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 5月13日の「アサザイ 今日の1社」はデ・ウエスタン・セラピテクス研究所(4576・東証ジャスダック・グロース)を放送しました。

 同社は、「日本発の画期的な新薬を世界へ」という創業者の理念のもとに設立された三重大学発のバイオベンチャーです。

 様々な疾患に適応できる可能性がある「化合物ライブラリー」を有していますが、「世界的な高齢化社会を背景に、眼に疾患がある患者様が急増していること」、「眼科領域に特化しているバイオベンチャーが少ないこと」、「他の疾患に比べて効率的な開発が行われる場合が多いこと」を理由として、戦略的に眼科領域に特化して取組みを続けています。

 今回は、代表取締役社長 日高 有一様にお越しいただき、沿革と事業内容・強み・今後の成長戦略、そして「戦略的に眼科領域に特化している理由」について詳しくお話を伺いました。

 井上哲男より取材後記を頂きました。ぜひご覧ください。


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取材後記
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(4576)(ジャスダック グロース)

リモート収録
お相手は、代表取締役社長の 日高 有一(ひだか ゆういち)様

『全ては、治療薬が存在しない疾患のために』

▼眼病治療薬開発に集中する三重大学発のバイオベンチャー企業
 2009年に上場されたバイオベンチャー企業であるが、前期、2019年12月期に黒字化を果たされた。
 『創薬』とは、薬のタネを作ること。1999年に三重大学発のバイオベンチャー企業として創業し、眼科領域を中心に創薬研究に取り組んでいるが、特筆すべきは、既に「上市医薬品」があるということ。それは、自社創薬品である「緑内障治療剤『グラナテック』」のことで、2014年よりライセンスアウト先の興和から販売されている。


 この「グラナテック」の販売を開始した後、同社は大きく事業の拡大に向けて舵を切った。製薬業界特有の言葉に「導入」、「導出」というものがある。これは、有望な医薬品の開発権を受けること、出すことなのだが、同社は2015年から英国企業の眼科用治療剤の「導入」を実施した。 

 また、2015年に、臨床開発を担う日本革新創薬株式会社を連結子会社化し、2018年には米国で初となる臨床開発を実施するとともに、米国Glaukosと共同研究及びライセンス契約を締結し、コラボレーション開発に着手している。「日本の患者様に薬を届けたい」という強い思いから、現在も主軸は日本に置いているが、世界で最も市場が大きい米国においても、パートナーと一緒に取組みを進めているのだ。

 同社の強みは、上市医薬品があるということが如実に表している「継続的に新薬を創出できる基盤技術があるということこと」。そして、この上市医薬品に加えて、自社創製品、導入品の双方に、パイプラインとして数多くの医薬品が存在しており、今後の大きな収益源となることが期待される。

▼「眼科領域」に特化する理由

 同社は、様々な疾患に適応できる可能性がある「化合物ライブラリー」を有したうえで、現在、その研究・開発は「眼科領域」に特化していると考えてよい。

 その理由は、まず、世界的な高齢化社会を迎えるにあたり、長く生きるために欠かせない重要な臓器であるということ。また、眼に疾患がある患者様が急増しているのに対して眼科領域に特化しているバイオベンチャーが少ないことも理由である。

 

眼科薬を「市場」として捉えると、世界の市場規模は、2013年に2兆円であったが、2022年には3兆円にまで拡大すると予測されている。世界的な高齢化を背景に、眼科薬の市場は年率約4.6%もの拡大が見込まれているのだ。その中で、緑内障治療薬の世界における市場規模は2018年で約6,000億円あり、国内の緑内障治療薬の売上高は、全眼科薬市場の約33%を占めて、最大規模と言われている。中途失明原因の第1位が、この「緑内障」。しかし、同社はこの領域だけでなく、網膜疾患への研究も進めていくことで、社会に貢献していきたいと社長は語った。

▼デ・ウエスタン・セラピテクス研究所の開発パイプライン

 バイオベンチャーの価値の源泉である「開発パイプライン」を掲載する。
「角膜内皮障害(フックス角膜内皮変性症)」を適応症とした開発品、新たな「緑内障・高眼圧症」開発品(H-1337)、また、導入品には、「内境界膜剥離」を適応症として欧州、米国で上市され、カナダでも申請を行っている開発品がある。これについては、国内で「内境界膜染色」、「白内障手術補助剤」としてフェーズⅢまで試験が進んでいることも非常に楽しみである。その他にも開発パイプラインに製品があり、これらを充実させることが、強固な収益基盤の構築、また、リスク分散につながるが、これらに加えて、今後は「新薬を創出できる基盤技術」と「化合物ライブラリー」を活かして、新たな事業領域にもその範囲を広げることが期待される。

 最後に、『グラナテック』の海外における状況を記すと、韓国、シンガポールで輸入薬としての許可を取得し、現在、マレーシア、ベトナム、タイなどのアジアの国でも承認申請を行っている。

 国内にはバイオベンチャーが、およそ600社存在しているが、そのうち、国内で新薬の上市に成功したのは、わずか4社のみ(2015年現在)。栄えあるその1社として、これからも同社は「成功確率3万分の1」と言われる新薬の開発に取組み続ける。全ては、治療薬が存在しない疾患「アンメットメディカルニーズ」に応えるために。
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取材後記は以上です。いかがでしたか。

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

それでは来週もお楽しみに!

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代表取締役社長 日高 有一さま