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皆さん、100円ショップ「meets.」「シルク」をご存知でしょうか?
 事前予告でもお伝えしました通り、9月5日放送の「今日の1社」では、これらを全国展開する株式会社ワッツ(2735・JQS)の平岡社長にお越しいただきました!

 100円ショップといえば、「バリューの高い商品を安く」提供してくれる生活の味方。
それを運営するワッツの優れたバリュエーションを、今回も井上哲男が解析します!

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取材後記
ワッツ(2735)(JASDAQ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は平岡史生代表取締役社長。

「サブ・セクター分類の重要性」

▼際立つバリュエーション
 「あれっ?井上さんが、また「ワッツ」取り上げてる!」と思われたリスナーの方もいらっしゃったかもしれない。事実、この1ヶ月半の間に、私は2度この銘柄を雑誌で紹介している。それぞれ、雑誌社から与えられたテーマを私のバリュエーション・モデルで測定したところ、何れも優秀な数字となったがゆえであるが、その根拠に加えて、業界比較もしてみたい。

 「100円ショップ」の大手は4社。非上場のダイソーがトップで、2位がセリア(2782:JASDAQ)、3位がキャンドゥ(2698:東証1部)、そして4位がワッツ(2735:JASDAQ)である。同業が3社上場していれば、なかなか面白い比較ができる。
まずは、「100円ショップ」VS「他の小売業」である。これにより、100円ショップがここ3年間堅調に売上・収益を伸ばしてきたことが分かるが、さらに期間を長く、10年間の決算を分析してみると、何もこの3年間だけでなく、ずっと前から、他の小売業に比べて収益にブレが小さく、安定的な成長を遂げてきたのだということが分かる。

 そして、続いて「100円ショップ」内での比較を行うと、ワッツのバリュエーションの高さが際立ってくる。他の2社もここ3年間、営業利益、純利益を伸ばしており立派な数字であるが、ワッツについては両利益の伸びが6年間続いている。また、売上高/営業利益率も9年間3%台で安定的に推移したのち、2011年8月期(同社は8月決算であるため、2012年8月期の決算発表はまだ行われていない)に4.8%にまでその数字を押し上げている。この10年間で同数値が2%以下に一度も落ちなかったのは同社だけである。

▼配当の本質「DOE」
 また、多くの企業が経営目標の一つに掲げるROEは23.4%と小売業のトップクラスだが、ROEが20%以上となったのが、この10年間で4回もあり、最低の年でも13.8%を叩き出している。因みにセリアは20%以上を出したのが10年間で今年3月の1度だけであり、キャンドゥについては、最高の年が13.2%とワッツの最低の年を下回っている。

 そして、“配当の本質である”とこの番組で言い続けているDOE(ROE×配当性向)については3.6%と高い数値となっており、直近決算ベース(比較可能な上場全社、3400社程度中)で270位台となっている。ワッツの素晴らしいところは、単年だけでなく、非常に安定的に高い数字を維持しているということだ。このDOEについても、この10年間で5回も3%以上の数字を出している。セリアも3回出しているがここ6年間は出していない。また、(再度引き合いに出して申し訳ないが)キャンドゥは3%台を一度も出していない。

▼求められる「サブ・セクター」の視点
 ここで一つ不思議なことがある。それは証券会社や調査機関のうち、100円ショップでモニタリングしているのがセリア1社であり、それが4社もあるということである。
恐らく、小売業のアナリストがモニタリングしている数社の一つにセリアを加えているものと思われる。それらの銘柄の向こう2年程度の売上げと利益の見込みを出し、EPSを算出したうえで業界平均PERをもとに目標株価を計算するというありふれたやり方で。。。

 それよりも、まずは100円ショップ、医薬品販売、百貨店などのサブ・セクター分類を施してその比較を行ったうえで銘柄をピックアップするという手法を採って欲しいと思う。そうすれば100円ショップ業界の3社は何れもモニタリングする価値のあることが分かると思う。ここでキャンドゥのことを色々と書いたが、同社も小売他社の比較では決して劣っておらず、昨年11月期の決算はとても優秀な数字を弾き出している。

 以前、日進工具の際に、同業の東証1部3社との比較を行ったが、大切なことはこのようなサブ・セクター分類内での比較を行い、そしてそのサブ・セクター全体の動向が「機械」、「小売」などの東証33業種分類の中ではどうなっているかを探ることなのである。

 なぜか?それは、TOPIXを対象、日経平均を対象としたロングオンリー(買いだけ)ファンドは世界中でそれぞれ12~13兆円、2~3兆円あると言われているが、それ以外の日本株を投資対象とした多くのファンドはロング・ショート戦略、またはマーケット・ニュートラル戦略というストラテジーを採っているからである。つまり、多くの買いと多くの空売りを組み合わせるのである。業種リスクを取りたくないファンドはその業種内で買いと売りを組み合わせる。「この業種内では、どのサブ・セクターが買いなのか、また、そのサブ・セクター内ではどの銘柄が魅力的なのか?」常に、その視点が必要な理由はこのことに尽きる。(了)

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 ん~なるほど、「サブ・セクター」の視点を持ってこそ、バリュエーションの高い企業が正確に把握できるということですね♪ これは他の企業や業種にも当てはまることでしょう。

 好みやライフスタイルの違いがあるのはもちろんですが、経営が優れている小売業の店舗は、魅力的であることが多いように思います。そろそろハロウィンの衣装や飾り付けでも、ワッツの100円ショップで探してみようかな? と思いました~。

 なお、番組中で井上哲男が高く評価していたワッツのIRサイト、以下にリンクしておきますので、どうぞご参照ください♪

<関連リンク集>
■ワッツ IRサイト
■2011年8月期 決算説明会資料
■2012年7月12日付開示 2012年8月期 第3四半期決算短信


代表取締役社長 平岡史生様と