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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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 10月14 日 の「アサザイ 今日の1社」は前田工繊(7821・東証1部)を放送しました。

 今回は、代表取締役社長兼COO 前田 尚宏 様にお越しいただき、事業内容、強み、成長戦略等についてお話を伺いました。

 同社は、河川・道路補強等の防災用建築・土木資材等を手掛ける、ジオシンセティックス環境資材の大手企業です。近年多発する自然災害から生命・財産を守る防災・減災製品や、コロナ禍における避難所用テントなど、社会のニーズに合致し社会の課題を解決する製品・サービスをタイムリーに提供しています。

 現在は、中期経営計画「グローバル事業∞(無限大)」において、「既存事業の強化と新規事業進出」、「成長戦略としてのM&A活用」、「新たなマーケットを求めるためのグローバルネットワーク拡充」の3つを重点施策として取り組みを続けています。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。 

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取材後記
前田工繊(7821)(東証1部)
ラジオNIKKEIにて収録
お相手は、代表取締役社長兼COOの 前田 尚宏(まえだ たかひろ)様

「日本でいちばん大切にしたい会社」

▼「ジオンシンセティックス」という新技術を基盤として飛躍的な成長
 前身の会社から数えて、創業102年を迎えられた歴史のある企業。3年前の冬の特番にご出演頂いたことがあるが、レギュラーの「アサザイ」では初めての紹介となる。
 その前身の会社とは、1918年に人絹の機繊工場として創業した前田機業場であり、その後、1972年に現在の前田工繊となり、繊維と土木の技術領域を融合した「ジオンシンセティックス」という新技術を基盤として、樹脂や金属、木材などに関する事業・企業を、M&Aによって取り込みながら、飛躍的な成長を遂げてきた。

 短信の報告事業セグメントは、「ソーシャルインフラ事業」、「インダストリーインフラ事業」、「ヒューマンインフラ事業」、「その他の事業」であるが、主力事業の「ソーシャルインフラ事業」は、「ジオシンセティクス技術」を活かして「安全・安心・環境」をキーワードに展開している事業であり、より災害に強く、美しい国土づくりに貢献するため、「土木・建築資材」として、補強、斜面防災、排水、河川・海岸資材、緑化・防草資材、コンクリート構造物の補修・強化資材、また、不織布をはじめとする身近なところで活躍する資材も数多く開発している。

▼前田工繊の事業内容
 一方で、この「ソーシャルインフラ事業」は土木・建築分野だけでなく、「農業用品・獣害対策」として、獣害対策、ハウス事業、畜産・酪農、牛舎関連なども手掛けており、その他にも厚物生地・大型縫製などの独自の加工技術で自衛隊関連の装備品を提供したり、水産工場から出される魚の加工残しから、養殖で魚の餌や農作物の肥料を製造したりもしている。

 「インダストリーインフラ事業」は、産業界のインフラづくりに貢献する事業であり、「高機能ワイピングクロス」など、各種繊維を原料とした「産業資材」の製造、加工、販売等を行っているが、特にクリーンルーム用ワイピングクロスにおいて、高精度なモノづくりを支える高性能ワイピングクロスを製造・販売しており、厳格な測定・分析に基づく徹底した品質管理のもと、高度な先進技術を駆使しながら、ゴミや化学物質の混入を徹底的に抑えた専用ラインで一貫生産を行っている。受託加工にも対応しており、お客様からのさまざまな要求をかなえる高機能・高品質製品を開発・提供し、お客様のモノづくりを支えるパートナーとして常に"想像を創造に変える"という挑戦を続けているのだ。

 また、「ヒューマンインフラ事業」は上記2つのセグメントと毛色が全く違い、「自動車用軽合金鍛造ホイール」の製造、販売等を行っている。平たく言うと、自動車の「ホイール」である。この事業の主幹会社であるBBSジャパンは、1970年に設立されたドイツBBS社の世界的ブランドを継承するアルミ軽合金ホイールを製造・販売しており、世界最高レベルの鍛造技術で製造されたレーシングホイールは、その圧倒的なブランド力と妥協なきクラフトマンシップにより、世界最高峰の自動車レースF1でも華々しい実績を重ねてきた。

 最後のセグメントである「その他の事業」は、ヘルスケア事業として、同社がこれから大きく育てていきたい、また、期待しているセグメントであり、子会社のMDKメディカルがハイレベルな医療機器の開発、製造を行っており、医療機器の治験に向けて、現在、本格的に準備を進めているが、同じく出資をしているMed Alliance社(スイスの医療機器企業)の機器である、治療用薬剤塗布バルーンの日本における独占販売権を取得しており、こちらも治験を経て販売を行い、これら「ヘルスケア事業」を、2023年9月期に、売上高25億円、営業利益4億円の事業に成長させ、そのあとについては、飛躍的に業容が拡大する状況にしたいと考えている。この時期はちょうど今年度から推進している中期経営計画の終期にあたり、その年度の全社ベースの計数目標は、売上高500億円、EBITDA100億円となっている。

▼事業の目的を"今必要な社会問題の解決"だけに定め、技術と機動力をフルに発揮
 同社は、これまでのM&Aにおいて、「地方創生を原動力とする成長」を標榜し、ニッチな技術を誇る地方のものづくり企業を主な対象として行ってきた。やりたい事業を行うのに足りない部分、例えば、設備であったり、技術であったりという部分を、同社のリソースと「混ぜる」ことによって同社もグループとして成長し、Win―Winの関係において、地方創生に寄与してきたという想いを全社員が共有している。

 同社はこれまで、「第16回 ポーター賞」、「第3回 100年経営大賞」など、栄えある賞を受賞しているが、「第8回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞も受賞している。同賞は「人を幸せにする経営」が基準となって選出されるが、同賞における「人」とは、1従業員とその家族、2外注先・仕入先、3顧客、4地域社会、5株主の5者を指している。つまりは、ステークホルダー全体ということだ。

 同社が受賞したことを、私は至極、当然のことと考えている。できることなら、私からも全く同じ賞をお渡ししたいほどだ。そして、私が授賞の理由として加えるのなら、「同社はその事業の目的を、"今必要な社会問題の解決"だけに定め、その技術と機動力をフルに発揮してきたから」。
 日本に存在していることを誇りたい1社である。
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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

 それでは来週もお楽しみに!


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