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8月29日放送「アサザイ 今日の1社」では、チャーム・ケア・コーポレーション(6062・JQS) 代表取締役社長の下村隆彦様にご登場いただきました!

■チャーム・ケア・コーポレーション ウェブサイト

投資をする際、ニュースのヘッドラインや決算短信の1ページ目に出てくるような数値の増減だけでは、その企業の正確な評価ができないことがありますね。
 今回の取材後記では、インタビューでも取り上げられた同社特有の収益構造について井上哲男が明快に整理していますので、オンデマンド放送とあわせてお読みいただければと思います♪

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取材後記
「社長の名刺」
チャーム・ケア・コーポレーション(6062)(JASDAQ)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は下村隆彦代表取締役社長

▼上場後初の本決算
 関西を地盤として介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームを経営してきた同社が上場したのが今年の4/27。まだ4ヶ月しか経過しておらず、上場して数年経つ同業社と同じ土俵でバリュエーションを比較するのは、同社に対してやや酷な印象を受ける。

 老人ホーム事業を始めてこれまでの8期、着実に売上げを伸ばしてきた。この6月期には4,394百万円と前期比伸び率10%を達成し、今期はさらに21%増の5,330百万円を見込む。具体的には、前期の新規開設が2ホーム、99室であったのに対して、今期は3ホーム、206室を予定しており、これにより総室数は1183室と1000を超える。
 一方で、今期の利益については営業利益が639百万円で前期比横バイ、経常利益、純利益については、22百万円~27百万円の小幅な減益を見込んでいる。決算発表時に、売上げの伸びに対して利益が今期追いつかない状況を指摘するコメントが情報端末に流れたが、全くの的外れだと思う。

▼特有の収益構造を読み解く
 上場間もない介護事業会社において、大切なのは「売上げの伸び」。その理由はこの業種特有の利益/費用構造にある。
 開設して丸1年が経過したホームの売上げを100とすると、原価が80程度かかり、売上総利益は20。ここから販管費が3程度かかるため、営業利益は17となる。開設して丸2年が経過するとこの販管費が1程度となり、営業利益は19と売上げのほぼ2割程度となり、以後はこの状態が続く。
 しかし、開設の年はこうはいかない。ホーム長は半年前に雇用し、全てのスタッフも開設1ヶ月前には揃えなくてはならない。また、入居も混乱を招かないように充分な対応を行うために、3ヶ月毎に徐々に入居してもらうという。つまり、売上げはゆっくりと伸びるのに対して、販管費は開設前からフルにかかるのである。そのため、1年目は売上げに対する販管費が35%程度にもなり、営業赤字となる。

 この利益/費用構造である以上、企業が目指すことは、前述のように売上高を伸ばすこと、そして、開設丸1年後の入居率を高めることの2つであるが、同社の入居率は96%と業界平均の86%を10%も上回る水準となっている。

▼念願の関東進出、100億円企業へ
 同社の目標は売上げ100億円企業。今はとにかく売上げと室数を増やし、1年目の営業赤字を過年度物件が充分に吸収できる状態にすることが肝要である。上場の際にも言われていた関東への進出であるが、2年後をメドに新宿・練馬・松戸で3ヶ所のホームが開設されることが、新聞で早くも発表された。関西よりも量的規制水準に達していない地域が多い関東での、貴重な足掛かりとなる物件である。

▼パブリックカンパニーの理念が照らす、社長の名刺
 インタビュー後に社長と話していて年齢を聞いて驚く。とてもその年齢には見えない。長年建設業を営まれて、悠々自適な老後も考えていたときに、有料老人ホーム事業をしようと決心したという。
社会的ニーズがあり、社会的に善であることをする会社を残したい。作るからには上場してパブリック・カンパニーとして信用力を高めて次の世代につなげたいという気持ちでここまでやってきたことが、ひしと伝わってきた。この人は自分のために上場を果たしたのでは決してない。

会社の説明資料に、いずれも「C」から始まる「チャーム」「ケア」「コーポレーション」それぞれの単語になぞり、企業理念が書かれている。赤、黄、緑、ピンクが配色されたロゴ・マークも、社長のイメージと違い(失礼!)とても可愛い。
ここに社長から頂いた名刺がある。JASDAQのマークだけがよく見ると緑色だが、それ以外は黒単色の非常にシンプルな名刺で、裏面には何も書かれていない片面印刷である。

同社のホームの価格は年金で払える月額利用料を基本に、地域特性に応じて柔軟に設定している。そして、徹底した社内のコスト管理は行うが、室数の多いホームの夜勤の人員などは今年も見直しを行い、大手よりも手厚い介護ができる体制に増員したという。
この名刺は、それを体現していると思う。白黒のロゴは、カラーのそれと同じように、いや、それ以上に輝いている。(了)
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取材後記は、以上です。
表面的に出てくる数字の背景や自社特有の収益構造をきちんと説明していくこと、これはまさに重要なIRの姿勢ですね!
また今後の日本で大変重要な位置を占める「老後」に対し、理念を持って取り組む下村社長の姿勢は頼もしく感じました。

後記中にもある通り、今後関東進出も計画されていますので、より広範囲での知名度も徐々にアップしてくるのではないかと思います♪

次回の「今日の1社」もお楽しみに!


<関連リンク集>
■チャーム・ケア・コーポーレーション 当社の理念
■2012年8月9日開示 平成24年6月期 決算短信
■2012年6月期 機関投資家向け説明会資料・動画


下村社長と、ラジオNIKKEIスタジオにて