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 1月20日 の「アサザイ 今日の1社」はくらさくプラス(7097・東証マザーズ)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 西尾 義隆 様 にお越しいただき、事業内容、強み、事業環境、保育を巡る社会情勢等についてお話を伺いました。

 同社は、首都圏中心の認可保育園運営をはじめ、保育園物件を扱う不動産仲介、コンサルティング事業展開など、保育を軸にした事業を行っています。
 子ども一人ひとりに深い愛情で寄り添い、子どもが自ら考え、気づき、行動できる力をじっくりと伸ばし、あわてずゆっくり、その子らしい笑顔と成長を開花させていく、そんな保育を実践するべく取り組みを続けています。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記
さくらさくプラス(7097)(東証マザーズ)
ラジオNIKKEIにて収録
お相手は、代表取締役社長の 西尾 義隆(にしお よしたか)様

「さくらさく"プラス"」

▼子どもが成長して花開いていく嬉しさや喜びを共有するために
 「さくらさく」。この言葉から連想される、子どもが成長して花開いていく嬉しさや喜びを、親、子、園の三者が笑顔で包まれた中で共有できることを最も重要なことと考えた保育所の運営をメイン事業とされている同社(グループ)は、昨年(2020年)10月28日に上場を果たした。コンセプトは" おうちのようなほいくえん "づくり。「安全と安心を提供し、自然と和やかな笑いに満ちた温かい育児環境を作り出す」ことを経営理念及び方針として掲げている。

 運営している保育所数は、前期、2020年7月末時点で60施設、また、今期末である今年7月末には74施設となる予定であるが、その最大の特徴が、運営している保育所の多くが東京都にあるということ。前期末時点の60施設のうち、54施設がそうであり、うち53施設が規模の大きい認可保育所である。また、今年度開設する14施設についても、その全てが東京都の認可保育所となる予定であり、東京都の認可保育所比率は74施設のうち67施設と、90.5%となる予定だ。

 このドミナントとも言える展開であるが、そのメリットの第1は、東京都は認可要件・基準が厳しい一方で、補助金が充実していることが、経営の安定成長に寄与するということ。また、徒歩10分以内の駅近・好立地という中長期的に競争力のある物件を確保しており、このことが通勤の利便性の高さに結びつき、保育士の確保にも寄与している。この部分については、保育士寮を備えた園などもあり、一人ひとりが長く、安心して働ける環境を整え、笑顔で子どもたちと向き合える本部のサポート体制を整備している。また、当然、このドミナント展開は保育士の配属も含め、経営の効率化にも結びついている。

 同社はこの東京都中心のドミナント展開以外にも他の保育所を手掛ける企業とは一風変わった部分を有している。それは保育所の運営を行う連結子会社の他に、同じく連結子会社で保育所への利活用を想定した不動産の仲介、コンサルティングを主な事業内容とする会社が存在しているということ。
 上記した「徒歩10分以内の駅近・好立地」は、保育園を軸にした不動産開発と不動産投資のスキームが確立されていることがもたらしたものであり、不動産事業として有効な土地の確保、また、他社の利活用に供するという不動産事業を備えていることも強みの1つである。

▼さくらさく"プラス"の海外展開
 そのほか、海外展開として、近年経済成長が著しく、また教育にコストをかける文化が醸成されているベトナムにおいて日本式保育のニーズが高まっていることから、保育サービスの国際展開の足掛かりとして(ベトナム)現地法人の Hana TED., JSCが、ハノイ市内で「Hana home」保育所の運営を行っている。

 業績も極めて堅調だ。安定して保育所を開設していることが業績に順調に結びついており、前期(2020年7月期)は、その4期前の保育所数16が60へと約3.8倍に拡大し、売上高については、12億8000万円から76億2900万円へと、約6倍に増加している。
 2期前との比較でも、施設数がちょうど2倍になり、売上高が2.4倍となった計算だ。このように近年の売上高の伸びが著しいが、利益面においても最終利益である当期純利益が、前期時点で2期前の2.5倍である9億3300万円に拡大しており、今年度につきましては大台替わりとなる10億6900万円を見込んでいる。

 その今年度の決算であるが、現在発表されている第1四半期の数字も、前年同四半期比で増収、また営業利益も増益となっているが、経常利益については損失となっている。しかし、今年度保育所の開設に伴う補助金は第3四半期に計上される予定であり、既に今年度開設予定の14施設は承認済みであることから何も心配は無く、利益計画も含めて期初の計画通りに進捗していると考えられる。

▼「子育て安心プラン」に続く新計画スタートに向けて
 事業環境であるが、政府はこれまで「子育て安心プラン」により、2020年度末待機児童ゼロという目標を掲げてきたが、内閣府の調査によりその目標の達成は困難であり、2024年度に14.1万人の保育の受け皿が不足するとの推計が示された。これを踏まえて、政府は待機児童解消に向けた新計画を打ち出し、2024年度末までに10万人を超える保育の受け皿を整備する新方針を打ち出す見込みである。

 このことは女性の就業率上昇による保育需要の拡大に則したものであるが、今後保育所を増やした場合、都心部においてはその施設の増設が急務である一方で、地方においては人口の減少もあり供給過剰となる可能性があると考えているという。これが、同社グループが東京都においてドミナント展開を図っている理由の1つでもある。

 トピックであるが、同社グループは乳幼児の発達や保育・幼児教育の実践に関する調査および研究 ・子育てや保育・教育の実践に関わる人材育成に関する共同プロジェクトを東京大学大学院と昨年12月より始めている。
 また、昨年5月に保育園「さくらさくみらい」を投資資産として組み込んだ「保育園みらいファンド1号」という私募ファンドを約50億円規模で設定しその運用が行われている。

 ここまで記すと、同社グループが、他の保育所運営会社と違い、その周辺事業、親和性の高い事業として、不動産、そして金融という部分にまで既に着手していることがお分かり頂けると思う。
 これまで、「アサザイ」で幾つもの保育所事業を手掛けられている企業を紹介したが、周辺事業において確立した事業基盤を備えているという点で、同社は間違いなく一歩前を歩んでいる。

 この部分がアナリストである私から見た"プラス"の部分である。
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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

 それでは来週もお楽しみに!

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代表取締役社長 西尾 義隆さまと