4月11日の「アサザイ 今日の1社」は、和弘食品(2813)を放送しました。 [「今日の1社」取材後記] [朝イチマーケットスクエア 「アサザイ」]
2018/04/11(水) 11:42

 4月11日の「アサザイ 今日の1社」は、和弘食品(2813、東証JQS)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 和山 明弘 様にお越し頂きまして、事業内容・沿革・強み・成長戦略等について詳しくお話を伺いました。

 同社は、北海道の新鮮な食材をもとに、スープ、たれ、天然エキス・ブイヨンを、数々の食品メーカーやホテル、レストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等に納めている業務用調味料の専門メーカーです。

 その味は、日本全国はもとより海外の人々にも広く浸透、特に米国ではラーメン専門店の数が3年ほど前の2百数十件から昨年は700店以上に増加、日本食レストランでラーメンを取り入れるところが急増するなど、大変なラーメンブームとなっています。

 同社においても、自社工場による生産・販売体制を構築し顧客の海外進出もサポートする等、ラーメン文化の育成に向けた取組みを進めています。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
和弘食品 (2813) (東証ジャスダック・スタンダード)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は、代表取締役社長の和山 明弘(かずやま あきひろ)様。

「今、そこにあるニーズの『再現力』」

▼ラーメン食堂の開業から、スープ専業メーカーとして歩み始める
 北海道、小樽市に本社を構える同社は、「北海道から全国へ、『おいしい』をお届けする」を標榜する、スープ、たれ、天然エキスなどの業務用調味料の専門メーカーである。

 その沿革は、創業者(現社長の父)が小樽市で、1956年に「福来軒」というラーメン食堂を開業したことにまで遡る。この福来軒が小樽市内に3店舗、一時は札幌ススキノに出店するほどの大繁盛店となり、さらに利益の拡大を考え、自家製麺を始めたのであるが、自分の店舗で使う麺は1時間程で出来上がるため、その他の時間を使ってできる生麺にスープを付けて販売するため、1964年に生麺の製造販売、並びに各種スープの製造販売を目的として、和弘食品を設立したのである。

 その後、本格的なスープ専業メーカーとして歩みを始めるために生麺の製造販売から撤退し、事業規模の拡大とともに、(現在に至る)同社の強みのひとつである「多品種小ロット生産」を確立する為、本社工場の新築、拡大、茨城県での新工場建設などを行い、また、天然エキス抽出技術の独自開発に取り組んだ結果、調味料メーカーとして高い評価を築くことに成功し、1989年、店頭市場に株式を公開した。

 会社としての知名度は、最終消費者の間で高くないと思われるが、それはBtoB営業が基本であるがゆえのこと。有名なラーメンチェーン、焼肉店、居酒屋などの外食企業や、コンビニエンスストア、食品メーカーなど幅広い顧客層を誇っている。また、1995年に現日清オイリオグループと資本・業務提携を行い、オイリオの油、和弘食品の業務用調味料をセットで営業することにより、その葉販売先の拡充も果たしている。

▼和弘食品の強み
 放送の中で、社長は同社の「強み」を分かり易い言葉で語られたが、会社資料の中では、それを細分化して説明している。

 その筆頭は「味の再現力」。
 同社には、自慢の3つの製造設備がある。その3つとは、鶏や豚などのガラ、海産物や野菜などを直火で焼くことができる「焼成機」、素材を釜で炊き出す「炊き出し釜」、素材を直火で加熱する、つまり"直火調理"を再現することができる「直火釜」である。

 この自慢の設備により、さまざまなラーメンスープ、つけ麺のタレ、どんぶりものや焼鳥、焼肉、ウナギのタレなど、他社の真似できない「お客様の求める味の再現」、「満足度の高さ」が生み出されている。

 そして、「北海道ブランド」として、その名のとおり、スープ、タレには新鮮な北海道原料をふんだんに使用している。北海道沿岸で獲れた甘エビ、知床鶏や新鮮野菜などの『うまみ』を凝縮した「だし」、北海道の羅臼昆布や利尻昆布、オホーツク産のホタテなどから抽出した「天然のエキス」など、同社の味作りのベースとなっているのは、これら北海道の食材から抽出される「だし」と「天然エキス」である。

 また、営業展開については、「小ロット生産対応」、「スピーディーな対応力」、「提案型営業」が挙げられる。
 オーダーメイドの注文を、他社は大体500㎏からしか対応しないところを、同社は200㎏から注文を受けている。これは、弁当、総菜、調理麺などの商品がすぐに入れ替わるコンビニエンスストアに代表される「最終顧客の急速に変化するニーズ」への対応力であり、そのニーズがさらに高まっている影響で、他社からの切り替えが非常に増えているという。

 同社は、「味作りはスピードが勝負」と考え、顧客から頂いた依頼や要望に対する1回目の試作品を1週間以内に開発している。無論、1回目の試作で製品が決定することもあるが、その後、顧客を試食を交えてイメージされている味を作り込んでいき、味が完成したのち、(自慢の)設備で製造し、2週間以内という短期で納品するという。ライバル企業の多くの納期が「1ヶ月以内」と考えると、この、これまで築き上げてきたものの総合力といえる「お客様をお待たせしないスピード対応」も大きな強みである。

 同社のプレゼンルームはプライベートキッチンでもあり、この場所を活かした「提案型営業」も行っている。ここは、顧客の依頼のあった味の再現のための場でもあるのはもちろんのこと、スタッフはイチオシの製品をはじめ、新製品や季節メニュー、イベントメニューなどの提案も行っている。また、顧客同士の情報交換の場としても提供しており、今後もこの「提案型営業」については今後も力を入れていきたいと考えている。

▼日本が誇る食ブランド、ラーメン文化の育成を目指す
 また、同社の現在、そして、これからを語る際に海外展開について触れなくてはならない。
 同社は2012年1月、今から6年程前にアメリカ、カリフォルニア州に現地法人「WAKOU USA」を設立したが、「WAKOU USA」は今から2年前に工場を完成させ、現地生産、販売を開始して、業績拡大の大きな柱となるべくアメリカ、カナダ、メキシコで市場開拓に取り組み、売上拡大、顧客獲得に注力している。

 少子高齢化、人口減少が急速に進んでしまう日本と違い、アメリカは人口が増えている国であり、食品市場もまた拡大していくことが予想される。カリフォルニア州に設立した理由は、実は州別の日本食レストランの軒数は、カリフォルニアがフロリダ、NYを抑えて最も多く、また、全米においてラーメン人気が高まっていることから、日本食レストランにおいて、お店のメニューにラーメンを取り入れるところが急増しているからである。

 「WAKOU USA」は、「日本が誇る食ブランド、ラーメンを世界へ」をスローガンに、昨年度から本格的な生産を開始し、北米でも珍しいタレ・スープ類の専門工場で、現地でも大変注目を浴びているが、日本の工場と変わらないサービスを可能にする最新の製造設備を導入している。また、東京支店にアジア圏向けの担当者を配置したことからも分かるように、今後、事業範囲を世界へと拡大し、海外売上が同社グループを支えるもう1つの大きな柱となるよう、注力していくという。

 今回、収録前の打合せで、私が「強み」について、「年間で1,000件以上のオリジナルな味づくりの依頼を受け、50年以上の歴史があり、結果、既にストックレシピが10万点以上もあるという、『豊富なストックレシピ』も財産ではないか?」と述べたところ、社長は全然興味を示さなかった。むしろ、否定的に「あまり関係ない」と言い切った。そして、その理由が収録を終えた時点でハッキリと分かった。

 同社にとって最も大切なこと、重きをおいていることは、「今そこにある、顧客の"新たな味に対するニーズ"への対応」だけなのである。それは決して、過去に作った「味」を引っ張り出してくることではなく、培った技術開発能力をもって、そのニーズに新たな気持ちで正面からぶつかり、「再現」し、「スピード」、「小ロット」対応も行い、顧客の満足度を高めることだけなのである。同業の中で、同社が相対的に高い成長性を維持している理由は、ただ、この1点なのだ。
 
 私は思う。この"姿勢"こそが、同社の何よりの「強み」である、と。
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取材後記は以上です、いかがでしたか?

本日の放送はオンデマンド配信にて早速アップされております。是非お聞きください。

それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
和弘食品 IRサイト
アサザイ(2018.4.11放送分)


代表取締役社長 和山 明弘さまと