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 3月2日 の「アサザイスペシャルウィーク」 2日目はファンペップ(4881・東証マザーズ)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 三好 稔美様にお越しいただき、会社の自己紹介 優位性 業界動向と開発ターゲット等についてお話を伺いました。

 同社は、主に医薬品を開発する(いわゆる)研究開発型の医薬品開発ベンチャーです。
 主な開発品として、褥瘡など慢性化する皮膚潰瘍治療薬や抗体医薬品の代わりとなり得るペプチド医薬品を手掛けています。

 医薬品開発は10年以上の期間、0.1%未満の成功確率ととてもリスクの高い事業です。このリスクを回避するには、開発品の数を増やしリスク分散させること、効率的な研究開発を行うことが必要になります。同社のペプチドによる創薬技術はこの2つを達成することができる技術です。また社会問題になっている医療の高額化は医療課題においても、同社の開発品はこの問題解決にも一助となり得るものになります。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
ファンペップ(4881)(東証マザーズ)
ラジオNIKKEIにて収録
お相手は、代表取締役社長の 三好 稔美(みよし としみ)様

「Unmet Medical Needs」

▼「ペプチド」で医療を変えることを目指す
 昨年、2020年12月25日に上場された同社は、医薬品開発ベンチャーの企業であり、社名に冠しているように「ペプチド」で医療を変えることを目指している。大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で2013年10月に会社が設立されたという沿革を持つ。

 同社の「抗体誘導ペプチド(プロジェクト)」について述べる前に、まずは「抗体医薬品」について説明しなくてはならない。
 「抗体医薬品」は、病気の原因となる標的タンパク質であるターゲット以外には作用しない、つまりターゲットに対して高い特異性を持つという特性から治療効果が大きく、また副作用が少ないという優れた医薬品ではあるが、一方で難点もある。それは高分子であるため製造費が高く、薬剤費が高価で患者の経済的負担が大きく、無論、高額医療が財政にも影響を及ぼしているという点だ。

 このことは、世界の医薬品売上からも分かる。2019年の世界医薬品別売上高の上位10製品のうち5製品がこの「抗体医薬品」であり、抗体医薬品全体の市場規模は世界で1,500億ドル程度にまで拡大している。高額でも病気に対してとてもよく効くため、重要な医薬品となっているのだ。

 一方で、同社の「抗体誘導ペプチド」は、抗体医薬品と同様の作用を示す抗体を、生体内に備わる免疫システムで作らせるペプチドである。感染症予防に用いるワクチンと同様で、生体内反応を利用するわけであるが、抗体誘導ペプチドは化学合成が可能なペプチドで、(高分子と違い)少ない分子で抗体医薬品と同様の抗体を作らせることができる。

 この"化学合成が可能な少ない分子"が、製造コストを大きく下げることを可能とし、また作用の持続性も確認されていることから、慢性疾患に対して服用回数が少なくて済むという大きな利点がある。この製造費と服用回数の低減というダブルの効果により医療費が下がり、患者の経済的負担、医療財政の負担が小さくて済むことに繋がる。

▼「研究開発」で見出した2つのペプチド
 同社が行っていることは「研究開発」のひとことに尽きる。大阪大学で見出されたヒト由来抗菌(「ペプチドAG30」)を出発点として医薬品として適切なペプチドの研究開発を行っているが、生産や営業体制を持たず、また受託ビジネスとしてではなく、自社で開発品を見出し、製薬会社へ導出することから、高い契約金を獲得できるビジネスモデルと言える。

 この「ペプチドAG30」から始まった研究で、現在まで見出した有益なペプチドは2つで、その1つ「SR-0379」は、治療が困難で慢性化する皮膚潰瘍(褥瘡など)の皮膚潰瘍治療薬として開発が進められ、現在、臨床試験最終段階に至っている。

 そしてもう1つが、冒頭に述べた抗体医薬品を代替できる抗体誘導ペプチド関連の医薬品候補を生み出す可能性を秘めた「AJP001」と呼ばれるペプチドである。この、生体内で抗体の産生を促す作用を有しているペプチドが、いずれ製品化されている抗体医薬品と同じ抗体を産生する医薬品候補を生み出すという大きな夢を内包している。

▼ファンペップの持つ強み
 同社の持つ「強み」は、抗体誘導ペプチドそのものが持つ強みであると考えることができる。それは、「効率的な医薬品開発が可能」ということだ。具体的には、体の中で抗体医薬品と同じ効果の抗体が作られているかどうかを確認するだけで、効果の予測ができるということである。そのため、通常の医薬品開発では、3段階ある臨床試験の第2段階目の結果以降でしかそれは分からないが、抗体誘導ペプチドは、第1段階目で(目的とした)抗体の有無を確認し、効果の予測をつけることができる。

 医薬品開発は10年以上の期間をかけても成功確率は0.1%未満で、その開発費用も数千億円に上るリスクの高い事業と言われている。また、新規医薬品開発のハードルもどんどん高くなっていることも事実だ。
 しかし、それでも人類は治療法が確立されていない「Unmet Medical Needs」に応えていかなくてはならない。そして、これまで医薬品とすることが困難だったターゲットへアクセスするため、従来よりも高度な技術、革新的な医療モダリティをもってこれと戦っていかなくてはならない。
 何度も述べてきたが、企業の存在理由は「そこに社会問題があるから」である。同社の存在理由、そして高邁な理念の源泉が、この「Unmet Medical Needs」であることに疑いの余地はない。


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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください!

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代表取締役社長 三好 稔美さまと