日本の製造業は国際的な大きな状況変化を踏まえつつ、良質かつ最適な生産ライン構築する戦略を立てていかねばなりません。
9月18日放送の「アサザイ 今日の1社」では、そんな製造業をアウトソーシング事業で支援する、その名もアウトソーシング(2427・東証一部)をご紹介しました! 今回ご出演いただいたのは、代表取締役会長兼社長の土井春彦さま。同業界初の経団連会員として、業界のオピニオンリーダーとしても活躍されています。
放送とあわせまして、井上哲男の取材後記をどうぞお読みください♪
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取材後記
アウトソーシング(2427)(東証一部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役会長兼社長の土井春彦さま。
「真のアウトソーシング・パートナー」
▼リーマン・ショック後の戦略
"ツイッターのフォロワー"という言葉をよく耳にするが、このフォロワーの反対語が「オピニオン・リーダー」である。
昨年9月、私は自分が講演する訳ではないが、横浜のIRセミナーを聴きに行ったのであるが、その目的の一つが土井会長の話を聴くことであった。質問に対して一つずつ真摯に答える姿勢、語っていることを聴いて思った。「やはり、この業界のオピニオン・リーダーはこの人なのだ」と。
アウトソーシング業を「総務省の産業3分類における『職業紹介業』、『労働者派遣業』」と定義すると、アウトソーシング業として上場している会社は35社を数える。この業種から初めて経団連の会員として雇用委員会や労働法規委員会の委員を務めた土井会長は、この番組においてもそうであったが、持ち時間一杯を使って自分の会社をアピールするのではなく、業界の歩み、リーマン・ショック後の変遷、遵守されるべき法律に基づき業種全体として確立されなくてはいけないことを話すことに時間を費やす。それによると、メーカー・ニーズはリーマン・ショックにより大きく変化したという。拡大路線のもと、複数のアウトソーシング業とつき合うことによって人数の確保に重きを置いていた時代から、企業の再編、海外への生産ライン移管といったニーズに応えられる"真のアウトソーシング・パートナー"を求めている時代になったのだと。
同社はリーマン・ショック後の業界全体の勢いが一時的に弱まった際にも、「この状態をチャンスと捉えて研究開発に力を入れる。他社のように"縮小均衡"を求めることはしない。」という主旨のメッセージを送り続けていた。会長自身が言われたように、B/Sで重い資産の存在しない業界において、一見メーカー用語に映る「研究開発」は、人材、システム、そしてメーカー・ニーズの研究とその対応であった。そして、それが、この3年間で果実を生んでいることが数字からもよく分かる。番組でも紹介したが、日経のデータベース(QUICK)に基づく前期までのROE3期平均は15.78%。これは3500社余りある全上場企業中287位、これに配当性向の3期平均を掛け合わせた"真の配当性向DOE"は4.77%で135位という高位になる。
▼日本の製造業を、支える
もう一つ、強く感じたことがある。それは会長自身が、「日本の製造業」というものに強く愛情を持っているのだということである。業種別のセグメントは自動車が30%、電気機器が20%、化学が11%、金融が9%、IT関連が7%、食料品が5%、その他が20%と非常にバランス良く映るが、これについても「環境変化(メーカー・ニーズ)に対応した結果でしかない」と言った。そして、力を入れたい業種として、やはり「自動車」を挙げた。「日本に最後まで生産ラインを残せるのはこの業種だと思う」という主旨の話もされた。
同社は現在、新事業分野の拡大として「建築施工管理技術」、「IT、通信インフラ」、「電気製品アフターサービス事業」を掲げていることは確かであるが、ここも同社株が賑わう際に、建設業に対する取り組みばかりが材料視される傾向にあることに、私は少し違和感を覚える。この会社の経営理念にある「ものづくり日本の発展と明るく豊かな社会の実現」はこの会社のDNAであり、それが製造業オリエンテッドであるということを忘れないで欲しい。
▼海外で伸びる、真のアウトソーシング・パートナー
海外進出もそうである。現在、製造業は中国だけでなく、また、一部中国から移管する形で東南アジアへの進出ピッチを早めている。アジア6カ国に19の拠点を持つOSインターナショナルをM&Aによって傘下に収めたのは、これに対応するためである。これにより、ライセンスの取得という大きな問題を速やかにクリアするとともに、これまでの日本式の管理体制を構築することによってメーカーに満足してもらえるバックアップ体制を作ることが出来る。「タイなどは既に人材が足りないケースが出ている。これについても、他国から人員を受け容れる、つまり、国を超えた流動性を確保できる形にまで体制を作りたい」と会長は語っていた。これも製造業オリエンテッドのDNAが言わせた言葉である。この海外売上比率は前期10.9%であったものが、今期は14.6%まで伸びる見込みである。カタリストが建設だけではないことがこの数字からもお分かり頂けると思う。また、「真のアウトソーシング・パートナーが求められている」という意味も、である。
番組の最後の「リスナーへのひとこと」で、私は会長に大変失礼ながら録り直しをお願いした。しかし、初めに語られたことをここで書きたいと思う。それは、「派遣切り」という言葉を生んだのは自分達の業界であることのお詫びと、そのため、これからも業界としてコンプライアンス体制の強化に努め、メーカーからも投資家からも信頼される業界にならなくてはならないということであった。やはり、この人がオピニオン・リーダーである。(了)
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取材後記は、以上です。いかがでしたか?
経営者は物事を俯瞰的に見る眼を求められますが、それが自社とその周辺だけでなく、業界全体を見渡せる方が「オピニオン・リーダー」と呼ばれるのですね~。これまでに名を残してきた著名な経営者の多くは、そんな広い視点、「イーグル・アイ」を持っていたように思います。
今後も日本の製造業を取り巻く環境は大きく変化し、それに伴って製造ラインのニーズも多様化してくることでしょう。アウトソーシングの活躍の場は、まだまだ広がる余地があるのではないでしょうか?
また来週の「今日の1社」もお楽しみにっ!
■アウトソーシング 株主・投資家向け情報
■2013年2月23日 ラジオNIKKEI&PRONEXUS共催 企業IR&個人投資家応援イベントin福岡 オンデマンド放送
代表取締役会長兼社長 土井春彦さまと。本番組アシスタントの長野静も同席しました。