改正により、東京23区は全国で唯一の1級地に指定された。
 しかし、大手社にとっては厄介な問題もある。土地・施設代金が高いのにも係わらず、施設寿命30年という制限があり、新規で大規模な施設を作ると償却負担も大きいのだ。そのため、同社は施設寿命20年以下で改廃対応力のある通所介護事業所を開設し、在宅支援のためのデイサービスを強化し、「家族ありきの介護、在宅支援」を実践してきたことが信頼という企業価値となっている。

▼本当のニーズに応える
 同社の介護事業はデイサービス・訪問介護・訪問入浴など、介護を受ける人の生活空間に密接したところで行われている。このうち、訪問介護・訪問入浴などは利益率重視の大手社が参入を躊躇っているが、切迫したニーズのあることである。
 創業は昭和45年(1970年)。老舗中の老舗である。社長が独立して1台のトラックで寝たきり老人などの布団の消毒乾燥を行う寝具乾燥事業を行ったことが原点だ。そして、その経験の中で培った「介護を受ける側の本当のニーズに対応すること」が同社の事業の根幹に流れていることを感じる。

 その一例が、埼玉県に3棟経営しているサービス付き高齢者向け賃貸住宅(フォーライフ)である。これは「賃貸」である。つまり、老人ホームのように、契約時に高額の入居金を必要としないものである。
 現在、大手社を中心として老人ホームの新規造営ラッシュである。厚生労働省の発表によると、高齢者向けの施設は65歳以上の人口の4%分しか確保されていない。自治体などの運営による、所謂“特ホ”の待ちは40万人を超え、結果、民間、特に大手社が老人ホームの新規開設を急いでいるが、高額な入居金がその開設原資となっている。入居金は1人あたり1千万円が相場で、中には3億円という高額な物件もある。企業にとって、この入居金は次の物件の原資であるばかりではなく、入居後、数年にかけて売上高に計上できる。また、月々の費用は別途入居者の負担となり、自立できない入居者がいる場合、老人ホームは自治体の介護保険制度から決まった報酬を受けることが出来る。そのため、いつの間にか、「介護」=「老人ホーム」の図式が大手社のなかに浸透しつつあるのだ。

 しかし、私の思い込みかもしれないが、同社の採っているスタンスは違う。現在51ヶ所のデイサービス事業所を100ヶ所まで開設できるようピッチを上げるという。介護の理想であり、本質である、「家族と介護会社と足並みを揃えた介護」から外れることがない。

▼介護の到達点「エンゼルケア」
 また、同社は独自のエンゼルケアサービスというものを行っている。これは亡くなった方に、湯灌(ゆかん)、着付け、お化粧を行う、映画「おくりびと」そのままのサービスである。この湯灌について、社長がインタビューの中で「古くから仏典にある言葉」という表現を何度も使ったので気になっていたが、その謎は後日解けた。
 映画「おくりびと」は、本木雅弘が青木新門のベストセラー小説「納棺夫日記」を読んで感動し、映画化の許可を著者に直接求めたものであるが、シナリオを読んだ後に、青木は映画のタイトルを「納棺夫日記」から変更することと、原作として「納棺夫日記」の名前を出さないことを条件としたという。その理由として、後日、新聞社の対談で青木は「シナリオは素晴らしかったが、自分が最も訴えたかった宗教性について触れられていなかったから」と答えている。
 「湯灌」とは仏典の中で、家族やごく親しいものが亡くなった方の体をお湯で清めて、汚れのない浄化した体に仏衣を纏わせ、尊厳のうちに旅立たせることを目的としている。いわば、これは、家族の義務である。親族がいない場合は僧がこれを行ったという。

 「尊厳の中に生き、尊厳の中に死ぬ」そのために、湯灌を行うことは、家族とともに介護を行ってきた同社にとって、家族と行える最後の介護なのである。そのため、同社はこのエンゼルケアを「介護の到達点」と位置づけているのだ。福原社長が言いたかったのはこのことではないかと、今思う。

▼介護は、家族とともに
 ロング・インタビューの中で、社長が母親のお腹にいるときに出兵した父親が亡くなり、母親を楽にさせるためにとにかく起業したかったことが語られている。同社が掲げる2つの企業理念の一つが「私たちは、全従業員とその家族の幸せを追求します」である。“その家族”という部分に、同社の姿勢全てが窺える。介護は、やはり家族ありきだ。
-----------------------------------------

 取材後記は、以上です。いかがでしたか?

 業績は決算短信を見ればすぐに確認できますが、企業を見るには「その企業がいかに社会にとって必要とされているか」「社会をよくしていく役割を担っているか」という視点も欠かせない、と「今日の1社担当」の私も感じています。
 今回も井上哲男が企業を見る、柔軟かつ温かい視座が大変参考になりました♪

 誰しもが迎える「親の老い」、そして「自分の老い」。
 人生の終わりを豊かで尊厳に満ちたものにしたいというのは共通の願いですね。そんな社会を支える企業として、ケアサービスには今後も期待したいと思います。

<関連リンク集>
■ケアサービス IR情報
■ケアサービス エンゼルケアを知っていますか
■ケアサービス 企業理念
■内閣府 高齢社会白書


代表取締役社長 福原敏雄様と。


 全33ページ中30 ページ   前の10件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 [30] 31 32 33 次の10件