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本日8月22日放送の「アサザイ 今日の1社」は、トライステージ(2178)です!
代表取締役CEO 妹尾様に井上哲男がインタビューさせていただきました♪

■2012年7月13日開示 株主優待制度の新設に関するお知らせ
■トライステージIRサイト「株主優待制度のご案内」

トライステージは、このたび株主優待制度を導入したばかり。まずは2012年8月31日現在の株主名簿に記載または記録された1単元(100 株)以上を保有されている株主が対象となりますので、まだ間に合うんです♪
個人投資家の皆様にとって、やはり株主優待はひとつの検討要素かと思いますので、お知らせしておきたいと思います。

さて、今回の取材後記では、井上哲男が「バリュー」「グロース」の両面からトライステージを見つめました。まずはご一読ください!

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取材後記
トライステージ(2178)(東証マザーズ)

 【 糾(あざな)える縄 】
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。妹尾代表取締役CEO、櫻井経営管理部グループリーダー

▼「トータル・ソリューションサービス」と利益率
10年ほど前。サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの傍にある有名なヘッジファンド会社のファンド・マネージャーと話をした際に、そのマネージャーが「株式投資とはバリューとグロースの糾える縄のようなものだ」と言ったことを覚えている。

トライステージ。通信販売のサービス会社として急成長を遂げ、会社設立から僅か2年5ヶ月で東証マザーズに上場を果たしたのが2008年8月。上場前期(2008年2月期)の売上高199億円を3年後の2011年2月期には375億円にまで伸ばしたが、前期(2012年2月期)はその売上高が7%減少した。

同社は、通信販売でモノを売りたいクライアントのニーズに合わせて川上から川下まで全て面倒を見る。商品の企画開発を行い、テレビなどのメディア枠を買い、コールセンターで受注して商品の発送まで手掛ける。
「トータル・ソリューション・サービス」と自らが呼ぶこのやり方は、あくまでも顧客の利益が上がることが自らの利益に結びつくビジネス・モデルを目指したものだ。

前期の決算は期初に震災が起きて消費マインドが落ち込んだことに加えて、震災から数ヶ月でテレビの番組枠が逆に大きく値上がりしたことが影響した。高騰したテレビ枠のコストを顧客に転嫁して顧客に利益が生まれない状況を同社は敢えて避けたと私は考える。

当然、経常利益、純利益も減少したが、経常利益は19.9億円、純利益は11.5億円計上しており、それぞれの売上高に対する比率は5.7%、3.3%と決して後ろ指を差されるようなものではない。ひとつ覚えておいて欲しいことがある。それは「売上高/経常利益率=4%」という水準である。これは10年以上前、デフレが進行した際に日銀が好景気の水準としてはっきりと示したレベルであり、企業にとっても同じようにひとつの指標となるものである。

▼企業分析から見えるバリュー株の側面
そして、もうひとつお願いしたいことがある。それは、企業の所属する市場に関わらず企業分析は行って欲しいということである。同社が所属する東証マザーズについては(加重)平均PER、PBRなどを算出せず、投資家にデータを公表していない証券会社が多い。上場間もない企業が多く、これらの数字がブレやすいという理由である。
しかし、私は敢えて8/15現在のデータでこの数字を試算してみた。前期利益を用いた実績PER、今期会社予想利益に基づく予想PER、実績PBRの3つの数字はそれぞれ、東証1部が19.1倍、12.5倍、0.93倍、ジャスダックが16.8倍、12.0倍、1.44倍であるのに対して、東証マザーズは42.8倍、17.5倍、1.44倍と確かに割高感が強い。

しかし、同社の数字は、それぞれ、5.0倍、7.2倍、0.69倍であり、東証1部、ジャスダックのどの数字よりも割安なものとなっている。
また、配当利回りも実績・予想ともに2.65%で、これも東証1部、ジャスダックの実績・予想数字を上回っているが、加えて同社は7/13に、第2四半期時点(8月末)の株主に対してクオカードを株主優待として提供することを発表した。これを考慮すると、100株保有していた場合の実質的な配当利回りは3.95%とほぼ4%となる。
財務内容も極めて健全。資産項目を見ると、総資産113億円のうち現預金・短期売掛の流動資産が96%占め、株主(自己)資本比率は73%を超えている。そして、その株主資本が生み出した利益水準を示すROEは前期14.7%と二桁を維持しており、どこから見てもバリュー株のカテゴリーに分類されそうな水準だ。

しかし、グロース株は全般的に、投資家が初めに認識してしまった「グロース株」という出生届の効力は強く、なかなかバリュエーションで判断してもらえない傾向にあることも事実である。

▼「トライ・ネクスト・ステージ」で試されるグロース性
同社は今期からの3ヵ年中期経営計画を発表し、この下期からの業績回復を見込んでいる。WEBビジネス、商品を購入した顧客データによるクライアントのCRMビジネスのトータル・サポート、インドをその端とした国際ビジネスの展開という3つの事業が柱であるが、加えて新規ビジネスの売上高も2015年2月期に100億円見込んでいる。私が個人的に最も期待するのは最後の部分である。前述のように同社には潤沢な経営資本がある。

今回、妹尾CEOとはどのような人なのかとても興味があった。
そして、受けた印象は、とても正直な方である、というものだ。分からないことは分からないと言い、未知数のことには決して風呂敷を広げない。
しかし、“これだ”というビジネス・モデルに飛びつき、2年5ヶ月で上場を果たした人間を感じさせる部分が多々あった。それを果たした人間の嗅覚だけが嗅ぎつけることが出来る新規ビジネスはきっと存在する。
私はここでバリュエーションの割安な部分を書いてきたが、それでも思う。このCEOと同社株のグロース性を信じたい、と。

中期経営計画の進捗度を高めること。それが、「トライ・ネクスト・ステージ」。
そして、実現したときに同社の糾(あざな)える縄は、再度「グロース株」という色の糸を紡ぐ。(了)
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取材後記は、以上です。いかがでしたか?
「株式投資とはバリューとグロースの糾える縄のようなもの」・・・実に含蓄が深いですね。何となく分かったようなつもりでいたのですが、あらためて考え方が整理されたように思います。

また次回の「今日の1社」もお楽しみに!

<ご参考 関連リンク集>
■トライステージIRサイト
■2012年7月13日開示 株主優待制度の新設に関するお知らせ
■トライステージIRサイト「株主優待制度のご案内」