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 3月11日の「アサザイ 今日の1社」は豊田通商(8015・東証一部)を放送しました。

 今回は、財務部長 益山 順光 様にお越しいただき、沿革と事業内容、今後の成長戦略(中計)、株主還元等について詳しくお話を伺いました。

 同社は、トヨタグループ17社のうち唯一のトヨタ系総合商社です。
 「トヨタ車の商社」と思われがちですが、加商、トーメン、CFAO等の独立系商社との合併・資本参加を経て、事業領域を拡大してきたことにより、現在は自動車関連の事業の利益は約6割であり、自動車以外の利益も4割を占めるまでに成長してきました。

 現在、同社は経営指標の目標として、2022年3月期の当期利益1,700億円、ROE10%以上を設定しています。
 その達成のために、現在同社が中期経営計画を推進するに当たり注力している分野は、「アフリカ戦略」「ネクストモビリティ戦略」「再生可能エネルギー戦略」の3点です。同社の強み×伸びが予想されるこの3つの掛け合わせで更なる成長を目指し取り組みを続けています。

 井上哲男より放送後記が届いております。ぜひご覧ください。


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取材後記
豊田通商(8015)(東証一部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録
お相手は、財務部長の 益山 順光 (ますやま のぶみつ)様

『現場に立て』 、『明日(あす)に役立て』

▼自動車事業に続く、第2・第3の事業柱の構築を進める
 最近まで、この題字のCMが流れていたが、ご覧になって、トヨタグループ唯一の商社としてのイメージと少し違うなという印象を持たれたリスナーの方もいらっしゃったかと思う。

 確かに、トヨタグループ17社のうちの唯一の商社であり、「トヨタ車の商社」と思われがちであるが、加商、トーメン、そして、アフリカでの事業展開を進めていた仏国CFAO等の独立系商社との合併・資本参加を経て、事業領域を拡大してきたことにより、現在は自動車関連の事業の利益は約6割であり、自動車以外の利益も4割を占めるまでに成長している。

 そして、自動車以外の事業の中に、第2、第3の事業柱となりそうなものが存在している。具体的には今後大きな成長が見込めるアフリカでの事業、再生可能エネルギー事業、次世代自動車事業におけるリチウム電池に関わる事業などである。

▼豊田通商の事業セグメント
 事業セグメントは大別して、圧倒的な強みを持つ「Mobility事業」、快適で健やかな社会の実現に貢献する「Life & Community事業」、持続可能な社会の実現に貢献する「Resources & Environment事業」の3つであるが、これを120カ国に及ぶグローバルネットワークを強みとして、7つの営業本部で展開している。

 題字の『現場に立て』の部分であるが、これは、お金でお金を稼ぐような商社ではなく、自分で現場を持ち、現場で汗をかいて、現地・現物・現実で事業を行っていくというメッセージを表している。
 それにより、全てのセグメントで現場に立っているのだが、「Mobility事業」におけるそれを紹介すると、
 自動車の開発・生産準備から、廃車となり、リサイクルするまでの全ての工程において、同社は" 縁の下の力持ち "として自動車バリューチェーンを展開している。例えば、「金属加工」の工程において、鉄鋼メーカーから、バームクーヘンのような形の金属コイルを納入した後、同社がそれを伸ばし、型抜きして、叩いて、組付けるなど 自らの持つ高い技術で金属加工を行っており、トヨタ方式とも言える" ジャストインタイム "で商品を納入している。

 また、通常、アルミスクラップは、溶かして四角い塊に固めてから顧客の工場まで運び、その後、また溶かしてホイルやエンジンブロックの形にする。つまり、アルミを2回溶かしているのだが、同社の「アルミ溶湯事業」は、顧客工場のすぐ隣工場を構え、スクラップを溶かし、大きなポットで液体のままで隣に持ち込む。これにより、スクラップを溶かす作業が1度で済むという 環境にも優しい事業を行っている。

 このように、同社は、机で仕事をするというよりも、"作業服を着た商社マン"として、現場で汗をかき、顧客のニーズを汲み取りながら事業に取り組んでいるのだ。

 題字後半の『明日(あす)に役立て』は、企業理念を実現するうえで、「社会課題の解決と会社の成長を両立する最重要課題」を特定し、この課題を克服することこそが、「事業を通じた社会貢献」であると認識しているということ。言い換えれば、現在、世界が抱えている貧困や環境問題などの社会課題の解決こそがビジネスそのものであると考え、社会課題に取り組むことで、企業理念である「豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業」を目指すということだ。

▼豊田通商のサステナビリティ重要課題
 そして、同社は2018年に、優先的に取り組んでいくべき社会課題を、サステナビリティ重要課題として6項目特定した。
 その中から、いくつか具体的な取組みを紹介すると、「安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献する」 という重要課題に関して、「トラック隊列走行の商業化」 の取組を行っており、2018年から新東名高速において、人が運転するトラックの後ろを2台の無人のトラックが隊列を組んで自動で走るという実証実験を国内で初めて実施している。これにより、2022年の商業化を目指しているが、これは、「交通渋滞の緩和、ドライバー不足の解消」という社会課題の解決に向けた取り組みである。

 また「低炭素社会移行に貢献する」という重要課題に関しては、「リチウム資源開発事業」を行っている。リチウムは、EVやハイブリッド車に積む電池に利用されており、今後も需要の増加が見込まれているが、同社は2012年に、日本企業で初めてアルゼンチンでリチウムの開発事業に参加した。2025年には生産量4万2,500トンを見込んでおり、これによって全世界の需要量の1割強をまかなうことが出来ると考えているという。

 ここに底流していることは、サステナビリティ重要課題を意識し、事業活動に取り組むことで、会社が持続的に成長し、社会課題の解決やSDGsへの貢献を実現していきたいという想いである。

 成長戦略は中期経営計画において示されているが、「同社の強み」×「伸びが予想される領域」である、「アフリカ」、「ネクストモビリティ」、「再生可能エネルギー」を注力分野として掲げ、これら3つの掛け合わせで更なる成長を目指すという。掲げている計数目標は、2022年3月期の当期利益1,700億円、ROE10%以上であり、投資についても、2020年3期期から2022年3月期までの3年間で約4,500億円を行う計画となっているが、その投資方針として「営業CFの範囲内の投資」を掲げており、その営業CFを3年間で6,000億円以上創出し、投資と配当後のFCFの黒字を継続することを目指すとしている。

 『現場に立て』 、『明日(あす)に役立て』。日本を代表するトヨタグループの商社である同社が、このように深く、強い想いを持って事業にあたっていることを、本日の放送を通じてリスナーの方が感じてくれたならば嬉しく思う。
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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

 本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください。

 それでは来週もお楽しみに!


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