1月29日放送「今日の1社」日本ドライケミカル(1909)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2014.01/29 今日の1社担当 記事URL
 「3.11」以降、防災についての関心が非常に高まっています。災害への備えが平時に注目を集めることは少なかったのですが、「そういえば、このビルの対策はどうなっているのだろうか」「もし災害が発生したら、我が家ではどうするのが良いか」と、あらためて周囲を振り返ってみた方も多かったのではないかと思います。

 1月29日放送の「アサザイ 今日の1社」では、日本の消火・防災をワンストップで支える、日本ドライケミカル(1909・東証一部)代表取締役社長の遠山榮一様にお越しいただきました! インタビュアー・井上哲男との収録もたいへん話が弾みまして、同社の強みについてわかりやすくお話をいただきました。

 井上哲男から早速取材後記が届いていますので、どうぞお読みくださいっ!

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取材後記

日本ドライケミカル(1909)(東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の遠山榮一様

 

「消火活動以外ではCO2を出さない」

 

▼日本ドライケミカルとの出会い
 日本ドライケミカルと私のつきあいは長い。私の社会人としてのスタートは国内損害保険会社の財務部有価証券課配属であった。業務上購入した株式の企業の決算や業況の報告を受けることが多かったが、損害保険という会社の性格上、防災や防火関連の上場企業については、ほぼ全社の株式を保有していた。一時的な決算のブレには惑わされず、企業の取組みをきちんと理解することの大切さを教わったのはこの時である。

 

 入社して15年目で有価証券課長を務めていた時、日本ドライケミカルはTOBでタイコグループの子会社となり上場廃止となった。2000年のことである。寂しかったことを覚えている。その翌年、私は外資系の運用会社に転職した。

 防災、防火、消火。これらの企業には一つのシンパシーを感じる。それは、「話題になる、ニュースになるときはその会社にとって良くないことが起きたときである」ということだ。シンドラー社のエレベーターを巡る事故の報道も同じで、「他社のエレベーターは今日も正常に動いていました」というニュースが流れるはずもない。

 

 収録の数日前のことであるが、中部電力の碧南火力発電所で石炭を粉砕する装置内部から出火する事故があった。火災報知器が作動したことから監視モニターを通じて出火が確認され、消火装置が作動し、駆けつけた社員も消火器などで消火作業にあたった結果、けが人も無く5分で鎮火したという。

 こういうニュースを見る度に、日本の消火・防災企業への感謝と"良かったね"を感じるのは損害保険会社にいた性(さが)であろうか。万が一、火災報知器が作動せずに大きな火災となった場合、メーカーは厳しい立場に立たされることになる。

 
▼ワンストップ型企業への進化と、好調な業績

 このような心情を抱いていることもあって、日本ドライケミカルの再上場を聞いた際には、本当に嬉しく、損害保険会社時代のことまで思い出された。

 それから2年半が経つ。東証1部復帰も果たしたが、驚くのは業務拡大の勢い、スピード感である。申し訳ない言い方であるが、かつて上場していた時にこのようなイメージは抱いていなかった。初田製作所、沖電気防災、新日本空調とそれぞれ業務提携や資本提携、又は傘下に入れる形の協業を組み、従来の「消火なら日本ドライケミカル」から「消火・防災なら日本ドライケミカル」というワンストップ型企業としての地位を確実なものにしつつある。

 

 業績も好調である。番組でも紹介したが、直近4期で売上高経常利益率は、2.7%→3.4%→4.2%→5.5%となっており、3年間で倍となった。こうなると売上高が注目されるが、それも212億円→237億円→289億円→301億円(今期見込み)と3年間で1.5倍に拡大している。昨年11月末に公募・処分・売り出しなどを発表したため、希薄化を織込む形で株価は大きく下落したが、その後は戻り歩調にある。必要なファイナンスであったことや、希薄を考慮したバリュエーションでも決して割高ではないことを市場は認識しつつあるのだ。

 
▼変わらないDNA

 ロング・インタビューでも紹介しているが、同社はエアウォーターの子会社である松山酸素と共同出資で(株)イナートガスセンターを設立した。それまで大気中に放出していたCO2ガスの96%以上を再生利用することができるセンターは、日本で西日本に松山酸素、東日本にイナートガスセンターの2つしかない。「消火活動以外ではCO2を出さない」ということを堂々と掲げて目標に向かって取り組んでいる姿勢、それは、再生可能なアルミ製消火器の製作に早くから取組み、圧倒的なシェアを築いた同社の"循環リサイクルDNA"がなせることなのかもしれない。

 上場廃止前とスピード感が変わったと書いたが、変わらないものを同社はきちんと持ち続けていてくれた。冒頭で述べた『教わった大切なこと』を再度教わった気がする。(了)

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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 「消火・防災のワンストップ企業」としての事業展開について、放送で詳しくお話いただきましたので、オンデマンドもぜひお聴きください!

 また放送中でもご紹介したとおり、日本ドライケミカルは2月21日(金)、22日(土)の「東証IRフェスタ2014」に参加します。ブース出展(ブース番号C-13)のほか、21日(金)17:55~18:40には会社説明会(事前登録制)も行いますので、要チェックです。

 加えて今回、リスナープレゼントとしてオリジナルクオカード1,000円分を5名様分ご提供いただいていますので、こちらのページよりふるってご応募くださいね♪

(関連リンク集)
■日本ドライケミカル 投資家の皆様へ
■東証IRフェスタ2014 イベントページ

(代表取締役社長の遠山榮一様と。)
代表取締役社長の遠山榮一様と。


<以下、参考写真です>

(日本ドライケミカルが支える消火・防災の領域)
日本ドライケミカルが支える消火・防災の領域

(同社が建築防災設備を提供した建造物の例)
日本ドライケミカルが建築防災設備を提供した建造物

 

(同社艤装による消防車)

日本ドライケミカルが艤装した消防車


(同社のアルミ製消火器。再生可能であり、軽いのが特徴です)

日本ドライケミカルのアルミ製消火器。再生可能で軽いのが特徴です。
1月22日放送「今日の1社」ジャステック(9717・東証一部)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2014.01/22 今日の1社担当 記事URL
 情報・通信というと、新しい分野というイメージが強いかと思います。ただ、世界初とされるパーソナルコンピュータ「Altair8800」が登場したのが、1974年。コンピュータが個人の手に渡るようになってから数えても、もう40年が経過しているのです。この時の流れのなかで、情報・通信分野がめざましい発達をとげてきたことは、あらためて申し上げるまでもないでしょう。

 今回、1月22日放送の「アサザイ 今日の1社」にご出演いただいたジャステック(9717・東証一部)が設立されたのは、1971年。ソフトウェア業界において長い歴史を有し、その発展とともに歩んできた企業です♪

 常に新しい技術、より安定した技術が求められる同業界にあって、それだけの年月を積み重ねてくることができたのは、なぜでしょうか? 同社代表取締役社長の中谷昇様に井上哲男がインタビューしましたので、取材後記をどうぞお読みくださいっ!


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取材後記

ジャステック(9717)(東証1部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の中谷昇様。

 

「揺るぎない『CMMI5』の輝き」

 

▼老舗にして、王道
 設立が1971年、上場が1989年。老舗(しにせ)中の老舗である。番組の中でも紹介したが、総務省の産業分類で「受託開発ソフトウェア業」に所属する上場160社中、上場時期は9番目に早い。

 「ソフトウェア業のモデル企業を目指して設立した。世界のソフトウェア業における成功例となることを目指している」という主旨の言葉があったが、まさしくこれは同社の今までとこれからを示している。

 

 「ソフトウェア業のモデル企業」とは設立当時の、「ソフトウェアは企業が人を派遣という形で受け入れる形で作りあげ、全てがその企業内で完結し、帰属する」という風潮を壊すことにあったと思う。それまで会社として培い、獲得したリソースであるソフトウェア開発能力を一括請負という形で顧客に提供することで、深く、長い信頼関係を築き上げるというビジネスモデルは、独立系としては同社が初めて作り上げたものと言っても過言ではない。

 無論、独立系ゆえにその道のりは決して平坦なものではなかったと思われる。しかし、ジャステックが採った手段は極めて王道で、そしてそれ以外の道のないものであった。突き詰めて言うと、"他社を圧倒する、極めて高度なスキルを提供する"ということである。

 
▼世界で5社、「CMMI」全社レベルで最高位

 それは見事に認められた。米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所(SEI)が考案した、ソフトウェアの開発工程の管理能力を1から5で評価するCMMIという基準で、全社レベルで最高位の「5」を獲得したのである。因みに全社レベルで「5」を獲得している企業は、世界中で同社を含めて5社だけであり、分野別というカテゴリー単位でみてもこの「5」を獲得している企業は世界に117社(全社レベル「5」の5社を含まない)しかない。この極めて獲得困難な称号を手に入れていることだけでも同社の開発に対する真摯な姿勢が分かると思う。

 

 昨年11月期に売上高が4期ぶりに100億円を超えた。期中に上方修正を行い、着地はそれをさらに上回った形であり、経常利益・最終利益も同じくその道を辿った。リーマンショックにより、大きな痛手を情報通信業、とりわけソフトウェア業は負ったが、他社に先駆けて、同社の完全復活に向けての視界は大きく開けたといえる。

 番組の中でも私は"顧客数"という水を向けたが、私がジャステックの強さと考えているのは、積極的な営業により顧客数の増加を追い求めるのではなく、おそらく大企業、または、社会インフラを支えていると考えられる企業と、深い信頼関係を長年に亘り培ってきたその事実である。不具合が起きた時に、社会的に大きな問題を引き起こしかねないソフトウェアの開発を求める際に、同社の「CMMI5」の輝きは増す。その輝きは「信頼」であると同時に、同社にとっては「間違えてはいけないという責任」を意味する。

 
▼「決算補足資料」から見える方向性
 同社が「CMMI5」を獲得できた理由をIR活動の一環として公開している「決算補足資料」から窺うことができる。私は収録の際に聞いて驚いたのであるが、他社に作成を依頼しているのではなく、ここまでのものを自社で作っているのである。投資家の必要な情報に加えて、全て開示できる材料は示すという姿勢がきちんと伝わる資料で、同社の真摯さがここからも分かる。実は水を向けた質問は、同社のこの資料の中にちゃんと書かれているのだ。

 

 その中に、海外での事業展開についての記載もきちんとされている。冒頭の言葉の「世界のソフトウェア業における成功例となることを目指している」という部分に社長が込めたであろう思いは、日本のソフトウェア業界の夢でもある。これまで、ソフトウェアは圧倒的に海外メーカーの強さが目立った。やっと、「コンソーシアム形式」により優れたソフトウェアを海外に売り込みをかけようという動きが始まったところである。そのような中、同社はソフトウェアの開発受託という形で海外進出を早くから果たしてきた。たとえ足許の海外での業績が大きく収益に結びついていない状態でもきちんと開示し、方向性を示している。その心意気や良しである。日本の切り込み隊長として同社を応援したい気持ちを私は強く持つ。

 日本で築いた顧客との関係を世界で作り上げる。その目標に向かって邁進して欲しい。『CMMI5』の輝きは世界でさらに光を増す。(了)

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 取材後記は、以上です。
 ジャステックが積み上げた強みが、伝わってきたように思います。
 中谷社長はもともと海外畑でもいらっしゃいますし、今後の海外での事業展開も注目したいところですね~。

 取材後記中でも取り上げられている「決算補足資料」は、同社のIRサイトに掲載されていますので、本記事末尾のリンクからご参照ください。「今日の1社」の放送と取材後記の内容を踏まえてお読みいただくと、一層ご理解が進むかと思います。


 それではまた、来週もお楽しみに!

<オンデマンドもお聴きください>
■放送版オンデマンド・・・実際に放送された音声をお聴きいただけます。
■ロング・インタビュー・・・放送では収まりきらなかったインタビューを収録しています。

(関連リンク集)
■ジャステック IR情報
■ジャステック 平成25年11月期 決算期末に関する補足資料

代表取締役社長 中谷昇様と。
代表取締役社長の中谷昇様と。
1月15日放送「今日の1社」ワイヤレスゲート(9419)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2014.01/15 今日の1社担当 記事URL
 1990年代、2000年代、2010年代・・・と、「10年」というのはひとつの年代を刻む目安となるものです。
 この20年の間で、インターネット接続はダイヤルアップの時代からブロードバンド、そして無線LANへと大きく発展してきました。

 1月15日放送、「アサザイ 今日の1社」に出演したワイヤレスゲート(9419・東証マザーズ)は、その公衆無線LANサービス分野の先頭を走る成長企業。2004年1月26日設立から、まもなくちょうど10年を迎えるところです!

 ワイヤレスゲートが切り開く次の10年、日本の通信環境はどれくらい発展しているでしょうか? 10年前と今を比べると、たいへん夢が広がるところです。今回も代表取締役CEOの池田武弘様にお越しいただき、井上哲男インタビューに答えていただきました♪

 井上哲男が「2012年組」(同年新規上場した企業)の中でも「イチ押し」としていたのが同社です。
 渾身の取材後記をどうぞお読みくださいっ!


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取材後記

ワイヤレスゲート(9419)(東証マザーズ)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役CEOの池田武弘様。

 

「ストック、そしてグロースへ」

 

▼"2012年組、イチ押し企業"
 2012年以降、新規公開する企業が再度増加し市場に活気を与えている。「アサザイ」でも多くの新規上場企業を紹介してきたが、私が"2012年組のイチ押し企業"として紹介したのが同社。上場から3カ月後、一昨年10月のことであった。私が同社を推した理由は、①他社にはない卓越した技術でオンリーワンのビジネスモデルを築いている。②安定的な収益をもたらすストックビジネスであり、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスの増加に伴い、この拡大が見込まれる。③ヨドバシカメラという強い提携販売チャネルがある。④大きな設備投資資金が必要となることがなく、固定費の比率も低い。(当時の社員数10名)などであった。

 そして、何よりも重きをおいたのが、同社が上場を視野に入れてからの数年で築いた、成長性、そして株主資本から求められる収益性の高さであった。具体的に挙げると株主資本最終利益率(ROE)と真の配当性向であるDOE(ROE×配当性向)の二つ。継続的に「アサザイ」をお聴き頂いているリスナー及び私のセミナーにご参加頂いた方にとってはもう"耳タコ"であると思われるが、この二つの指標が如何に投信をはじめとする機関投資家の投資尺度になっているかが、同社の株主構成を見ると分かる。

 

 昨年の特番を含めて「アサザイ」に3回目の出演(最多出演)となる。昨年末に同社を訪れてインタビューをした際に池田CEOとIR室長が一つの懸念を抱いていた。それは、昨年11月以降、大手機関投資家の保有比率が上昇したことが材料視されて株価が大きく再上昇したが、それでは、なぜ機関投資家が保有比率を高めたのか、その着目した材料の含蓄している意味について、プレスリリースだけでは個人投資家に伝わっていないのではないか、つまり、"情報の非対称性"が機関投資家と個人投資家の間に生じているのではないかという、極めて投資家に対して真摯であるからこそ生じる懸念であった。それゆえ、私が今回の出演を依頼したのである。

 
▼ストックビジネスに拡大余地あり

 初めて同社を知るリスナーのために簡単にこれまでの事業を説明すると、au、ソフトバンク、ドコモなど、皆さんはそれぞれキャリアと契約されていると思う。Wi-Fiが入っている喫茶店などの入口には、それぞれのキャリアのシ-ルが貼ってあり、その場所ではどのキャリアでインターネットがサクサク動くかが分かるようになっている。このサービスは契約後一定期間については無料で、その後は有料になるのが普通であるが、ワイヤレスゲートのWi-Fiサービスに加入すると、どのキャリアでも月間380円でWi-Fiの設置場所であればインターネットがサクサク動くのである。この場所が現在4万ヵ所ある。その他、通信速度制限のないWimax社サービスに付加するサービス、auの3Gサービスに付加するハイブリッドサービス、24時間電話でPCをサポートするサービスなども行っている。会社別の有料Wi-Fiサービスのシェアはおよそ11%で、ソフトバンクに次いでほぼドコモと同じレベルである。しかし、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスの出荷台数に占める有料の公衆無線サービスの利用状況は、増加はしてきているが、未だに全体では10%程度という数値も推定されている。つまり、この数字には拡大余地が大きいことから、シェアを維持していれば自然とストックビジネスは拡大することになる。

 

 12月決算の同社の前期第1四半期に伸びが鈍化したと市場で言われたが(JCU(4975)の紹介でも述べたとおり)、昨年1-3月の世界的な生産調整及び契約台数の停滞は予測されていたことであり、その後、同社の業績は順調に年度予想ベースに回帰し、業績見込みに反映させていなかった(ヨドバシカメラに加えて新たに同社サービスの販売会社として提携を始めた)住友商事系の携帯販売会社であるティーガイア(3738)の寄与もあって、発表されている第3四半期まで好調なまま業績は推移した。計画していた1:100の分割に加えて、その後1:2分割を2回行い、初めての配当も発表。その後、創業10周年の記念配までも加えて行うことを発表した。

 
▼B2Bへ、"第二創業期"

 本題に入る。昨年11月6日に同社は一つのプレスリリースを発表した。それは「無線LAN環境構築支援プロジェクトに参画」の一環として「中央区銀座でのG Free構築」を行うというものであった。銀座の銀座通連合会が目指している銀座エリア全域でのWi-Fi化ということは、どのキャリアに入っていてもWi-Fiサービスを受けることができるわけであり、ワイヤレスゲート社にとってメリットがあることではないように映る。しかし、Wi-Fiのためのアクセス・ポイント(AP)の設置によるアップフロント(入口)の収益は大きくはないものの、その後にその利用料金というストックビジネスに結びつくのである。これまで同社のビジネスは最終消費者とのB2Cモデルであったが、APを設置した団体とのB2Bのストックビジネスモデルが始まるのである。これが"第二創業期"と池田CEOが言う由縁である。

 

 このビジネスのターゲットは全国の自治体、商店街などである。全国の自治体は災害時ネットワーク、外国人観光客の誘致やそれに伴うサービスの施行に興味があり、また、この部分についてはこれまでもAPの設置に対する国交省の助成金制度があった。しかし、結果的に設置後の運営費用の負担が自治体の重荷となることが多かったのも確かである。

ここにワイヤレスゲート社の卓越した技術が生かされる。構築したクラウドを利用したソリューションを用いることにより自治体はコスト削減に成功するだけでなく、同社の提供するビッグデータにおける人間の動態に関する管理・解析能力が広告の効果測定に有効に働き、結果的に広告の誘導に結びつくのである。実際にクッキーの解析によってインターネットにおけるPRを提供している会社があるが、自治体に広告収入が入れば、自治体は運用コストを賄い、黒字となることも有り得る。そこにはWin-Winのビジネスが広がる。

 

▼着実な歩みを、見守りたい
 日経CNBC(及びNIKKEI Channel)の不定期番組に「Trader's BAR」というものがある。毎回数名の市場関係者が集まり、金融談議に花を咲かせるのであるが、私は"常連客"として毎回出演させて頂いている。昨年初秋、レオス・キャピタルワークスの藤野さんがゲストとして来た放送の中で、私は外国人がなぜPBRの高い企業を買うのかを「PBR = ROE × PER」の式を用いて説明したことがあった。その時に私は具体的に同社の名前を挙げた。この番組の中で企業名を出したのはこれまで同社だけである。

 

 今朝の放送の中でも触れたが、昨年12月の「アサザイセミナー」でお配りしたROEトップ300ランキングで同社は3年平均が49.2%で全上場企業中13位となっている。前期の配当性向見込みは増配前で42%、増配後では53%。この積であるDOEは26%。このことは、今後2期に亘ってこの配当性向を維持すると、DOEの3期平均も全上場企業中、第1位か2位になることを予感させる。

 現在、株価は高値追いを続け、今年に入ってからの上昇率も3割を超えた。正直過熱感も感じる。しかし、上場後も着実な歩みを続け、きちんと投資家に対する真摯な対応も続けている同社に対する機関投資家・個人投資家の評価はすこぶる高い。初めて同社を紹介した際に、私は"爽やか"という表現を使った。このことは変わらない。何度会っても同社のメンバーは爽やかである。しかし、思う。ひょっとしたら同社は2010年代の情報通信セクターにおける最もグロース性の高いセグメントに関わっているのではないかと。

 自治体APビジネスがすぐに大きな収益を四半期決算において示すことを私は期待してはいない。しかし、その緩やかな伸びを見守っていきたいと思う。同社の決算を見る楽しみがまた増えた。そして、同社がB2Bビジネスの「B」にまずは自治体や商店街などを選んだこと、Win-Winの関係を目指していることが何よりも嬉しい。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?

 自治体APビジネス、「街全体のWi-Fi化」というのは、各地で具体的に検討が進められつつある分野です。

 たとえば、人口145万人の政令指定都市・川崎市。昨年11月に新市長が誕生しまして、この福田市長が主要な公約としてあげていたのが「川崎Wi-Fi化計画」です。

 これは単に「つながると便利だよね」ということではなく、国際的な都市間競争の中で、新しいビジネス環境を創出し、防災、防犯、交通、教育などの各分野でも戦略的なまちづくりをしていこうというものです。

 取材後記中にもあるように時間をかけて取り組んでいく課題ではありますが、各地での取り組みが具体化してくるのが楽しみです♪
 ワイヤレスゲートについても、着実な成長を長期的な目線で見守っていきたいと思いました。

(関連リンク集)
■ワイヤレスゲート IR情報
■11月6日付プレスリリース 無線LAN環境構築支援プロジェクトに参画~第1弾として中央区銀座でのG Free構築~
■11月26日付プレスリリース 無線LAN環境構築支援プロジェクト進捗のお知らせ~G Free(銀座フリーWi-Fi)が晴海通りへ拡大~
■ワイヤレスゲート 2012年10月17日放送「今日の1社」の取材後記

代表取締役CEOの池田武弘様と。
代表取締役CEOの池田武弘様と。
1月8日放送「今日の1社」メディネット(2370)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2014.01/08 今日の1社担当 記事URL

 日本は高齢化社会といわれますが、言い換えれば長寿社会ということになります。マスではなくひとりひとりに目を向けたとき、長寿社会をいかに幸せに生きるか、ということが大切なのではないでしょうか。
 その中で自分や家族まで含めて考えたとき、「ガン」といかに向き合うか、これは多くの方にとってかかわりのある問題です。ただ、実際にどのような治療法があるのか、健康なうちに正確な知識を得ている方は決して多くはないのが現状です。

 2014年、午年を駆ける最初の「今日の1社」は、ガン治療の研究に力を注いできたベンチャー企業、メディネット(2370・東証マザーズ)です!
 メディネットは1995年に創業、1999年より「免疫細胞療法総合支援サービス」を日本で初めて提供開始し、これによるガン治療が現在の事業の中核としています。

 今回は代表取締役社長の鈴木邦彦さまにお越しいただきまして、井上哲男インタビューに答えていただきました。
 井上哲男の取材後記が届いていますので、どうぞお読みください!


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取材後記

メディネット(2370)(東証マザーズ)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の鈴木邦彦様。

 

「進むべき方向性」

 
▼ガン療法の3療法と「免疫細胞療法」

 創業が1995年。現会長の木村佳司氏と亡くなられた江川滉二氏が日本のガン療法のために強い意志を持って創った会社である。

 ガン療法は抗ガン剤による「化学療法」、手術による「外科療法」、そして「放射線療法」の3療法が一般的であるが、同社が手掛けてきた「免疫細胞療法」は、患者さん本人のリンパ球などの免疫細胞のもとになる細胞を取り出し、人工的に培養・増殖(元気に)させ、患者さんの体内に戻す治療法であり、副作用がなく、患者さん一人ひとりのがんの状態に合わせた治療を行うことを可能としたもので、3療法と併せて行われることが多かった。

 

▼アベノミクスの矢が立った「再生医療」
 アベノミクスの3本目の矢の失望感がよく言われる。しかし、私の考えは違う。即効性を意図したものではなく、進むべき方向性や指針を示しているものであり、効果はいずれ持続性を持って表れると考えている。TPPにしても同じような効能であり、政府自身も"10年でGDPを1%にも満たないレベルで押し上げる効果"と予想している。大切なのは方向性なのである。

 その方向性という点で、どの産業よりも早く首相が明言したのが、再生医療に関することであった。経済産業省と協調する形で、日本から発信していく次世代技術・産業としてこの分野を育成しようという強い意志を示したのだ。「アサザイ」にご出演頂いた多くのバイオ関連企業の紹介の中で何度も述べたが、これまで、医療に携わる日本の優秀な医師、技術者が海外にその能力の発揮先を求めていった背景には法規制という高い壁があった。

 

 しかし、昨年4月に「再生医療新法」が成立したことを受けて、11月には新たな2つの新法が成立した。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(いわゆる「再生医療新法」)と「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(いわゆる「改正薬事法」)である。

 
▼新法の風が示す、方向性

 新法(「再生医療新法」)によりこれまでは医療機関しか行えなかった細胞加工業務を医療機関以外の外部機関に対して委託することが可能になる。この受託が「細胞加工業」であり、もう一つの新法(「改正薬事法」)により、これまでの薬事法では分類のなかった「再生医療」が、新たに「再生医療等製品」と定義され、その特性に応じた製造販売承認のあり方が定められるとともに、再生医療の早期実用化に対応した承認制度も導入されることとなった。この部分が「細胞医療製品事業」なのである。"製品"という言葉がつくことは"重み"と"喜び"の両方を同社に対して与える。

 昨年秋以降、同社に関するニュース・リリースが多く見られたが、それは、この「細胞加工業」と「細胞医療製品事業」というこれから力を入れていく分野に対する対応の早さの表れであった。

 
 山中教授のノーベル賞受賞が示すように、再生医療に関する研究において、日本は世界のトップレベルであるものの、実際に上市された製品数及び治験中の製品数は極めて少ない。

 昨年9月に経済産業省が出した「再生医療の実用化・産業化に向けて」というレポートによると、米国、欧州、韓国の上市製品数/治験中製品数は、それぞれ、9/2、20/42、14/31となっているが、日本は2/4と圧倒的に少ない。(2012年12月時点)

 前述した「進むべき方向性」はこの数字に表れている。風は吹いた。今がメディネットの第二創業期である。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 メディネットが研究を進めてきた「免疫細胞治療」では、副作用がないこと、患者さん一人ひとりのがんの状態に合わせた治療ができることが特長とされています。

 ガン治療といえば一般の方がまず頭に思い浮かべるのは抗がん剤です。抗がん剤もかつてに比べて副作用の改善は進められてきていますが、どうしても皆無とはいえません。
 患者さんのより良い生活を考えたとき、「免疫細胞治療」には大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。

 アベノミクスの成長戦略が後押しする中、同分野でのメディネットの今後の事業展開が注目されるところです。

(関連リンク集)
■メディネット 株主・投資家情報
■首相官邸ウェブサイト 新たな成長戦略 ~「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」~

代表取締役社長の鈴木邦彦さまと。
代表取締役社長の鈴木邦彦さまと。

12月25日放送「今日の1社」のライフネット生命保険(7157)の取材後記につきまして [「今日の1社」取材後記]
2013.12/25 今日の1社担当 記事URL

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毎回「取材後記」をお読み下さいまして誠に有難うございます。

今回、放送させて頂きましたライフネット生命保険様(7157:東証マザーズ)につきましては、金融機関でいらっしゃることから、「取材後記」の掲載を自粛させて頂きます。弊社も含め、金融機関は金商法、布令、ガイドライン、金融諸協会の諸規則等によるコンプライアンス事項の遵守が求められております。

 「取材後記」は私が取材を通して感じたことを、あくまでも私の主観として書いているもので、投資の勧誘を目的としたものではありません。また、私が書いたものをそのまま配信し、企業活動と齟齬があった場合のみ、その部分を訂正するという形で、企業様に事前に了解や校正を求めたこともありません。

しかし、金融機関である企業様に対して、「取材後記」が、前述の法令等における「広告に関する規定」から導かれる「ソーシャルメディアにおける第三者による記載」に該当しているのではないかと当局等が判断し、企業様にご迷惑がかかってはいけないとの配慮から、金融機関である企業様については「取材後記」の掲載を自粛するものであります。

これまでにご出演頂きました、マネーパートナーズ様、FPG様、東海東京フィナンシャル・ホールディングス様、名古屋銀行様、ソニーフィナンシャルホールディングス様につきましても同じ判断から掲載を自粛して参りました。

  井上哲男

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<オンデマンド放送でインタビューをお聴きいただけます>
■「アサザイ放送版」オンデマンド 
・・・実際に放送されたインタビューを収録しています。1:55頃からスタートします。
■「アサザイロング・インタビュー」オンデマンド
・・・放送では収まらなかったインタビューを収録しています。

代表取締役会長兼CEOの出口治明さまと。
リスナーの皆様3名へのクリスマスプレゼント、出口会長の最新著書「部下を持ったら必ず読む『任せ方』の教科書」のお申込みはこちらから!
代表取締役会長兼CEOの出口治明さまと。

12月18日放送「今日の1社」JCU(4975)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.12/18 今日の1社担当 記事URL
 昨年9月26日放送の「アサザイ 今日の1社」で「伝説のMBO企業」としてご紹介したのが、JCU(4975・東証一部)でした。。
 JCUは、荏原製作所・荏原インフィルコ・米国ジ・ユージライト・コーポレーションの共同出資により、1968年に「荏原ユージライト」として設立。2003年にMBOにより独立したのち、2005年に東証二部上場、2007年に東証一部指定を受け、業績も順調に伸ばしてきました♪

 同社はめっき加工を行うための表面処理薬品と機器を提供しており、自動車、建材、水栓金具、電子部品、半導体など大変幅広い製品の加工をサポートしています。海外売上高比率も高く、スマートフォン・自動車などをはじめ、世界のテクノロジーを支えています。

 昨年ご出演の直後、2012年10月1日に商号を荏原ユージライトから新たに「JCU」に変更され、さらなる飛躍が期待されていた同社。約1年3ヶ月ぶりに代表取締役会長兼CEOの粕谷佳允様にお越しいただきまして、その後の経過もお話いただきました。
 インタビュアーは勿論、井上哲男。またまた渾身の取材後記が届いていますので、お読みくださいっ!

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取材後記

JCU(4975)(東証一部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役会長兼CEOの粕谷佳允様。

 

「歓び(よろこび)の歌」

 
▼海外での芽吹き

 昨年9月以来、2回目のご出演。前回ご出演頂いた際に割安感を強調したが、2500円程度であった株価はその後順調に上昇し、約半年で倍以上となった。2回の上方修正で、業績の堅調さに市場がやっと焦点を当てたイメージであったが、今期も第2四半期決算で通期の上方修正を発表したことから、株価は3800円レベルから1ヶ月かけて5300円まで、ちょうど40%程度上昇し、今週に入って5000円台でもみ合っている。しかし、それでも割安感が強い。

 

 この会社の決算発表を見る際のポイントはやはり海外での業績である。3期前には40%程度であった海外売上高比率は、現在は60%程度にまで拡大している。今期の第1四半期(4-6月期)の決算発表が大きなサプライズの無いものであったが、同社は「1-3月期の海外(中国・韓国)でのスマートフォンの生産調整がこの期の数字に表れている。これは既に分かっていたことで、4-6月期は生産調整が終わり、予定通り立ち直っている」という主旨のコメントをきちんと述べている。つまり、4-6月期の海外の数字が反映される第2四半期での好業績はある程度予測できたのである。

 

 その予想の一つの根拠となったのが、自動車関連が第1四半期から好調であったこと。電気機器と自動車関連の売上比は、かつて5:5程度であったものが、ここ数年はスマートフォンが業績を牽引する形で6.5:3.5程度となっていたが、今期は5.5:4.5にまで自動車が戻している。

 スマートフォンに関しては、国内メーカーよりも海外メーカーとの繋がりが強く、アップル、サムスンの2大メーカーに加えてシェアを伸ばしている中国メーカーにも納入しており、自動車に関してはその逆で国内の全てのメーカー(含む部品メーカー)に納入している。海外への自動車メーカーの進出についても共同で装置を開発し、その装置の納入後はそれに使用する薬品の納入というストックビジネス・モデルで強力にサポートしている。海外売上に加えて、この電気機器、自動車の両軸の売上推移でこの会社の業績はかなり測ることができる。

 

 また、前回に新規事業として話していた、太陽光パネルの設置・販売事業、台湾での化粧品販売は既に始まっており、中国・台湾で納入が始まった「貴金属めっき事業」(それまでのニッケルと金によるめっきではなく、ニッケルとパラジウムと金の無電解めっき(ニッパラ金)により、金の含有量を低下させてメーカーにコスト削減をもたらす)や「ノーシアン金」の研究開発(金めっきはどうしても有毒なシアンを使用するが、新しく開発した薬品を使用することにより、このシアンを使用せずにめっきを施すことが可能となる)、ICチップとパッケージ基盤を接続する工法として従来の「(金)ワイヤボンディング」に替わる「カッパー(銅)ピラーの技術」など、次から次へと世界が同社の技術を必要とする予備軍に溢れている。

 
▼定量分析で際立つ成長力

 番組でも披露した定量的な数字をここでも述べる。いざなみ景気最後の決算期である2006年度を100として、その7期後である今期の売上高を表すと、金融を除く29業種が94、化学全体が106、めっき薬品の同業5社が77という厳しい数字となっているが、JCUは165と1.6倍以上に伸長している。経常利益については、29業種が88、化学が92、同業5社が30とやはり厳しいなかJCUは238と、2.4倍にもなった計算だ。

 特にこの差が顕著となったのがここ4年間。ちょうど10年前にMBOを行い、国内の大変な作業をこなしながらも海外へ積極的に進出したことが果実を生んだ形である。会長は当時を振り返って「毎月、海外に1ヶ所拠点を作るペースでがんばった」と言っていた。

 

 昨年番組収録時に会長が言われていた「技術開発力と市場開拓力」の「市場開拓力」はこの時に蒔いた種が育ったものであり、「技術開発力」は現在の新規事業でも分かるように常に次のニーズに備えて研究開発に力を注いできた結果である。

 
▼「ステークホルダー」へのまなざし

 前回、株主優待まで含めた還元率の高さについて触れたが、その後、会長と話していて、とても感銘を受けることがあった。それは、「当社の一番大きなステーク・ホルダーは、弊社の取引先企業様、株主の皆様、弊社の従業員とその家族の3つであると考えており、必要な内部留保、研究開発費以外の部分を均等に分配したいと考えている。取引先企業様については、その企業様と共同で薬品を開発する際にかかる費用という形で、そして株主の皆様には配当金と株主優待という形できちんとお答えしたい」というものであった。

 

 単に「株主」という意味で「ステークホルダー」という単語を用いる企業があるが、私はとても違和感を覚える。「株主」は「シェアホルダー」や「ストックホルダー」であり、「ステークホルダー」とは、会社がその利益や生活、環境に影響を与える全ての人達や団体のことを示している。一例を挙げると、その企業の工場が立地する地方自治体も立派なステークホルダーである。

 「ステークホルダー」の意味を正しく理解して還元する。この会社が「きちんとしている」と感じられるのはこういう部分にも表れるのである。

 

▼「歓びの歌」が、きこえる
 最後に、ホームページを見ることをお願いしたい。会長がその中で10年前のMBOから上場、海外進出について回顧している。ベンチャー・キャピタルをして「伝説のMBO」と言わしめたMBOだ。

 大好きなJCUには私が一番好きな言葉がピッタリあてはまる。それは「涙とともに種を蒔く者は、歓びの歌とともに収穫する」という聖書の言葉である。JCUの歓びの歌は、まだまだ止まない。(了)

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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 昨年の取材後記でも、JCUの業界比較も踏まえて「価値ある上方修正」をご紹介しました。その後も海外等にまいた種が着実に芽吹き、堅調な業績を維持しているところですね~。

 放送は10分あまりなのですが、収録は実はもっともっと長い時間、お話をいただいています。その一端はロング・バージョンでご紹介したいと思いますので、アップされましたらぜひお聴きください!


(関連リンク集)
■JCU 投資家情報

代表取締役会長兼CEOの粕谷さまと。
代表取締役会長兼CEOの粕谷さまと。
12月11日放送「今日の1社」アールテック・ウエノ(4573)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.12/11 今日の1社担当 記事URL
 「ベンチャー企業」への投資というのは、将来性に期待をして資金を投入するわけですが、それにあたっては投資する会社の今の姿を見て、5年後、10年後の姿をイメージできるかどうかがポイントです。成長ストーリーをいかに示していくか、それを支える「ベンチャー・スピリット」をいかに保ち続けるかが、ベンチャー企業の経営者にとっては重要なテーマとなります。

 今回の「アサザイ 今日の1社」は、「将来性投資」の最たる「創薬ベンチャー」の草分け的存在、アールテック・ウエノ(4573・ジャスダック・スタンダード)の代表取締役社長 眞島行彦様にお越しいただきました!
 インタビュアー・井上哲男が取材後記であらためて同社の強みを分析してくれましたので、どうぞお読みください!

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取材後記

アールテック・ウエノ(4573)(東証ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の眞島行彦様。

 

「"創薬ベンチャー"としてのアールテック・ウエノ」

 

▼創業時からの収益基盤
 今年2月に、フジサンケイビジネスアイ(日刊工業新聞社)が主催する第8回バイオベンチャー大賞の審査員特別賞をアールテック・ウエノは受賞したのであるが、その審査委員長のコメント要旨を披露すると、「数多いベンチャー企業の中でも収益基盤をしっかりと確立しつつ、現在有効な治療薬が確立されていない疾患向けに世界初の治療薬を開発する新規性や着眼点は高く評価でき、今後の新薬開発に期待する」とある。同社のことを語るのに充分で、無駄のないコメントである。

 

 アールテック・ウエノの創業は1989年。創業者の上野博士の特許管理会社としてスタートした。上野博士は上野製薬で緑内障治療薬レスキュラを開発した後に製薬ベンチャーを立ち上げる目的で渡米し、設立したスキャンポ社は便秘薬アミティーザの開発に成功している。(米国スキャンポ社も上場会社)

 アールテック・ウエノは上野薬品からレスキュラの製造・販売事業を継承した後にアミティーザの受託生産事業も開始し、このレスキュラ、アミティーザという両輪の好調さに支えられて2004年までに強固な財務基盤を築くことに成功した。そして、2005年から創薬事業を開始したのである。このことから分かるように、他の創薬ベンチャーとは創薬開始時の財務状況が違うという強さがある。

 
▼堅調、足許の決算

 同社は前期まで8期連続で3利益ともに黒字の企業であることが何よりも安定した収益基盤を築いていることの証明であるが、現在上場している企業のうち8期の決算が遡れるのが3338社あり、うち1314社がアールテック・ウエノと同じように3利益とも黒字を続けている。これらの企業の8期平均売上高経常利益率、同最終利益率を計測すると、アールテック・ウエノは前者については全体で30位(29.98%)、後者が22位(20.64%)となる。医薬品業種で見ると前者が2位、後者が1位である。

 

 足許の決算も好調だ。レスキュラ、アミティーザの2本柱であるが、さすがに来年、上市されて20年となるレスキュラは後発薬も出ていることから毎年の売上減は避けられないが、それでも眞島社長の言葉ではないが"よく健闘している状態"である。

 また、昨年32年ぶりに日本で便秘薬の新薬として認可・販売が開始されたアミティーザは絶好調。日本での売上通期寄与に加えて、納入価格が引き上げられたこともあって、売上が大きく伸長しており、今期の会社決算は前期に比べて、売上高で15.5%、営業利益で61.2%、経常利益で54.5%、最終利益で61.3%のそれぞれ増加を見込んでいる。第1四半期終了時点で通期の上方修正も行った。

 

 アナリストレポートであれば、この好調な決算状況の報告と来期、再来期についてもアミティーザの伸びが収益をひっぱることを述べて、新薬の認可(売上寄与)が無くても1株利益はこのように成長する見込みと書けばよいであろう。

 しかし、私が同社について語りたいのはそんなレベルのことではない。このレベルのことであれば、取材後記の下にレポートのURLを貼り付ければ済むことである。

 
▼「創薬ベンチャー」としての真価

 厳しいことを書く前に予め断りを入れるが、私は昔からアールテック・ウエノに注目し、個人的に大いに期待してきた。今回の収録も事前のヒアリング・メモが来る前に台本を送ったほどである。その私が今回のインタビューで確認したかったことは、実はレスキュラ、アミティーザのことではなかった。しかし、社長が数回、"来年"、"これから"、"勝負"という言葉を呟いたことにより確認することは何もなくなったといえる。

 厳しい言い方をすると、レスキュラ、アミティーザは厳密には"創薬ベンチャーとしてのアールテック・ウエノ"の功績というよりは医薬品会社としての功績である。しかし、"創薬ベンチャーとしてのアールテック・ウエノ"は現在、夜盲、視野狭窄などの症状である網膜色素変性の治療薬である「オキュセバ」(UF-021)が申請前のフェーズ3に来ており、失明することもあるドライアイの治療薬「RU-101」はフェーズ2まで進んでいる。また「RK-023」は男性型脱毛症治療薬としてフェーズ2、睫毛貧毛症治療薬としてフェーズ1の段階と、とても期待が膨らむ状態まできている。これからが本当の意味での同社の社会的な存在価値が大きく増大する時期なのである。

 

 「ベンチャー」というと、多くの人は資本(キャピタル)の面から見たステージのレベルを考える。無論、それは間違ったことではないし、その点でアールテック・ウエノは最上のレベルにあると思う。しかし、「ベンチャー」にはもっと必要なことがある。

 それはスピリットとしてのステージである。社長の呟きは、レスキュラ、アミティーザにあぐらをかかない、あくまでも「アンテメット・メディカル(未だに満足のゆく治療法がない医療)」、「オーファンドラッグ(希少疾病医薬品)」、「アンチエイジング、生活改善」に立ち向かう姿勢を表したものである。網膜色素変性は日本の患者数は3万人、世界で100万人と言われているが、患者さんに対しては大変失礼な言い方にはなるが、新薬開発という観点からはオーファンドラッグに入る。しかし、"日本発・世界初の薬"でこの疾病に立ち向かいたいという思いは、上野博士と慶應義塾大学医学部で同窓として学んだ、眞島社長の医師としての目線や苦悩そのものであろう。株主総会にこの疾病で苦しむ方が株主としていらっしゃったと社長から聞いた。確認したかったスピリットとしてのレベルにおいてもアールテック・ウエノは最上にいることが何よりも嬉しい。

 

 アベノミクスから1年。第3の矢(成長戦略)について色々な議論があるが、産官学連携による医薬品分野での方向性は間違っていないと確信している。インタビューを終えて、ますますアールテック・ウエノが好きになった。ほら、日本にはまだまだ応援したい企業がたくさんある。(了)

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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 堅実な財務基盤を持ちつつ、創業以来のベンチャー・スピリットを有するアールテック・ウエノ。これは井上哲男ならずとも応援したくなってしまいますね~♪ 現在治療法が確立されていない病気、患者数が少ないために医薬品の開発が進みにくい病気などに有効な新薬が、同社の手によって世の中に登場してくる日を期待したいと思います。

 また創薬ベンチャーというと「わかりづらい」という印象も強いと思いますが、同社のウェブサイトはなるべく「強み」や「成長戦略」などがわかりやすいようにコンテンツが工夫されていますので、どうぞご参照くださいね♪

(関連リンク集)
■アールテック・ウエノ 投資家のみなさま
■アールテック・ウエノの強みを読み解く ※ナレーション付き

(代表取締役社長 眞島行彦さまと。)
代表取締役社長 眞島行彦さまと。 

12月4日放送「今日の1社」のソニーフィナンシャルホールディングス(8729)の取材後記につきまして [「今日の1社」取材後記]
2013.12/04 今日の1社担当 記事URL
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 毎回「取材後記」をお読み下さいまして誠に有難うございます。

 今回、放送させて頂きましたソニーフィナンシャルホールディングス様(東証8729)につきましては、金融機関でいらっしゃることから、「取材後記」の掲載を自粛させて頂きます。弊社も含め、金融機関は金商法、布令、ガイドライン、金融諸協会の諸規則等によるコンプライアンス事項の遵守が求められております。

 「取材後記」は私が取材を通して感じたことを、あくまでも私の主観として書いているもので、投資の勧誘を目的としたものではありません。また、私が書いたものをそのまま配信し、企業活動と齟齬があった場合のみ、その部分を訂正するという形で、企業様に事前に了解や校正を求めたこともありません。

 しかし、金融機関である企業様に対して、「取材後記」が、前述の法令等における「広告に関する規定」から導かれる「ソーシャルメディアにおける第三者による記載」に該当しているのではないかと当局等が判断し、企業様にご迷惑がかかってはいけないとの配慮から、金融機関である企業様については「取材後記」の掲載を自粛するものであります。

 これまでにご出演頂きました、マネーパートナーズ様、FPG様、東海東京フィナンシャル・ホールディングス様、名古屋銀行様につきましても同じ判断から掲載を自粛して参りました。

  井上哲男

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<オンデマンド放送でインタビューをお聴きいただけます>
■「アサザイ放送版」オンデマンド 
・・・実際に放送されたインタビューを収録しています。まずはこちらをお聴きください。1:45頃からスタートします。
■「ロング・インタビュー」オンデマンド
・・・放送では入りきらなかったインタビューを収録しています。

広報・IR部長 此尾昌晃さまと。
広報・IR部長の此尾昌晃さまと。
11月27日放送「今日の1社」サンワカンパニー(3187)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.11/27 今日の1社担当 記事URL
 いきなり個人的な話で恐縮ですが、「今日の1社」担当のわたくしはIPO企業に関心を持っています。なぜかと申しますと、IPO企業には「なるほど、こんなビジネスモデルが!」と思わず膝を打つような企業が多いからです。
 パラダイム・シフトは全世界で急速に進んでいきます。昔から業界にあった「壁」を補強しながら延命をしていくだけでは、いずれ日本経済も立ち行かなくなることは確実です。3,500社といわれる上場企業のうち、IPO企業には特にそんな壁を打ち破るような企業が多数出てきています。

 11月27日放送の「アサザイ 今日の1社」に登場したのは、上場から2ヵ月半、成長著しいサンワカンパニー(3287・東証マザーズ)です! 同社は建築業界にあって、既存の常識を変えるビジネスモデルを確立してきています。
 今回は代表取締役社長の谷口瓦さまにお越しいただきまして、井上哲男がインタビューしました♪
 放送をお聴きいただいた方もそうでない方も、取材後記をどうぞお読みください~!!

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取材後記

サンワカンパニー(3187)(東証マザーズ)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の谷口瓦さま。

 

「風穴は向かい風に対して開ける」

 

▼風穴を開けて、34年
 上場から2ヶ月半での「アサザイ」へのスピード出演。9/13の上場初日は値がつかず、翌営業日に公募価格950円の3.7倍の3500円で産声を上げた。「アサザイ」の放送開始以来、IPOの好調さについては度々触れてきたが、同社の初値の公募価格に対する上昇率は今年のトップ5に入る人気ぶりで、同社に対する市場評価の高さを示すものとなった。

 

 会社の設立は1979年であるから34年の社歴。「30年=1ジェネレーション」という米国式の考えになぞると立派な歴史のある会社になる。タイル・フローリングの輸入を開始したのが14年ほど前のことで、翌年2000年には建築資材のネット販売という未知のビジネスを立ち上げて業界に「風穴」を開けた。

 これは私見であるが、透明性という風穴を開けることに後ろ向きな業種というものがある。これは、その業界全体の暗黙のルール、商習慣のようなものだ。キッチンやバスをリフォームする見積もりを業者にお願いしても、使われる品目それぞれの見積もり金額は大雑把なものである。しかし、現在は同社のHPにより、メーカーや製品の大きさ、機能、素材などから使われる製品が違っていても原価の見当をつけることができる。誰に対してもワンプライスの提示という、それまでの業界の不透明な部分の中心に風穴を開けた同社のおかげである。

 

 風穴はいつも向かい風に対して開けるもの。

 当初のネットでの扱い商品は輸入品からスタートしていることがそれを示していると思われる。国内メーカーがすぐには飛びつけなかった事情は容易に理解できる。しかし、同社は国内メーカーとの交渉をすすめた結果、同社のみが取り扱う製品であれば既存の市場に迷惑をかけることはないとの判断を勝ち取り、このことがオリジナル製品の拡大に繋がったのである。昨年9月期のセグメント別製品の売上高は洗面、キッチンがそれぞれ20%強、タイルが12%と3分野で58%を占めるが、仕入れ種類でみると54%がオリジナル製品である。

 

▼収益性と成長性

 上場月が決算月であったこともあり、番組収録の前週に前期(2013年9月期)の決算発表が行われたが、営業利益、経常利益は前期比でそれぞれ15.5%、21.6%の減益となったが、最終利益は21.6%の増益となり、何よりも成長性として注目すべき売上高は14.6%の増収となった。これにより直近3年間で倍以上の売上高になったことになるが、なぜ売上高に注目すべきかというと、同社の売上高に対する収益率をみると、売上高最終利益率がこの3年間で3.12%→3.79%→4.02%と安定的に上昇しており、今期については4.45%とさらなる上昇を見込んでいるからである。

 

 また、もう一つの収益率である「資本に対する収益性」について、外国人投資家や外資系国内投信投資顧問会社がROEに注目していることは何度も述べたが、来年から導入される新指標JPX400の選考基準にもROEの3期平均が用いられたことからも同指標の注目度はさらに上がっていることが分かる。先週末の「アサザイIRセミナー」で参加者に配布した「ROE3期平均トップ300」によると同社の直近3期のROE平均は30.25%で61位と3500社余りの上場企業中トップ100位に位置する。大きな産声を上げた理由の一つは、このROEの高さである。

 
▼今後のカタリスト、ショールーム展開

 同社が現在進めている方向性は、ショールームの展開。現在、大阪、名古屋、東京、シンガポールにあるが、福岡、横浜にも進出する。実際にショールームでの購入は顧客サイドの満足度を上昇させるだけでなく、同社にとっても購入平均単価が高いというメリットをもたらしているのである。

 上場の際、増資によって得た資金を「全額、新規ショールームの開設に充てる」と社長は言いきった。そこには進むべき道への迷いが無いことがはっきりと表れている。当然、これがカタリストである。(了)
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 取材後記は、以上です。なかなか今後が楽しみな企業ですね~。
 最後のショールーム展開について、放送をお聴きでない方のために補足しますと、ウェブ経由からのオーダーに比べて、ショールームでのオーダーは購入平均単価が約2倍におよぶのだそうです。たとえば顧客がデザイナー同伴で全体のコーディネートを検討したりと、単品購入からトータル購入へと、格段にチャンスが広がるということなんですね♪

 それゆえに、上場による資金調達、それを原資にしたショールーム展開というのは、実に明確な成長ストーリーとなってくるわけです。
 風穴を開けるだけにとどまらず、風穴を広げていくサンワカンパニーの今後が投資家の注目を集めています。

(関連リンク集)
■サンワカンパニー ショップサイト
■サンワカンパニー ショールーム
■サンワカンパニー IR情報

代表取締役社長の谷口瓦さまと。
代表取締役社長の谷口瓦さまと。
11月20日放送「今日の1社」モスフードサービス(8153)の取材後記です! [「今日の1社」取材後記]
2013.11/20 今日の1社担当 記事URL

 「アサザイ 今日の1社」では、これまでに「日本発」「メイド・イン・ジャパン」の企業をご紹介してきました。取材後記でも、「日本の技術」を磨く企業への井上哲男の応援メッセージをお届けしてきました♪
 さて、ハンバーガーというと米国!のイメージですが、ここにも「日本発」の企業が確固たる地位を築いています。11月の20日放送「アサザイ 今日の1社」でご出演いただきました、モスフードサービス(8153・東証一部)です。

 かつてテリヤキバーガーの大ヒットで注目を集め、その後もこだわりのハンバーガーづくりで支持されるモスフードサービス。代表取締役社長 櫻田厚さまとのインタビューを終え、井上哲男の目には同社の施策はどう映ったのか? 取材後記をお読みください!

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取材後記

モスフードサービス(8153)(東証一部)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の櫻田厚さま。

 

「日の丸飛行隊」

 

▼上位独占、ハンバーガー総選挙
 テレビ朝日系「お願い!ランキング ゴールド」の「1万人が選ぶ第1回ハンバーガー総選挙」と「食のプロが選ぶ第2回ハンバーガー総選挙」で2冠に輝いたモスバーガー。アサザイには亀田製菓、リンガーハットに続いて3社目の同番組第1位企業の登場である。

 しかしモスバーガーは強かった。1万人が選ぶ第1回ハンバーガー総選挙においては上位6位中、5品をモスバーガーが占めた。独占状態である。

 そのモスバーガーが現在、力を入れているのが、定番商品の進化、朝食やティータイムなどの時間帯別訴求、そして海外戦略である。「6位中、5品を占めているのであるから"進化"しなくてもいいのでは?」という気もするが、(モスバーガーの)ミートソースの原材料や(ホットドッグ)ソーセージの増量など、常に気を遣っている。この「進化を意識する取り組み」が同社をここまでのステ-タスに押し上げたと言って過言ではないかもしれない。

 

▼"進化"する味
 その"進化"は復刻メニューでも分かる。昨年秋に同店が「ライスバーガー焼肉」と「ライスバーガーきんぴらごぼう」の販売を終えたとき、我が家には衝撃が走ったが、現在、期間限定で「きんぴらごぼう」が「彩り野菜のきんぴら」となって販売されている。レンコンのシャキシャキ感はかつての「きんぴらごぼう」には無かったものである。「期間限定の復刻」はよくあることだが、「期間限定の"進化復刻"」をモスバーガーは行っているのである。

 朝食についてもそうである。2009年秋から朝食時間帯限定サービスを行ってきたが、この2月からホットサンドや朝ライスバーガーの提供を始めた。

 

 そして、それらに活かされるのが、社長が自ら出かけて消費者と懇談を行う「タウンミーティング」や株主の声なのである。個人株主数は3万人と同社の人気の高さが分かるが、株主総会に1000人も出席するという。これは凄いことである。

 

▼ハンバーガー草創期
 日本にハンバーガー・チェーンの店が現れたのは1970年の「DOMDOM」が最初である。米国マクドナルドと組む予定であったのだが、出資比率が50%ではなく51%でなくてはイヤだ、と中内功が言い、単独で出店したのである。翌年には日本マクドナルドが、そしてその翌年にはモスバーガーが成増の小さな店で産声を上げた。ケンタッキ-・フライドチキンがオープンしたのもこの頃である。

 当時、私はまだ子供であったが、それまで何も関係のなかった"外国"というものを意識し始めた頃である。それは、今思うに、日本自体がそうであったように思う。「トリスを飲んでハワイに行こう」や「あこがれのハワイ航路(行路ではなく航路というのが凄い)」の時代から、もっと身近な、そして意識しなくてはいけない存在に"外国"がなったのがこの時期である。

 ボーリングブームが起き、ニクソンショックで1ドルは360円から308円になった。ウォーターゲート事件が発覚し、日中共同声明を受けてパンダが贈られた。国内でも、よど号事件など、ナショナリズムと、つきあわなくてはならなくなった外国との"距離感の測りかた"にもがいていた時代の象徴的な事件が度々起きた。また、当時の快挙といえば、札幌五輪で日の丸飛行隊が外国人選手を尻目に表彰台を独占したことである。これらの、良いニュース、悪いニュースが流れるなか、「味なことやるマクドナルド」のCMだけは、何も関係なく、無邪気に米国の食文化に憧憬を抱かせたものである。

 
▼日の丸ハンバーガーが、表彰台に立った日

 そのような時代に米国の食べ物であるハンバーガーは日本で支持されていったのであるが、もし、モスバーガーが無かったら日本のハンバーガーは全部同じ方向を向いてしまったのではなかったかと私は思う。上位6品に1品しか選ばれなかった方向性を、である。海外に行ってもモスバーガー以外は未だに同じベクトルであることがそれを証明しているような気がする。

 

 大手食品メーカーやJR、外資などがこぞって参入したこの業界で、撤退や営業権譲渡が相次ぐなか、独立系で資本も小さかったモスバーガーが日本で2番目の店舗数にまで拡大できた理由は、モスバーガーが当初から日本人の味覚と食に対する意識を信じていたからではないかと私は思う。例え少し待とうとも、少し値段が高くても、日本人に支持されるものを信じ抜いた結果であると・・・。

 外国生まれであるハンバーガーの総選挙で上位を独占したモスバーガー。その姿は私のなかで、札幌五輪における日の丸飛行隊に重なる。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 「モスバーガー」の味には確かに定評があり、使用される食材などにも一定の信頼を確立しているように思います。40年以上にわたって積み重ねてきた日本らしいこだわりが受け入れられているんでしょうね~。

 そんなモスバーガーが上位を占めた「1万人が選ぶ第1回ハンバーガー総選挙」。発表の瞬間には、井上哲男の脳裏には空飛ぶモスバーガーと、北出清五郎アナウンサー(当時)の名実況「飛んだ、決まった!」が流れていたこと、間違いありません。

 また来週の「今日の1社」もお楽しみに!

(関連リンク集)
■モスフードサービス IR情報
■お願い!ランキングGOLD 1万人が選ぶ第1回ハンバーガー総選挙

代表取締役社長 櫻田厚さまと。
代表取締役社長の櫻田厚さまと。

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