6月19日放送「今日の1社」カービュー(2155)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.06/19 今日の1社担当 記事URL
 現代日本にあって、車に乗ったことがない、という方はいらっしゃらないと思います。日本の上場企業の売上高1位はトヨタ自動車で、日本人にとって車は主要な産業でもあり、生活に密着した存在でもあります。
 今回の「アサザイ 今日の1社」にご出演いただいたのは、そんな日本人のカーライフを情報サイト「carview!」等で支えるカービュー(2155・東証マザーズ) 代表取締役社長の兵頭裕様ですっ!

 同社がヤフーの連結子会社になるのに伴って新社長に就任された兵頭様。放送中では同社の事業ビジョンについて、井上哲男のインタビューに応えてお話いただきました。今回も井上哲男の視点が光る取材後記が届きましたので、どうぞお読みください♪

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取材後記

カービュー(2155)(東証マザーズ)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の兵頭 裕さま。

 

「クルマ × ネット =カービュー」

 
▼新生「carview!」誕生

 昨年12月初旬にカービューの筆頭株主であったソフトバンクの保有株式をヤフーが取得することによって、同社がヤフーの連結子会社となるというニュースは市場に大きな驚きを与えた。

 同社の「carview.co.jp」と「Yahoo!自動車」という自動車関連の2大サイトが統合され、この6/6に「carview!」がスタートした。兵頭新体制になって4ヶ月。具体的な形で連携がスタートしたことになる。自動車総合ウェブサイトといえば真っ先に名前が浮かぶのは、このサイト以外無くなったということだ。

 
▼4事業の展望

 同社のセグメントは「国内事業」、「広告事業」、「SNS事業」、「海外事業」の4事業であるが、収益上の主業は「国内事業」のなかの中古車関連事業である。

 この3月に終わった前期が減収・減益となった理由は、この中古車関連事業の不振。社長に理由を訊ねたところ、「顧客である中古車関連事業者の広告宣伝費に関する意識が変化したことと、競争激化などビジネスモデルを巡る環境が変化しつつある」と冷静に分析した答えが返ってきた。「エコカー減税で消費者の眼が中古車ではなく、新車に向かった」という言葉が返ってくるかと思ったが、そのような言い訳は一切なかった。

 この事業の立ち直りが同社のこれからの鍵であるが、その為には自社サイトへの訪問者を増やすことが重要となる。その点で、これまでも高いコンテンツ能力を誇ってきたカービューと同じく集客力については圧倒的な力のあるヤフーの提携がマイナスに働く訳はない。

 

 また、残りの3事業については前期も堅調に推移している。

「海外事業」においては特に日本の中古車を輸入するニーズの高い業者の多い、東アフリカのケニアに海外子会社を設立した。無論、日本の中古車業者の海外輸出意欲は高い。代金の出納代行サービスなど、他社に先駆していることはこれらの業者に対して大きな安心感を与えている。

 「広告事業」はウェブサイトにおける広告媒体事業であるが、前述のように訪問者数の増加が望める以上、こちらについてもシナジー効果が見込める。

 そして「SNS事業」であるが、5/7に出されたプレスリリースによると、「みんカラ(みんなのカーライフ)」の登録ユーザー数は60万人を超えたという。

 因みに09年6月時点で18万人、11年6月時点で39万人であったことから、この2年間で1.5倍に増加した計算になる。インタビューの際にこの事業に売上げを立てる、つまり、「マネタイズ」も将来戦略の一つとして社長は掲げたが、意外とそのハードルは高くないかもしれない。また、もともと、ヤフーの得意な分野だ。

 
▼提携シナジーで、再度チャレンジ

 最後にカービューの利益率についての分析を書く。

 13年3月期の売上高営業利益率、経常利益率、最終利益率は4.5%、4.9%、2.2%であったが、不思議なことに、この数字は、12年4月~13年3月に決算を行った金融を除く29業種全企業の4.6%、4.7%、2.2%とほぼ一致する。つまり全社の平均点である。

 

 しかし、それまでの3期の同社の平均はそれぞれ、12.6%、12.9%、6.80%となっており、29業種の3期平均である、4.57%、4.39%、1.87%を大きく上回ってきた。この数字に向かってカービューは再度チャレンジすることになる。

 まずは、日本最大のクルマ情報サイトは立ち上がった。

 これからは"クルマのネット"といえば"カービュー"と誰もが認知するまでの時間をどれだけ短縮できるかが勝負である。シナジー効果が見え始めるのは今期の後半の予定。そこで明るさが見えれば、来期以降の数字も自ずと強いものが期待できる。(了)
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 今回の取材後記は、以上です。いかがでしたか?

 ウェブの世界では、グローバルではGoogleが強いですが、日本ではYahoo! JAPANが利用者の高い支持を受けています。シンプルにトラフィックの流入という点だけでもカービューにとっての好影響はたいへん大きなものがありますし、取材後記にもあるように、事業の収益力を高めていく経営面においても、ヤフーとのシナジーが期待されます。
 今後の兵頭社長の舵取りに、ますます注目ですね♪

 丁度6月17日に同社のIRサイトに「Business Report」(事業報告書)最新版がアップされています。兵頭社長インタビューも掲載されていますので、下記リンク集からどうぞご参照くださいね。

 また次回の「今日の1社」も、お楽しみに!

(関連リンク集)
■カービュー 株主・投資家情報
■カービュー Business Report VOL.6(事業報告書)(PDF)
■クルマ総合情報サイト「carview!」
■クルマ関連SNS「みんカラ」

代表取締役社長 兵頭裕さまと。
代表取締役社長 兵頭裕さまと。

6月12日放送「今日の1社」ブックオフコーポレーション(3313)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.06/12 今日の1社担当 記事URL
 ようやく梅雨らしい空模様になりました本日6月12日の「アサザイ 今日の1社」は、ブックオフコーポレーション(3313・東証一部)をご紹介いたしました! 今回は代表取締役社長 松下展千様にお越しいただきまして、井上哲男がインタビューさせていただきました。
 私も「BOOK OFF」の店舗にたまに行くのですが、放送中で紹介のあった同社のプライベートブランドの「新品絵本」や105円の「学習ドリル」など、まだまだ知らない一面があることがわかりました♪ お聴き逃しの方は、オンデマンドも是非チェックしてみてくださいね~。

 さて、今回も井上哲男が同社の本質に迫る取材後記をまとめましたので、どうぞお読みください!

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取材後記

ブックオフコーポレーション(3313)(東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の松下展千さま。

 

「MOTTAINAIの本質」

 
▼「捨てない人」のために

 「もったいない」を世界に広めたのはケニア出身でアフリカ女性初のノーベル賞受賞者となったワンガリ・マータイである。2005年に京都議定書に関する集まりで来日した際にこの言葉に触れて感動し、「MOTTAINAI」キャンペーンは世界へと広がりを見せた。

 

 松下社長のインタビューは、この「もったいない」の一言(ひとこと)から始まった。

 同社はミッションとして「捨てない人のブックオフ(捨てない人のインフラを作るカンパニー)」を掲げているが、私はこの"インフラ"という部分が非常に重い意味を持つと考えている。それは、生活をするうえで必要なラインである。電気、ガス、水道などと同じライフ・ラインということだ。

 

 その考えを敷衍(ふえん)して日本に理解されたのかどうかを測るモノサシは売上高であって利益項目ではないと思う。番組の中でも紹介したが、同社は有価証券報告書が提出されていて検索できる範囲でも16期連続の増収となっており、今期は17期連続を目指している。資料によると前期の同社のリユースを利用して購入した客数は9562万人、日本の人口のおよそ75%に相当する。この数字だけでも凄いが、私が強調したいことは、同社は新品の書物を扱う本屋もあるのに、敢えて、リユースの部分だけの購入者を調べて開示しているという、その姿勢だ。自らが掲げている"ミッション"の意味を重く受け止めているということであろう。この他に、同社のリユース部門に商品を売却した人数が1587万人いる。同社のミッションに賛同するカンパニー(仲間)は延べ人数で年間1億1000万人以上いる。そして、そのうちの一人が私だ。

 
▼すぐれた「DOE」

 当然、株主もそのカンパニーである。その株主資本からどのくらいの利益を出し、そして、それを配当として還元したかが、「ROE × 配当性向」で算出される「DOE」である。このDOEについてはアールシーコア(7837)さんにご出演頂いた際に紹介してから度々取り上げているが、私は非常に厳密なスクリーニングを行っている。決算がほぼ出揃ったこの5/31現在のDOEの3期平均の数字について解説すると、上場3552社中、ROEが直近3期ともにプラス、つまり、最終利益が3期ともに黒字であった会社が2489社あり、これがまずは対象となる。そして、このうち3期とも配当を行い、尚且つ、その配当性向が3期とも100%以下(これを超えて配当することは利益から配当するという健全性が損なわれていると考える)の銘柄にまで絞り込むと1953社となる。外れた1599社は3期のDOEを測るレベルではないということだ。

 ブックオフコーポレーションの順位はこの中で236位と堂々たるものである。DOE3.9%という高い利回りが、同社の、"株主であるカンパニー"に対する配当姿勢だ。

 
▼愛、普遍なるもの

 アベノミクスが始まった際に、百貨店などの高級小売りの伸びを予測し、中古小売りは厳しいと多くのアナリストが言っていたが、全く理解できない。小売り全体の数字が上がれば両者ともに好調であることは過去の数字が物語っている。

 また、"本質的な部分"でも違うことが、ワンガリ・マータイの遺言で分かる。彼女のそれは、「火葬の際に木を使わないで」であった。

 「もったいない」の本質は「限りある資源への愛」である。その部分に、インフレもデフレも関係はない。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 現代は消費社会と言われて久しいですけれども、その中にあって多くの方が「これって、もったいないのでは?」と思い始めてきているように思います。「でもどうすれば...」といったとき、当たり前のようにそこにあるインフラでありたい。そんな松下社長のメッセージがありました。

 「物を大切に」という理念だけではなかなか人の行動を変えることができなかったりもしますが、そこに「BOOK OFF」の店舗の楽しさやワクワク感があれば、「捨てない人のインフラ」として利用者もより増えてくるのではないでしょうか♪

 また次回店舗を訪れたときには、あらためていろいろ見てみたいと思います。

(関連リンク集)
ブックオフコーポレーション 株主・投資家情報
ブックオフコーポレーション Be絵本大賞の新品絵本
ブックオフコーポレーション 学習ドリルシリーズ

代表取締役社長 松下展千さまと。
代表取締役社長 松下展千さまと。

6月5日放送「VTホールディングス」(7593)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.06/05 今日の1社担当 記事URL
 本番組では、これまでに多くの成長企業をご紹介してきました。6月5日放送の「今日の1社」でも、たいへん成長率の高い企業をご紹介させていただきました!
 今回ご出演いただいたのは、VTホールディングス(7523・名証二部およびJASDAQスタンダード) 代表取締役社長の高橋一穂様です。同社は中京圏を拠点としたディーラーで、番組中でもご紹介あったように、直近15期での売上高伸び率が上場企業2,223社中6位。まさに驚くべき成長を遂げているんです♪

 その成長力の源泉については、番組をお聴き逃しの方はオンデマンドもチェックいただきつつ、井上哲男の取材後記も是非お目通しください!

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取材後記

VTホールディングス(7593)(名証2部・ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の高橋一穂さま。

 

「驚異の成長力」

 

▼成長力の源泉、M&A戦略
 VTホールディングスの前身はホンダベルノ東海。1983年に設立された会社で、ディーラーとしてはかなりの後発グループであるが、番組でもご紹介した驚異の成長をこの15年間で遂げた企業である。

 

 成長の要因はM&A戦略に尽きる。後発グループの同社がディーラーとなった時点で新車ディーラー網は日本中に張り巡らされていたが、同社は通常大きなディーラーでも県内での拡大を目指すところを、他県のディーラーのM&Aも積極的に行ったのである。

 その結果、現在売上げに占める比率はホンダ車よりも日産車の方が多い。また、M&Aを行ったディーラーが早い時期に利益率の高いディーラーへと変貌を遂げていることは、単なるM&Aではなく、きちんとした収益構造ノウハウを持ったうえでそれが行われていることを示している。

 

 番組の中で、社長は本業の新車販売以外の収益である、(メンテナンスなどの)サービス、保険の販売代理店収入、中古車販売などの合計を意識していることを語った。もし、主業の新車販売がゼロであっても計算上利益が出るレベルを意識し、それを達成していることは驚きである。

 
▼直近15期の伸び率

 番組の中でも訂正を行った直近15期の伸び率についてここに再度記す。

 同社が上場した98年9月時点で上場していた会社の97年度(~98年3月期)と12年度(~13年3月期)の決算比較。(利益項目については、97年度に各利益において1億円以上挙げていた企業に限る)

 売上高伸び率:6位/2223社中、営業利益伸び率:12位/1973社中、経常利益伸び率:24位/1905社中、最終利益:16位/1612社中である。

 

 また、前年度(~13/年3月期)の決算を見てみると、3550社程度ある上場全企業のうち、売上高(金額ベース)が上位20%程度、利益各項目(同)が上位15%~18%程度に位置している。

 以前、証券会社がアナリストレポートでカバーしている企業が上場企業のほぼ三分の一の1200銘柄程度であることを書いたが、成長率だけでなく、金額ベースでも同社はカバーされるべき銘柄であると考えられる。時価総額の大きさがアナリストレポートのカバー銘柄決定に影響を与え、その結果、個人投資家に優良な銘柄の情報が届きづらい現況を私は嘆く。

 

 それにしても名古屋の企業は元気が良い。この番組でもスポーツ施設の東祥(8920)、葬儀社のティア(2485)など、収益性や成長力でキラキラ光る銘柄をご紹介してきたが、その"名古屋キラキラ・グループ"に1社加わったことになる。プロネクサス・名古屋の"目利き"は実に素晴らしい!(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 相次ぐM&Aによる規模拡大というと、一時期のITベンチャー系企業が頭に浮かぶ方もいらっしゃるかと思います。VTホールディングスの場合に注目すべきなのは、取材後記にもあるように買収したディーラーが早い段階で高収益体質に生まれ変わっているという点ですね。企業体企業でも、人対人でも、自社が確立した方法論を相手方に確実に落とし込んでいくことは非常に難しいことですから、ここには同社の大きな強みがあると思います♪

 日本にはまだまだ元気な企業がたくさんありますね! VTホールディングスの決算説明会資料の末尾には、大きな文字で「ディーラーを超えたディーラーへ」という言葉が添えられています。この大きなビジョンがどのように実現されていくのか、今後も注目していきたいと思います。
 なお、同社は7月19日(金)、20日(土)に名古屋市で開催される「名証IRエキスポ2013」にも出展予定ですので、中京圏にお住まいの方は要チェックです♪ 詳細は下記のリンクをご参照くださいね。

(関連リンク集)
■VTホールディングス 株主・投資家情報
■VTホールディングス 5月29日付ニュースリリース 決算説明会を開催しました
 ※決算短信、決算説明会資料も掲載されています。
■VTホールディングス 6月3日付ニュースリリース 名証IRエキスポ2013への当社出展のお知らせ

代表取締役社長 高橋一穂さまと。
代表取締役社長 高橋一穂さまと。

5月29日放送「今日の1社」博展(2173)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.05/29 今日の1社担当 記事URL
 5月29日放送の「アサザイ 今日の1社」では、またまた元気な企業をご紹介しました!
 今回スタジオにお越しいただいたのは、博展(2173・JASDAQグロース) 代表取締役会長兼社長の田口徳久さま。同社は1967年の創業以来、展示会等のディスプレイを中心に実績を積んできました。現在ではディスプレイの企画・制作にとどまらず、展示会にかかわるクライアントのニーズを総合的に支援する「コミュニケーション・デザイン」の領域に事業を展開しています♪

 放送中では拾いきれなかった、同社の定性的な部分を中心に井上哲男が取材後記をまとめましたので、どうぞお読みくださいっ!

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取材後記

博展(2173)(ジャスダック・グロース)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役会長兼社長の田口徳久さま。

 

「博展を選んでくれた社員全員に幸せになってもらいたい」

 

▼思わず、落涙
 番組収録時刻の30分前に、プロネクサスの担当者から博展の追加資料が届いた。慌てて打ち出しをしてスタジオに持ち込んだのであるが、それは「私の履歴書」という、どこかで見たことのあるタイトルの社内報向けの連載文章であった。

 

 「博展」。乃村工藝社さんの取材後記で書いたように、私は大学時代に広告をやっていた関係で、総務省の産業分類で「イベント会社」に振り分けられる5社については個人的な興味もあって見てきた。博展のホームページも何度も見た。センスのあるホームページで、株主・投資家情報のカテゴリーもとても見易いので好感を持っていた。ここ3年間ほど業績も絶好調で、定量的な面からのサポートも可能なことから、収録も、この取材後記もスムーズに進むと思っていた。

社長に実際に会って、お人柄を感じるまで、また、「私の履歴書」を読むまでは、だ。

 

 私は涙もろい。家族は知っているが、テレビを観ていてもボロボロと泣く。「24時間テレビ」や「大家族モノ」などは大変なことになる。しかし、さすがに日経新聞に掲載されている「私の履歴書」を読んで泣いたことはなかったが、博展の社内報に連載された社長の「私の履歴書」を読んで泣いてしまった。

 

▼これまでの「苦労」と「感謝」
 社長の生まれは昭和31年。私の6歳年上である。どういう時代であったかは、映画「三丁目の夕日」の設定が、その真ん中の昭和33年であることから推測できるであろう。野球しかなかった少年時代、学校群制度で振り分けられた都立高校への入学、大学を卒業できない夢をよく見ることまで社長と私には共通点がある。そういえば、社長の母校、都立両国と柔道の試合をして、ものの数秒で押さえ込まれた記憶もある。

 

 社長は「私の履歴書」の中で、赤裸々に全てを語っている。生い立ち、学生時代のアルバイト先から就職したリクルートで得たもの、父親が5人ほどの大工と始めた装飾会社を継いだ経緯、新卒の採用、営業部隊とデザイナーの雇用と神田事務所の設立、人数が増えてきた後の営業部隊と製作部門の軋轢、銀座への進出、上場への苦難、等々。

 その中で語られているのは、全て社員への愛情と感謝である。「博展を選んでくれた社員全員に幸せになってもらいたい」、社長の思いは母親から厳しく言われた「社員の皆様に感謝の気持ちを伝えるために挨拶をしなさい」という教えが続いているものであろう。そのDNAはきちんと社員に伝わっているはずだ。この会社は間違いなく強い。

 

 番組の中で、代理店経由の受注が2割で、クライアントとの直接取引が8割という話がサラリと出たが、「私の履歴書」の中では、そこまでの苦労が語られている。初めは当然、代理店経由の仕事の受注が主で、営業部隊が直接取引のコンペを取ってきても、それに代理店が参加している場合は辞退していたのであるが、悔し涙を流す営業マンの姿を見て直接取引の道を進もうと社長が腹をくくったのである。

 洒落たホームページの博展、モ-ターショーを始め、あれだけ綺麗でワクワクさせるブースを作る博展にこのような歴史があったとは全く想像していなかった。やはり企業の定性は懐に入らなくては分からない。

 
▼定量分析で見る博展

 ここまで定性を書いておいて、私の定量分析など「いまさら」という感もあるが載せさせて頂く。

( 2006年度を100とした2012年度の数字 )

<売上高>:金融を除いた29業種合計:92.4、サービス業:104.6、イベント5社合計:102.6、博展:155.3

<経常利益>:金融を除いた29業種合計:72.1、サービス業:116.8、イベント5社合計:86.8、博展:162.5

<最終利益>:金融を除いた29業種合計:60.3、サービス業:162.3、イベント5社合計:49.3、博展:181.7

( 収益率 2012年度 )

<売上高経常利益率>:金融を除いた29業種合計:4.7%、サービス業:7.4%、イベント5社合計:3.0%、博展:7.7%

<売上高最終利益率>:金融を除いた29業種合計:2.2%、サービス業:3.9%、イベント5社合計:1.8%、博展:4.4%

 

▼応援したい会社
 学生時代、手掛けたイベントの中で一番大きかったものは、某テレビ局のスポーツ部開設何十周年の記念企画を通したことだ。横浜を舞台に世界初の国別対抗女子駅伝を行ったのである。「世界初、日本発」というコピーも採用された。スポンサーは何度も替わったが、少なくとも昨年まではその大会は続いていたはずだ。そこまで入り込んでいたのに、なぜ金融に行ったのか。乃村工藝社さんの取材後記では言葉を濁したが、実は、製作が大好きであったのだが、広告代理店の大人達のことがあまり好きではなかったのである。彼らはあまり真面目ではなかった。

 「私の履歴書」は、当時私が大好きだった製作の世界、製作の会社は、やはり好きになるのに充分に足る業界であったのだと改めて教えてくれた。感謝している。

 ほら、日本には、応援したい会社がまだまだたくさんある。(了)

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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 「定性」と「定量」、これまでにも何度か出てきたキーワードです。企業の懐に入る「定性」、企業を冷静に分析する「定量」の両面の視座をもつこと、まさに井上哲男の真骨頂ですね~。

 社長のパーソナリティとそのDNAをうけつぐ社員のみなさんは「人的資産」であり、同社が40年以上にわたって積み上げたクライアントとの信頼関係は「顧客資産」です。財務諸表にはあらわれないこれらの「見えない資産」に目を向けることは投資をする上でもたいへん大切なポイントかと思います。

 応援したいと思える企業を、今後もご紹介していきたいと思います!

(関連リンク集)
■博展 株主・投資家情報
■5月14日付適時開示 平成 26 年3月期~平成 28 年3月期 中期経営計画( 新規 )

代表取締役会長兼社長 田口徳久さまと。
代表取締役会長兼社長 田口徳久さまと。
5月22日放送「今日の1社」オプト(2389)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.05/22 今日の1社担当 記事URL
 最近はインターネット広告を目にする機会が増えました。毎日パソコンで見る金融情報ポータルサイトのバナー広告は昔からおなじみですし、最近ではスマートフォンやタブレット端末でも、さまざまな広告を見かけるようになりました。また、昔は静止画が表示されるだけだったのがよりインタラクティブな表現が可能になったり、広告効果を最大化する技術もたいへん進歩しているようです。

 5月22日放送の「アサザイ 今日の1社」では、そんなネット広告の世界で成長を続けてきたオプト(2389・JASDAQスタンダード)の代表取締役社長兼CEOの鉢嶺登様にお越しいただきました! ネット選挙の解禁など、気になるトピックについてもお話いただきました。
 井上哲男が恒例の取材後記をまとめましたので、どうぞお読みください!

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取材後記

オプト(2389)(ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長兼CEOの鉢嶺登さま。

 

「オプト (スペース) 有能」

 
▼「eマーケティング」に吹く追い風

 この番組でもいくつかの関連企業を紹介してきたが、やはり広告の世界は大きく変化していることを感じる。いや、「広告」を単一の言葉で語るのはもう厳しい時代に入っているのかもしれない。

 

 オプトは今年創業20年を迎える。ネット広告代理店というイメージがあるが、決してそれだけではない。ネット広告代理店というのは、同社の掲げる「eマーケティング」の1機能でしかない。顧客がインターネットをマーケティング・ツールとして使用し、その費用対効果を最大にするにはどのようにしたらよいのかをトータルに考えて提案し、実際の実行をサポートしてうえで効果計測も行い次に活かす。この一連の流れが「eマーケティング」である。

 

 売上げは順調に推移してきた。2000年12月期に3億2400万円であったそれは、右肩上がりで成長を続け、昨年12月期には789億900万円と12年間で243倍となった。上場したのが2004年の2月であるから、2003年12月期と比較したとしても9年間で18倍に伸ばした計算になる。 

 今期の第1Qの決算も好調で、売上高が前年同期比で17.5%増加し、223億円あまりとなっている。スマホの普及率の上昇もあるが、アベノミクス効果で金融系や不動産系、そして人材系の出稿意欲が高く、それがそのまま追い風となった。

 
▼ネット選挙解禁への先手

 また、安倍政権になってこの4月に公職選挙法が改正され、事実上ネット選挙が解禁されたこともスポット収益とはいえ、これからの期待材料である。昨年の韓国の大統領選でも話題となったネット選挙であるが、米国やドイツではもともと選挙法でネットの利用は禁止されておらず、毎回投票前から話題となるが、今回実情を聞いて驚いた。投票2週間前にはブログなどに登場する名前の頻度などから、非常に高い確率で当落が分かるという。

 ネットの言語解析"恐るべし"である。もう、「出口調査」は必要なくなるかもしれない。「入り口前調査」の正確性がこのように高いのであれば。。。

 このネット選挙について、同社は米国、韓国の子会社を通じて、既にノウハウは取得済みであると胸を張った。実際に韓国の大統領選挙では子会社が受注している。日本でも政党などからの引き合いが既に入っているとのことで、これから選挙関連株が賑わう際に、同社株も動意づく場面があることは想像に難くない。

 
▼スピードの変化がもたらすもの

 私は思う。冒頭に述べた「広告の世界の変化」とは、結局、スピードの変化なのだと。

 「イベントを打ちましょう、テレビCMを流しましょう、そのキャンペーンの集客数、視聴率の報告を後日行います。それから実際にその商品が売れるかどうかを見ていてください」では済まない時代なのだ。

 そして、その流れは、GoogleやYahoo!の広告を買うというレベルを超え、クッキーの解析で先回りして広告を置くという段階に入っているのである。

 「クチコミで流行った」とよく言われる。しかし、それは違うように思う。

 クチコミはネットで目に入るところに意図的に広告を置く、または、関連したものを検索する際に先回りして置いておくという意図的な行為から生まれるのである。

 そしてこの「eマーケティング」が、実際の企業に高い費用対効果の満足度を与えているということが、旧来の広告代理店とネット広告代理店の売上高の差に表れているのだと思う。

 
▼ネットが先回りする、未来

 原発問題の際に、それまでの莫大な広告宣伝費から、日本のマスコミが中立な立場からの報道を電力会社に対して行えるかとの論議が高まったことを思い出した。ネットの世界ではそのような"しがらみ"は一切無い。

 当時、Googleで「菅直人(スペース)有能」と入力していれて検索すると、「『菅直人(スペース) 無能』の間違いではありませんか?」というメッセージが出ることが話題となった。言語検索機能の為せる技である。

 そして、事実、政権は変わった。

 昨年末の選挙のずっと前に、「入り口前調査」は行われていたのだ。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 「広告代理店」というと、テレビや新聞などの枠を売ってマージンを得るというイメージも強いですが、特にネット広告の世界では進歩のスピードが全く違うようですね。 ネット広告の肝のひとつである効果測定についても、同社は投資対効果(ROI)測定ツールで高いシェアを有しています♪

 ところで、Googleの検索機能、面白いですよね。インターネット上に流れる天文学的な量のデータをロジカルに解析していくと、そこからはかなり有用な情報を引き出すことができるのではないか、と思います。

(関連リンク集)
■オプト IR情報
■オプト 2013年12月期 第1四半期決算説明会資料

代表取締役社長兼CEO 鉢嶺登様と。l
代表取締役社長 鉢嶺登様と。

5月15日放送「今日の1社」エスプール(2471)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.05/14 今日の1社担当 記事URL
 昨今、企業の「人材」に対するニーズが高度化・多様化しているといわれます。それに対応して、「人材」にかかわる事業を展開する企業の動きもたいへん活発になってきているように思います。
 5月15日の「アサザイ 今日の1社」は、そのうちの1社、エスプール(2471・JASDAQスタンダード)です! 今回は代表取締役会長兼社長の浦上壮平様にお越しいただきまして、井上哲男のインタビューに答えていただきました。

 井上哲男が取材後記をまとめましたので、どうぞお読みください♪

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取材後記

エスプール(2471)(ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役会長兼社長の浦上壮平さま。

 

「社会が求める"機会"の提供」

 

▼3社目の「労働者派遣業」
 人材サービス業・アウトソーシング業の同社、総務省の産業分類では「労働者派遣業」となる。

 アサザイが同業種の企業を迎えるのは3社目。年末特番の「エス・エム・エス(2175)」、先月末に行われたアサザイ第1回IRセミナーにご参加頂いた「クリーク・アンド・リバー社(4763)」に続いてのことである。「UTホールディングス(2146)」は?と思われた方もいらっしゃるかもしれないが、同社は総務省産業分類では「その他の技術サービス」に区分される。

 この番組で何度も紹介させて頂いたので、人を派遣する「派遣」と業務を一括で引き受けてそこに必要な人材をあてがう「請負」の違いはご理解頂けていると思うが、業務を全て「請負」という形態で受注し、且つ、その業務が半導体製造などの特定業種であることからUTさんは分類が違うのである。

 

 話をエスプールに戻す。労働者派遣業全体の決算を見てみると、景気にやや遅行性が見られる。東証33業種分類のうち金融を除いた29業種の決算が最も厳しかったのが、年度でいうと2009年3月期であるが、この業種は翌年度が最も厳しい状況となった。そして、その後の決算を見ていて、この業種についていくつか気づいたことがある。

 

 それは、・大手の派遣業が今ひとつ冴えない、・住み分けがかなり進みつつある印象を受ける、・勝ち/負けがややはっきりとし始めており、あと2~3年でそれは鮮明となると思われる、ということである。そして、各社が力を入れているのは「優秀な人材の派遣及び請負業務における"質"の差別化」である。

 
▼2つの「ソリューション」

 この、派遣と請負のことを同社は「人材ソリューション」と「ビジネス・ソリューション」と呼んでいる。

 人材ソリューションについては、都内の採用拠点を1ヶ所から4ヶ所に増加した。この意図は、景気が良くなった場合に、優秀な人材を確保するためには拠点を増やすことが必要との判断からである。因みに人材派遣サービスの拠点は全国では10ヶ所あるが、同社が人材を派遣するサービスは、携帯電話、デジタル家電、クレジット・カード案内、カスタマーセンター、劇場運営、イベント運営など専門性の高さが求められるものが多く、携帯販売代理店での接客コンテストでの全国優勝者を輩出するなど、その質の高さが知られている。

 

 一方で、請負であるビジネス・ソリューションは大別して3つ、倉庫内作業を意味するロジスティック(アウトソーシング・サービス)、キャンペーン(同)、障がい者雇用サービスである。

 

 このロジスティックについては、自社の倉庫におけるネット通販の商品発送代行サービスや物流センターの運営受託を行っているが、ここでも綺麗な梱包など"質"の部分にこだわっている。

 そして、独自のサービスともいえる「障がい者雇用サービス」であるが、これは千葉県の市原に"わーくはぴねす農園"という農園を作ったことにより、知的障がい者を雇用した企業に対して、その働く場所を提供することが可能となったのである。「社会が求めていることに対応するサービス、機会の提供」という発想がこの会社が動くときに、その背景としてある。

 
▼広がる「機会の提供」

 これは、同社の創業時から変わらない。創業のきっかけは、会長自身が家庭教師センターで働いていて、優秀な学生が就職氷河期に直面しているのを見て、彼らに働く場所を提供したい、就職させたいとの想いで、人材派遣業を興したことにある。企業のある業務を請負として受注し、「優秀な人材だと思ったら、手数料を取らないから正社員として雇用してあげて欲しい」と頼んだという。

 この"機会の提供"を遂に海外でも始めた。日本からタイに進出してビジネスをしたいという会社に対して、タイのエスプールバンコクがその機会を提供するのである。第一号は、なんと、「デリバリーのピザ屋」だという。

 応援したい企業である。是非、2~3年後に業界の勝ち組として名乗りを上げて欲しい。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたでしょうか?
 取材後記の冒頭にもある通り、「今日の1社」では人材にかかわる企業を複数ご紹介してきましたが、各社ともにそれぞれの得意分野を持っているのが共通点ではないでしょうか。そのあたりの「強み」が、井上哲男が指摘する「今後2~3年での勝敗」を分けるキーポイントになりそうですね~。

 企業側のニーズが高度化・多様化する中、やはりチャレンジする「機会」はすべての方に提供されているべきと思いますし、その「機会の提供」を創業の理念として取り組まれているエスプールは、私も応援したくなりました。

 また次回の「今日の1社」もどうぞお楽しみに!

(関連リンク集)

■エスプール IR情報
■エスプール 個人投資家の皆様へ
■エスプールプラス 障がい者就職塾

代表取締役会長兼社長 浦上壮平さまと。
代表取締役会長兼社長 浦上壮平さまと。
5月8日放送「今日の1社」東海東京フィナンシャル・ホールディングス(8616)の取材後記につきまして [「今日の1社」取材後記]
2013.05/08 今日の1社担当 記事URL

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 毎回「取材後記」をお読み下さいまして誠に有難うございます。

 今回、放送させて頂きました東海東京フィナンシャル・ホールディングス様(東証一部、8616)につきましては、金融機関でいらっしゃることから、「取材後記」の掲載を自粛させて頂きます。

 弊社も含め、金融機関は金商法、布令、ガイドライン、金融諸協会の諸規則等によるコンプライアンス事項の遵守が求められております。

 「取材後記」は私が取材を通して感じたことを、あくまでも私の主観として書いているもので、投資の勧誘を目的としたものではありません。また、私が書いたものをそのまま配信し、企業活動と齟齬があった場合のみ、その部分を訂正するという形で、企業様に事前に了解や校正を求めたこともありません。

 しかし、金融機関である企業様に対して、「取材後記」が、前述の法令等における「広告に関する規定」から導かれる「ソーシャルメディアにおける第三者による記載」に該当しているのではないかと当局等が考え、企業様にご迷惑がかかってはいけないとの判断から、金融機関である企業様については「取材後記」の掲載を自粛するものであります。

 これまでご出演頂きました、マネーパートナーズ様、FPG様につきましても同じ判断から掲載を自粛させて頂いております。


 井上哲男
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広報・IR部長 石井弘之様と。
広報・IR部長 石井弘之さまと。

5月1日放送「今日の1社」テクノスジャパン(3666)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.05/01 今日の1社担当 記事URL
 「ERPパッケージ」という名前を聞いたことがある方は多いと思いますが、一般には少々馴染みが薄いかもしれません。「ERPパッケージ」とは企業の基幹業務を統合的に管理するためのソフトウェアパッケージのことで、グローバル化の進む日本企業などにおいて、近年その需要が高まっています。
 5月1日放送の「アサザイ 今日の1社」では、その「ERPパッケージ」の導入支援を中核ビジネスとする、テクノスジャパン(3666・JASDAQスタンダード)代表取締役社長の城谷直彦さまにお越しいただきました! 同社は、2012年12月7日新規上場の「2012年組」注目企業です♪

 井上哲男が取材後記をまとめましたので、どうぞお読みください!

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取材後記

テクノスジャパン(3666)(ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の城谷直彦さま。

 

「Best of Breed」

 

▼"大人の会社"
 2012年組で5社目の登場となる。上場日が12月7日であり、ご紹介してきた企業の中で最もフレッシュであるが、事業としての歴史、業績等を分析すると、"大人の会社"の印象を受ける。

 会社の設立は1994年、来年20周年を迎える。IT革命後、企業はビッグデータを抱え、その基幹業務システム(ERP)の構築の必要性に迫られてきた。このERPについてはSAP社、オラクル社、東洋ビジネスエンジニアリング社などのシステムがあるが、これらを使って顧客のニーズに合わせたシステムを設計・開発し、導入してもらった後の保守に至るまでワンストップで提案できる企業である。

 

 "大人の会社"と呼んだのは、上場前から多くの企業に採用された実績によるところが大きい。

具体的な企業名を見てみると、富士フィルム、タビオ、カプコン、月桂冠などであるが、一見して異なった業種の名前が並んでいることが、同社の強みといえる。なぜかと言えば、ある業種の受注を受けた際に、企業ニーズの調査から始まり導入、保守にまで至った時点で、その業種のニーズを把握した一つのERPシステムの"ひな型"ができるのである。このテンプレートが同業他社に売り込む際に大きな財産となる。ファインチューニング(微調整)によって他社に導入可能ということは、導入社にとっても同社にとってもコストの削減に繋がることは明らかである。そして、このような形でのビジネス・モデルが構築できたことは、やはり優秀な人材を抱えてきたという部分の寄与が非常に大きいと思われる。そのため、同社は採用段階から基準が極めて高く、その優秀さは前掲した多くのERPソフト会社のアワードの獲得という形で表れている。

 
▼ソフトウェア業界内でも高い利益率

 利益率も極めて高い。ソフトウェア業界自体が高いということを数字を挙げて説明すると、この4/25時点での金融4業種を除いた全上場(普通株式)企業の今期見込みは、売上高営業利益率、同経常利益率、同最終利益率が、4.9%、4.8%、2.4%となっているのに対して、今期の会社予想または日経新聞社予想が取得可能なソフトウェア201社の数字は、7.5%、7.6%、4.3%と概ね2%程度高いものとなっている。一方で同社の前期(2013年3月期)の(予想)同数値は、10.9%、10.4%、6.7%と、さらにそれを2.5%~3%程度上回るものとなっている。

 
▼"Best of Breed"で育てる未来

 同社の3年後の目標は、業界におけるリーダーカンパニーとなることであり、10年後のそれは、このERPの範囲を超えたということであろう"トップクラスのICT(情報通信技術)・コンサルティング・カンパニー"である。同社の事業拡大余地は国内だけでなく、海外進出案件の獲得など広がりがある。また、バリュエーションとしての評価も魅力的で、PER、PBRともに業界平均を下回っている。決算発表予定日は現在のところ5/14となっているが、これから四半期ごとの決算数値を注目して追っていきたい企業がまた一つ増えたことは確かだ。

 

 同社が掲げるビジネス・ストラテジーは「Best of Breed」。breedは名詞では「型」であるから、顧客に最も適したカタチのソリューションを提供するということであろう。一方でbreedには動詞で、「生む・育てる」という意味がある。このストラテジーの成果は人材のbreedにかかっている。そして、そのことを同社は認識している。
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 取材後記は、以上です。
 先週に引き続いての「2012年組」、また今後が楽しみな企業が登場してきた印象ですね。日本企業がグローバルで活躍していくための環境づくりを支援する、今後も重要性の高まっていく分野かと思います♪
 同社の中期経営ビジョンにつきましては、末尾の関連リンクもぜひご参照くださいませ。

(関連リンク集)
■テクノスジャパン IR情報
■テクノスジャパン 中期経営ビジョン

(代表取締役社長 城谷直彦さまと。)
代表取締役社長 城谷直彦さまと。





4月24日放送「今日の1社」ベクトルの取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.04/24 今日の1社担当 記事URL
 最近はTwitterやFacebookなど、ソーシャルメディアが盛んです。何か世間で評判になるようなニュースを「ソーシャルメディアで知った」というケースが結構多くなってきたのではないでしょうか?

 Twitterのタイムライン(自分が購読している書き込みの一覧)を見ていると、同じ情報をツイート(書き込み)しても、伝え方や切り口によってリツイート(情報が拡散されること)の数が全く違うことがわかります。センスのあるユーザーの発信する情報は、ソーシャルメディアの中でどんどん拡散され、世界まで広がっていったりします。
 企業PRがソーシャルメディアを除外しては考えられなくなりつつある現在、いかに効果的に「PR」をしていくかがたいへん重要になってきました。

 本日の「今日の1社」では、ソーシャルメディアも活用した「PR戦略」を支援するベクトル(6058・東証マザーズ)の代表取締役 西江肇司様にお越しいただきました! 井上哲男のインタビューに答えて、「PR戦略」とは何か? からわかりやすくご説明いただきました。
 あらためて井上哲男が取材後記をまとめましたので、オンデマンドとあわせてどうぞお読みください♪

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取材後記

ベクトル(6058)(東証マザーズ)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役(CEO)の西江肇司さま。

 

「 "いいモノ"を広める 」

 
▼「広告」と「PR戦略」の違い

 2012年組4社目の登場であるが、2012年組の特徴は「社会の仕組みが変わってきている」ということを痛感させる企業が多いことである。そして、その多くが、当番組で私が述べてきた「ディフェンシブ・グロースの時代」にマッチしている。

 

 「広告」と「PR戦略」。この違いを述べることがこの会社のビジネス・モデルをそのまま説明することになる。今まで、企業のPRといえば、誰もがすぐに「広告」を思い浮かべた。企業が多額の費用を払い、テレビCMなどを流すやり方である。それが、時代とともに変わっているのだ。

 「PR戦術」とは企業の望む消費者に対する訴求ニーズを効率的に実現させることである。例えば、プレスリリースというものがある。企業が自社製品を発表する際、何かのイベントをうつ際、それはプレスリリースを行うが、そのプレ・リリースを戦略的に行うための会社が同ホールディングカンパニーの下にある。そのページであるPR TIMES(社名も同じ)のFacebookページのファン数は3万人を超えているが、そのリリースは同じく、7つの人気サイト(月間1億PV以上)に掲載される。そして、それだけでなく、4000を超えるマスコミ媒体及び1700名もの個人記者や編集者などのネット・ワークに届けられるのである。 

 この結果、興味のあるリリースはクチコミで広がるとともに、多くのメディアが取材を行いたいという意欲を持ち、企業のニーズは達成される。このサービスの利用企業は既に4500社を超えており、上場企業についても、その15%近くが利用している。(4/12時点の同社HPより)

 

 これは、同社の掲げる「PR戦略」のひとつにしか過ぎない。「あきんどスシロ-」の例をとってみると、低価格回転寿司戦争の取材から始まり、そのビジネス・モデルが多くのマスコミやテレビで取り上げられ、結果的に顧客満足度第1位になり、それに関する本等が出版されて、勝ち組としてのイメージが定着した。このようなPR戦略を顧客とともに考えていくことが出来るのも同社の強みである。

 
▼「いいモノ」を、広めたい

 同社のビジネス・モデルを支える原点はSNSやスマホなどの普及や情報取得手段の多様化に他ならない。以前のように、情報は家に帰ってからテレビや雑誌から取得する時代ではないのだ。このことは、無論、日本だけでなく海外でもそうである。特に中国では情報をインターネットから取得したいという意欲は日本以上に強い。同社は日本で成功したビジネス・モデルをアジアで広めるべく、急ピッチでアジア戦略を展開させている。「日本一のPR戦略会社」から「アジアナンバー1のPR戦略会社」に目標は変わった。

 

 しかし、どんなビジネスでもそうであるが、当然リスクはある。インターネットを用いる以上、そのリスクについても同社は充分に認識していることを感じさせるのが、経営理念である。

 同社の経営理念は「いいモノを世の中に広めること」という非常にシンプルなものであるが、この"いいモノ"という部分が非常に重いのだ。目標が「日本一」から「アジアナンバー1」になってもこの重さは変わらないことを同社は認識している。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 冒頭にある「社会の仕組みが変わってきている」というのは、確かに感じますね~。その変化に対応する企業がどんどん出てくることは、日本全体にとっても喜ばしいことだと思います。

 日本からアジアナンバー1へ、今後の成長が楽しみですね♪
 
(関連リンク集)
■ベクトル IRウェブサイト
■ベクトル 事例紹介

代表取締役 西江肇司様と。
代表取締役 西江肇司様と。

4月17日放送「今日の1社」UTホールディングス(2146)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.04/17 今日の1社担当 記事URL
 リスナーの皆様は「IR宣言」という言葉を耳にしたことがおありでしょうか?
 これは何か公的に定められたものではないのですが、上場企業がIR活動を経営上の重要な課題と位置づけ、積極的にこれを行っていくことをコミットメントしたものです。

 現在、日本にはこの「IR宣言」を行っている企業が3社ありまして、その1社が今回ご登場、UTホールディングス(2146・JASDAQスタンダード)です! 同社は製造業の派遣・請負を行うアウトソーシング企業であり、特に半導体分野では国内No.1のシェア(同社推計)を有しています。
 今回は代表取締役社長兼CEOの若山健一様にお越しいただき、井上哲男のインタビューに答えていただきました。放送中の井上哲男コメントにもあった通り入魂の取材後記が届きましたので、どうぞお読みくださいっ!

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取材後記

UTホールディングス(2146)(JASDAQ・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長兼CEOの若山陽一さま。

 

「若山陽一と加藤慎一郎」

 
▼ボクシング暗黒時代に差した光、大橋秀行

 敢えて公言はしないが、親しい人は皆知っている。私は格闘技ファンである。

 日本のボクシング世界チャンピオンで最も印象に残っている選手は誰かと聞かれれば、私は大橋秀行の名前を挙げる。真面目さがそのまま窺える顔つきも好きであったが、その顔は試合が始まるとすぐに目の上が腫れて悲壮感に満ちたものになってしまう。視界が狭くなったであろう状態でもインファイトで相手の懐に入っていく、その姿が好きだった。3度目の挑戦で世界チャンピオンになった時の日本ボクシング界はまさに"暗黒の時代"。エディ・タウンゼント最後の教え子で氏に"ボーイ"と呼ばれた"天才"井岡弘樹が王座から転落したこともあり、日本にあるジムの世界タイトル戦の連敗記録は21にまで伸びていた。「日本はお金はあっても選手を育てられない」と世界は酷評した。

 大橋がKOで世界チャンピオンになったとき、私は後楽園ホールに居た。インタビュー直後に観客が総立ちとなって始まった"万歳コール"がいつまでも続くのを見て、鳥肌が立ったことを覚えている。

 
▼若山社長が語る真実

 若山陽一社長を知ったのは今から7年前、日経新聞夕刊の「人間発見」のコーナーで5回に亘って連載されたときである。当時の社名はホールディングカンパニー制移行前で日本エイムであった。生い立ちからボクシングとの出会い、交通事故によるボクシングの道の断念、起業からアウトソーシング会社として初の上場に至る経緯、事業ビジョン。35歳の若い社長の語る夢はとても新鮮で興味を抱かせるのに充分であった。以前、テレビで「興味のある社長は」と聞かれたときの話を載せたことがあるが、その際に若手として若山陽一の名前を挙げたのはこの記事がきっかけである。

 

 企業を語る際に、「定性」と「定量」の2つの分析を行うことは以前に書いた。そして、そのどちらの部分に重きを置いて企業を語り、リスナーに対して情報を与えるべきか、それは企業によって異なるが、同社の場合、明らかに前者である。極端な話、若山社長がパブリシティを通じて語っていること、HPの中にある社長のブログで語っていることが全て同社の状況を表している。そこに嘘、偽りは一切ない。上場前のITバブル崩壊後の落ち込みやリーマン・ショック後に膨らんだバランス・シートを一気に圧縮した際の苦労も全て語られている。だから、信じられる。

 
▼「社員が筆頭株主になってほしい」

 日本の半導体メーカーが円高による競争力の低下に苦しみ、海外への工場移管ラッシュとなったときに、その人員を同社の社員として雇用し、(ラインごと)一括で請負うことによって産業の空洞化をできるだけ防ぐという日本に対して大きな貢献を果たしてきた企業だ。その社員数は現在7000名、日本の雇用を7000人拡大させたのである。そして、同社の場合、社員の離職率が業界平均の五分の一以下である。給与水準が業界平均よりも10%程度高いということもあるが、この数字は同社が社員をどのくらい大切に思っているかがきちんと伝わっているからだと思う。上場した際に全従業員を対象に持ち株制度を始めているが、その他に、ESOPという画期的なことを行っている。これは、入社3年目からポイントが、5年毎にボーナス・ポイントがそれぞれ付与され、そのポイントを自社株式に交換できるというシステムつまり、経済的な支出をしないで自社株が取得できるというものである。また、退職まで待たずに株式を売却できるという。家を購入したりする際に、「自社株を売りたいが、なかなかそれが出来ない」という話を耳にするが、発想が逆で、社員の立場から考えた制度を創設しているのである。(「社員が筆頭株主になって欲しい」という想いは社長のブログでも語られている。)

 

 また、UTは全社員を対象に年2回「技能グランプリ」を行っている。これにより、全国各地の工場で業務を請負ったチームが、メーカーに対して多くの提言を行いコスト低減や生産性の向上に努めたかが分かる。これは決して「派遣」ではないことであろう。メーカーとともに歩む「請負」の立場が分かる。

 このように、会社が社員を大切に思い、そして社員が会社を大切に思うという、今、日本が忘れかけている、古き良き"親方日の丸"時代の関係を会社が主体的に講じている稀有な会社であるのだ。

 
▼インファイトで築く信頼関係

 私は、若山社長の中学校時代の友人である加藤慎一郎専務にも会ってみたいと思う。上場する直前に二人で3ヶ月、居酒屋「和民」でアルバイトをしたという。和民が唱える「感動するサービス」を体感するためだ。この会社がメーカーから、そして、(言葉は妙だが)社員からも高い評価を受けている原点が、この「感動するサービス」にあると思う。上述のESOPにしてもそうである。

 そして、同社は日本に3社しかない「IR宣言会社」である。前二回の後記で書いたように「ディスクロージャー」は義務、「IR」は任意のサービスである。社員に対する任意のサービス、それにより築き上げられた強い関係がこの会社の財産である。

 

 若山社長と加藤専務が会社を作り、初めてオフィスを構えたのが、ひょんな縁で知り合った大橋秀行ジムの四畳半の一室である。若山社長は起業後、多くの経済界や労働界の大物に手紙攻勢をかけて実際に会うことに成功して多くの教訓と人脈を得ている。つまり、若山社長の原点は信頼できる人間関係の構築にあり、それを社員に対しても行っているのである。そして、苦境に陥ったときは、その人間関係の中でとことん話し合い、方向性を明確にして、その後はそれに向かってまい進して来た。大橋秀行のインファイトのように。

 

 大橋秀行のインファイトは現役を引退してからも続き、その改革実行力で現在は日本ボクシング協会の会長を務めている。昨年、五輪で村田諒太が金メダルを取ったが、プロのトレーナーから教えを受けたことの効果を彼自身が語っている。「低くなることはない」と言われていた、プロとアマチュアの垣根を下げたのは大橋秀行会長だ。彼の現役時代のニックネームは「フェニックス(不死鳥)」。和民で「感動するサービス」を体感したように、ジムの四畳半で二人はそのスピリットを体感したのかもしれない。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 アウトソーシング企業として初の上場は決して平坦な道のりではなかったかと思いますが、これまでのさまざまなご経験を確実に吸収して糧にされているのだな、と思いました♪ 今回の取材後記に加えて、若山社長のブログなどもあわせて読むと、より実感をもって理解しやすいかと思います。


 株式を公開することを「プライベートカンパニーからパブリックカンパニーになった」とよく言いますが、若山社長はブログで「パブリックカンパニーを超えたオープンカンパニーを目指す」と言及されています。さらに前へ!と進んでいくエネルギーを感じますね。
 同社の今後のIR活動にも注目していきたいと思います!

(関連リンク集)
■UTホールディングス ウェブサイト
■UTホールディングス 「IR宣言」
■若山社長ブログ 考えること、思うこと、感じること

代表取締役社長兼CEO 若山陽一様と。
代表取締役社長 若山陽一様と。
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