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企業に会計があるように、自治体にも会計があります。地方債などにも投資されている方は、発行団体の財政状況をご覧になったことがあるのではないでしょうか? 近年、地方自治体の財政健全化を目的として総務省が公会計制度の改革を進めており、各自治体が対応を迫られている状況があります。
 7月31日放送の「アサザイ 今日の1社」では、自治体の財務会計システムで高いシェアを有する、ジャパンシステム(9758・JASDAQスタンダード)をご紹介しました!今回は代表取締役社長の阪口正坦さまにお越しいただきまして、井上哲男がインタビューをさせていただきました。

 恒例の取材後記が井上哲男から届いていますので、どうぞお読みくださいっ!

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取材後記

ジャパンシステム(9758)(東証ジャスダック・スタンダード)

ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は代表取締役社長の阪口正坦さま。

 

「身の丈(たけ)を知り、『勝つ』」

 

▼証券コードから見える歴史
 設立は1969年、44年の歴史を持つ。「ジャパンシステム」という社名をまずは考えて欲しい。ありきたりの社名のように一瞬映るかもしれないが、とんでもない。この名前をつけることが出来たということは、どのくらい歴史のある会社かということである。システムの会社を作るとしたら、誰もがつけたい社名だ。

 上場は1988年、今年上場25周年を迎える。次は証券コードを見て欲しい。9758と9000番台の後半は当時「サービス」のコードで、IT系のサービス会社が入れられ、その後、番号が埋まった後に上場したIT関連は3600番台以降に入れられていった。皆がコードを知っているソフトバンクのコードは9984、ちょうどその時期である。

 10年前の2002年末というと、ITバブルが弾けた後であったが、実はこの時に「情報通信業」は19社しかなかった。多くのIT関連企業は同社と同じく「サービス業」に属しており、それさえも嫌ったソフトバンクは「卸売業」にいた。その後、東証の指導もあり、IT関連セグメントの大きい企業は「情報通信業」に業種替えを行い今に至るのであるが、コードと業種で、ある程度その会社の上場時期を推測するのは実は私の密かな楽しみである。

 

▼収益率を高め、売上を伸ばす
 ジャパンシステム。このような歴史のある会社であるが、冒頭社長は、その44年の歴史を打ち破り、脱皮、脱却する意識を強く述べた。リーマンショック後の厳しい時期に社長に就任し、3本柱である「ソリューション事業」、「システム開発事業」、「公共・自治体システム事業」をそれまでの偏りのある比率から、何れも33%と均衡が取れるよう方向性を示したという。また、拘ったのは「3つの『P』」、ピープル(人財)、プロセス(過程)、そしてプロフィット(利益)。特に最後のプロフィット(利益)を意識したことが奏功し、11年12月期には最終利益で最高益を記録。今期の利益率の見込みも、営業利益率7.65%、経常利益率7.65%、最終利益率7.04%とソフトウェア業界では高い水準となっている。

 因みに、営業利益率、経常利益率が同レベルであったのは、利益項目がすべてそれまでの最高を更新した07年3月期であるが、この際の売上高は113億円。今期については81億円でこれをクリアする見込みである。そして、この07年3月期の最終利益率が3.65%であるのに対して、今期は前述のように7.04%。

 この高い利益率をもって、現在「リーチ フォー 150」を掲げている。これは売上高を現在のほぼ倍である150億円まで拡大し、ITサービス会社として150位内を目指すというものである。収益率の改善、そして、売上高の向上という手順がきちんと踏まれている。

▼"身の丈(たけ)"を知る経営

 この会社に感じることは"身の丈(たけ)"を充分に理解して社業を進めているということである。自治体向けのシステム事業も全国の人口50万人以下の800自治体をターゲットとしており、そのニーズに合わせた、コンサルティングまでもカバーしたシステムの導入に成功しており、納入自治体数は250まで拡大しているが、ソフトウェア業界において最大手グループの一角を除いて成功している会社は、それぞれ、攻めるセグメント、販売先を独自に定めてその"身の丈(たけ)"で勝負してきた会社が多い。

 技術畑をずっと歩んできた社長であるが、経営のバランス感覚の取り方がとてもうまい印象を持った。また、この社長が150億円という数字を挙げるからには、次の策がきちんと頭に描かれているのでないかとも思う。それは先日発表したクラウドなのかどうかは分からないが、今期、来期と同社のニュースと四半期決算を、期待を込めてきちんと追っていこうと思う。(了)

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 取材後記は、以上です。いかがでしたか?

 冒頭に出てきた証券コードの話は、投資家の皆様にはたいへん身近なものではないでしょうか。末尾2ケタが「01」である業界の代表的企業を「01(ゼロイチ)銘柄」と呼ぶなど、証券コードから見えてくることがいろいろありますね♪

 情報・通信セクターで44年ですから、ジャパンシステムはたいへん歴史ある会社です。変化の大きい業界で歴史を積み重ねてきたということは、「古い」のではなく、「長い間、新しくありつづけた」ということではないでしょうか?
 この歴史をさらに打ち破っていくという、同社の今後に注目したいと思います!

(関連リンク集)
■ジャパンシステム IR情報
■ジャパンシステム 2012年12月期 業績説明資料
 ※末尾で中期経営計画「リーチ フォー 150」について説明されています。 

代表取締役社長 阪口正坦さまと。
代表取締役社長 阪口正坦さまと。