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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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1月30日放送の「アサザイ 今日の1社」は、2回目の出演となる京浜急行電鉄(9006・東証一部)でした。1回目の出演は7月10日でしたが、それから京浜急行電鉄の路線では大きく変わったポイントがあります。鉄道ファンの方はすぐにピンとくるでしょうか、京急蒲田駅の完全高架化です♪

 京急蒲田駅が2010年5月に一部高架化されてから、環状8号線を通って羽田空港に向かう京急リムジンバスが運行できるようになったり、今年の箱根駅伝ではダイヤの影響を受けなくなったりと、いろいろな面でのボトルネックが解消されたのです~。

 今回の放送ではそのあたりも含めて、同社の施策を総務部長 渡辺静義様にお話いただきました。またまた井上哲男が取材後記をまとめていますので、どうぞお読みくださいっ!

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取材後記
京浜急行電鉄(9006)(東証一部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は総務部長の渡辺静義さま。

「生き続けているスローガン」

▼「おもしろい会社」
 京急さんを一言で表すとしたら、「おもしろい会社」以外思いつかない。
 関東初の電気鉄道会社という歴史を持つ会社に対して失礼かもしれないが、堅いイメージのある電鉄会社の取締役会で「くりぃむしちゅー」をキャラクターに登用する議案があがった場面を想像すると笑ってしまう。
 私もアナリストとして、また、ファンドマネージャーとして多くの電鉄会社の説明会や業種セミナーに参加したが、その時、「京急さんだけ、ちょっと違う」と感じていたものが何であったのか、2回ご出演頂いて、取材を行い、かなり分かった気がする。

 まず、関東、関西の電鉄会社で比べると、明らかに関東の電鉄会社に勢いがある。これは、前回の取材後記でも述べたが、1988年の平均輸送人員を100とすると、2010年の数字では関西が85.1まで落ち込んでいるのに対して、関東は103.4と増加している。そして、京急については107.6までその数字を伸ばしており、主業の好調さが表れている。しかし、よく考えてみると、羽田空港が国際化したのは2010年10月のことである。2010年の数字は、この効果が2ヶ月分しか入っていない。通年ベースとなった2011年以降は、さらに京急の輸送人員が他社よりも伸びていることが容易に想像できる。
 これを裏付けるデータがある。京急は羽田国際化に伴い開業した国際線ターミナル駅の乗降客数を1日1万人と見込んでいたのであるが、実際は予想よりも多く利用され、前期は1万2500人と予想の25%増となっているのだ。羽田空港は今年3月末に国内便の発着回数を年間32万回から34万回に拡大し、これに対応して新しい国際線ターミナルビルの改築、増床にとりかかっている。これにより宿泊施設等も整備されて、さらに利用客の利便が図られる見込みである。

▼京急蒲田駅高架化がもたらす「安心」、羽ばたく京急
 そして、この羽田へのアクセスがさらに便利になった。昨年10/21に遂に京急蒲田駅付近の高架が完成し、駅が高架スタイルの近代的なものに生まれ変わったのであるが、これに合わせて、品川方面から羽田に向かう「快特」、横浜方面から羽田に向かう「エアポート急行」の所要時間が短縮されるとともに、本数も倍増されて約10分に1本の割合となったのである。高架になったということは、以前は28箇所あった踏切が無くなったということであり、踏切事故が無いという安全面、それがダイヤに影響を与えないという安心面の効果もある。
 京急は10年に一度、コーポレート・スローガンを変えている。現在のそれは「あんしんを羽ばたく力に-京急グループ-」である。“羽田”、“高架による安心”にもかかっている気がする。

 また、国が定めた7つの「国際戦略特区」のうちの2つ(「アジア・ヘッド・クォーター」(品川~田町)、「京浜臨海部ライフイノベーション」(殿町))が京急エリアであり、この地域での事業の拡大も大いに期待される。

▼忘れない視座、足元からの「街づくり」
 しかし、私がもう一つ評価、強調したいのは、京急の沿線街づくり、生活環境づくりの姿勢である。バブル期に鉄道各社はマンション建設を加速させたことがあったが、京急はそうではなかった。この点を当時のアナリストは叩いたのであるが、結果的に京急の無理の無い不動産事業は他社がその後苦しんだことを考えれば正解であったといえる。
 この1年間の沿線街づくりに関する日経新聞の記事データを調べてみたが、京急が一番多かった。羽田、品川という現在の最重要テーマとともに、きちんと京急は沿線の街づくり、生活環境づくりを怠っていない。
 例を挙げよう。「黄金町の高架下に多目的施設を完成。『芸術の街黄金町』の黄金町バザールの会場に」、「京急百貨店でおせち料理の受付け開始。地元かながわの食材を使った店も」、「トリプルタワーマンション『リヴァリエ』第2棟目が建設着工。今度は『音楽のまちかわさき』に因んだ施設も」など。その他にも、高架下の保育所の話題や、「大人のふりかけミニ(京急限定バージョン)」、「京急路線バス『トミカ』(三浦半島を走るバスバージョン)」、子供の熱中症対策に「京急ペットボトルホルダー」などなど、決して商業ベースで行っているとは思えないものも中には含まれる。。。

 また、12月よりHPで動画配信サービス(京急動画情報)を開始している。観光情報や懐かしい電車などが見られる。
 この京急動画情報の他に、「京急まちWeb」というサイトがある。こちらは沿線の楽しくお得な情報等が満載で、利用価値が非常に高い。サイトの運営は大変だと思われるが、京急が街づくりに真剣に取り組んでいることが分かる素晴らしいサイトだ。
 京急の過去2回のスローガンは「新しい出会いに夢のせて」、「めざす未来へ、ふれあい京急」である。コーポレート・スローガンは変わったからといって、決して過去のものが無くなるわけではない。それは、ずっと生き続ける。そのことを京急は分かっている。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 鉄道を単なる「A地点からB地点への移動手段」と機械的にらえると、スピードとコストだけの話になるでしょう。しかし、A地点とB地点はどんな街なのか、どんな目的で行くのか、またはどんな暮らしができるのか・・・というイメージが豊かに広がっていくと、他には代えられない沿線の価値=企業の価値にもつながっていくと思います。

 ちょっと話はずれてしまうのですが、「今日の1社担当」のわたくしは「公共交通機関」って好きなんです。
 公共交通機関は、お金を払っても自分だけのものではないですから、自家用車と違って自分だけの都合では動きません。席は譲り合うことが大切です。でも、そんな「みんなでシェアする」公共交通機関の精神が特にこれからは非常に大切なのでは、と思うのです。

 みんなで分け合うからお財布の小銭で遠くまで行けるし、みんなが集まる。
 みんなが集まるからいろいろなお店ができるし、楽しくて便利な街ができる。
 自分だけのものではないから、いつも誰かのために動き続けている。

 「いつも誰かが集まるところ」は街の核になりますし、取材後記にもある「街づくり」の視座は本当に大切だと思いますね。

 さて、放送でも告知しましたとおり、京浜急行電鉄は2月23日(土)の「ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催 企業IR&個人投資家応援イベント」に協賛いただいています!
 今回は福岡市での開催ですので、九州地区のリスナーの皆様、どうぞご参加くださいっ!

(関連リンク集)
■京浜急行電鉄 IR情報
■京浜急行電鉄IRニュース ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催の個人投資家向け説明会に参加します。
■京急動画情報
■京急まちWeb
■ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催 企業IR&個人投資家応援イベントin博多イベントページ


総務部長 渡辺静義様と。