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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 12月16日 の「アサザイ 今日の1社」はパシフィックネット(3021・東証2部)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長 上田 満弘 様にお越しいただき、事業内容・セグメント情報・決算の振り返り・強み・成長戦略等についてお話を伺いました。

 同社は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティ、そして適正処分に至るまでを 「サブスクリプション」モデルで提供し、企業の情報システムを支援するITサービスのオンリーワン企業です。

 事業は、PC等IT機器の中長期レンタル・保守運用等のITサービス・通信・クラウドソリューション等を行う「ITサブスクリプション事業」、使用済みIT機器の回収・データ消去・リユース・リサイクル販売を行う「ITAD事業」、音声ガイド用機器「イヤホンガイド」の製造・販売・レンタル・保守サービスを行う「コミュニケーション・デバイス事業」を中心に展開、長期的な視点に立ち、「持続性の高い」サステナブルな企業体とし、ESGを成長の機会としてとらえ、企業の持続的成長と価値向上を導くべく取り組みを続けております。

 井上哲男より取材後記が届いております、ぜひご覧ください。

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取材後記
パシフィックネット(3021)(東証2部)
ラジオNIKKEIにて収録
お相手は、代表取締役社長の 上田 満弘(うえだ みつひろ)様

「本当の"強み"」

▼パシフィックネットの3つの事業セグメント
 上場は2006年、東証業種分類は情報通信業と思われがちだが、実は小売業に属している。
 なぜ小売業なのかというと、同社はスタート時(1988年)に「パシフィックレンタル」という社名で設立され、PCのレンタル事業からスタートし、その後1997年からIT機器の買い取り・データ消去、およびリユースPCの販売事業を強化したという沿革に由来している。

 同社の3つの事業セグメントに「ITAD事業」があるが、これは使用済みIT機器のデータ消去や物理破壊を行うとともに、消去後のIT機器のリユースを行うものであり、現在も当初の事業は継続している。また、このセグメントの売上は、前期の同社の全社ベースの売上構成比においても約46%を占めており、同社事業の2本柱の1つであることに変わりはない。歴史のあるデータの消去においては日本一のシェアと言われている。

 2本柱のもう1つの柱は、今や主力事業とも言える「ITサブスクリプション事業」。これは、法人向けに、PC等のIT機器に加え、通信、クラウド、運用保守、ヘルプデスク等のITサービスをセットで「月額利用料=サブスクリプション」で提供するもので、本格的に参入したのは2015年と今から5年前であるが、前期の売上構成比で約48%を占めるまでに急成長を遂げている。
 この事業における顧客法人との契約は3年から5年という長期での契約が大部分であり、新規受注分が既存契約分に上乗せされる形で安定的な収益の成長につながる極めてストック収益性の高い事業である。

 3つ目のセグメントは「コミュニケーション・デバイス事業」であるが、これは「イヤホンガイド」の製造販売、レンタル保守を行っている。その使用用途はツアーガイド、工場見学、研修、博物館、イベント、国際会議などであり、同社のデータではあるが、旅行業界では90%以上のトップシェアとなっている。
 全社売上に占める比率はまだまだ小さく、また今般のコロナ禍で海外ツアーそのものが激減したことは確かであるが、一方で、3密回避の手段として新たに注目されている。旅行会社のツアーにおいて、これまで用いられてきたのは海外ツアーが中心であり、国内での利用はまだまだであったことから、今後アフターコロナの状況において国内旅行事業者向けの攻勢をかける準備を進めるという。

▼パシフィックネットの4つの強み
 そんな同社の強みは4つ。
 1つ目は「極めて優良で圧倒的多数の顧客基盤がある」ということ。その顧客の業態としては、法人に加えて、官公庁・自治体・学校などがある。

 2つ目は「ITデバイスとクラウド関連技術のノウハウが蓄積されている」ということ。3つ目が「テクニカルセンター・ロジスティクス網を全国に配置している」ということである。これについては、現在、他のIT系企業において、この全国をカバーしたテクニカルセンター・ロジスティクス網を備えている会社が無いため、顧客のスピード感を伴ったニーズに応え、また寄り添うことを可能としている。2つ目、そしてこの3つ目の強みが、同業他社との差別化、高い優位性につながっていると言える。
 そして、最後の強みが、「データ消去、適正処分サービスにおいて、国内トップシェアを誇っている」ということ。これも大きなが長年の実績、そして、顧客からの絶対的な信頼の証(あかし)だと考えられる。

 事業環境であるが、コロナ禍のテレワーク需要はいったん収束すると同社は考えているが、法人のパソコン調達方法につきましては、「購入(所有)からレンタル・サブスク(利用)」という流れはますます拡大すると考えている。
 国内の法人が所有するパソコンはおよそ3,800万台あり、そのうち毎年600万台ほどが入れ替わると言われているが、現在のレンタル・サブスク市場はまだ年70万台でしかなく、「ITサブスクリプション事業」において膨大な潜在マーケットが存在していると捉えている。
 そのため、この「ITサブスクリプション事業」の拡大が大きな成長戦略であるが、これは実は「ITAD事業」の拡大にも寄与するものである。「ITサブスクリプション事業拡大→契約期間終了後に優良なリユース品が創出される→ITAD事業の収益拡大」というフローだ。

▼12月8日に2つのニュースリリースを発表
 今般、12月8日に同社は2つのニュースリリースを発表した。その1つは「パートを含む全従業員に対する、特別賞与等の支給決定」であり、もう1つが「配当方針の変更」であった。この後者は、その方針に、従来の配当性向に、「アサザイ」のリスナーにはもうお馴染みの「DOE(自己資本配当性向、同社は『純資産配当性向』と記載)」を加えるというものである。

 同社とはテレビでご一緒した際に、この「DOE」をご紹介したことがあったが、その重要性、説明正当性を速やかに認識されて今回の変更に至ったようである。5年前のサブスクリプションモデルへの事業の舵切り、そして、配当方針の変更、同社の本当の強みは、このような「正しいと納得したモデルへの速やかな移行」を成し遂げることができる迅速さなのだと私は思う。

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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。
 また本日はPodcastにロングインタビューもアップされます。
 12月8日に発表した2つのニュースリリースについてお話を伺っております、そちらも是非お聴きください。
 それでは来週もお楽しみに!

(関連ウェブ)
いつも聴く!ポッドキャスト(ロングインタビューもこちらから視聴できます)
パシフィックネット IRサイト

代表取締役社長 上田 満弘さまと