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「めっき」というと、どのようなものを想像されるでしょうか?多くの方は宝飾品などの「金めっき」が頭に浮かぶのではないかと思います。
 今回ご紹介する荏原ユージライト(10月1日よりJCUに商号変更、4975)は、めっき加工を行うための表面処理薬品と機器を提供しているメーカーです。同社の製品よって加工が施されている商品は、自動車、建材、水栓金具、電子部品、半導体など大変幅広く、世界のテクノロジーを支える企業なのです♪

 そんな荏原ユージライト(JCU)の強みを探るべく、代表取締役会長兼CEO 粕谷佳允様に井上哲男が直撃した取材後記をお届けします!

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取材後記
荏原ユージライト(4975)(東証1部)
 ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役会長兼CEOの粕谷佳允さま。

 「伝説のMBO企業」

▼価値ある上方修正
 またもやキラリと光る技術と業績を兼ね備えた企業にご出演頂いた。荏原ユージライト(10/1より社名を「JCU」に変更予定)だ。

 8/3に第1四半期の業績を踏まえて今期の上方修正を行った。私が、先々週末時点で計測したところ、3500社を超える全上場企業中、今期の純利益の上方修正を発表した企業数は255社で全体の7.2%程度、一方で下方修正を発表した企業数は300社で全体の8.5%であった。
 14社に1社しか上方修正していないのだから、このこと自体、素晴らしいのであるが、これが、同社が所属する化学業種について見てみると、さらにこれが“とても価値のある上方修正”であることが分かる。化学全210社中、上方修正はたったの6社(赤字幅縮小の1社を除く)、率にして2.8%にまで低下する。(因みに、下方修正は19社、9.0%と全体よりも高い。)この貴重な1社が荏原ユージライトなのである。

▼世界のスマホを支える技術
 薬品事業、装置事業、その他の事業、いずれもメッキに関わる業務を主とする同社の業績がなぜ好調なのか?その鍵はやはり、スマホにおける配電板の高密度化、薄板化にあった。
 積み重ねられたプリント配電板を「ビルドアップ基板」と呼ぶが、この基板の製法が従前の「スタック構造」から「エニーレイヤー構造」に変わっていっている。コストが削減でき、何よりも薄板化が図れるからである。この「エニーレイヤー構造」において各層間を接続するホールを電気伝導性の高い金属で充填する必要があり、これにフィリング(メッキ)薬品が使われる。同社のこのフィリング薬品の世界シェアは50%(以上)。サムスンやi-phoneにも使われている。

 メッキ薬品というと、同業の日本高純度(4973)、石原薬品(4462)、上村工業(4966)の名前も挙げられるが、リーマン・ショック前の最高売上高、最高3利益を更新できているのは荏原ユージライトしかない。2011年3月期に更新し、今期は更にそれを伸ばす見込みだ。
 スマホにおける電子部品、配電盤の高密度化、薄板化に対応できた企業として、以前に日進工具(6157)を紹介した。超硬切削工具他社との比較で、やはり、リーマン・ショック前の最高売上高の更新が今期唯一見込まれている点も同じである。
 メーカーの元気度を測るメルクマークがリーマン・ショック前の売上高であることがお分かり頂けると思う。

▼「第2のユージライトを探せ!」
 話は変わるが、同社はMBOファンドやベンチャー・キャピタル・ファンドの中で、MBOの大成功例として有名である。「第2のユージライトを探せ!」という言葉を聞いたことがある。企業小説が書けそうなこのMBOについて、ロング・インタビューで会長が語られているので是非お聴き頂きたい。

 今期も企業を取り巻く環境は厳しく、業績面でも冒頭で触れたように、上方修正率が低い状態が続いているが、「アサザイ」は今日の荏原ユージライトさんで、12社をご紹介したことになるが、このうち5社が3利益項目のいずれかで上方修正を行っている。出演して頂いた企業さんにも、また、その企業をご紹介頂いているプロネクサスにも感謝、感謝である。(了)
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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?
 文中で触れられている荏原ユージライト(JCO)のMBOについては、是非押さえておきたいポイントです。ロング・インタビューは後日オンデマンドにアップされますので、要チェックです♪


 「スマホの中身は日本のメーカーが支えている」という話はメディア等でよく聞きますが、まさにその好事例ですね!
 最近私もスマホに変えたのですが、コンパクトサイズに高機能が詰まって大変便利です。最終的にこの形で完成するまでに、同社も含めてどれだけの方の力が結集されたのでしょうか。「知られざる英雄たち」の努力を思うと、胸が熱くなりました・・・。

<関連リンク集>
■荏原ユージライト 投資家情報
■荏原ユージライト 会長メッセージ 「株式会社JCU」に社名変更するにあたって
■8月3日開示 平成25年3月期第1四半期決算短信
■8月3日開示 業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ
■9月21日開示 配当予想の修正(記念配当)に関するお知らせ